
不登校の原因とは?|不登校の兆候と対策、支援・サポートまで解説!
不登校の現状と原因と、解決に向けた対応例をご紹介します。親・保護者や学校の教職員は具体的にどのような対応ができるか、行政・公的機関や民間団体などによる支援・サポートについても解説します。
不登校になった子どもに対し、どうかかわればよいのか、親や保護者が一番悩むところでしょう。子どもの心を理解し、解決へとつなげるために、家庭の中でどう子どもと向き合うのがよいでしょうか。本記事では、不登校になる原因・背景から、主に家庭での子どもとのかかわり方、親の心構え、また親自身の心のケアについても解説していきます。
不登校の原因や背景には、子ども自身の要因によるもののほか、家庭や親子関係の問題、学校での出来事などがあります。子どもの心へ寄り添い、必要な支援やサポートをするために、まずはなぜ不登校になるのか、その原因や背景への理解を深めることが重要です。
子どもにも不安が強い、ストレスを溜めやすい、おとなしいが話すのが苦手、積極的だが自分勝手、感情豊かだがイライラしやすいなど、良し悪し問わず様々な性格や特徴があります。そして、コミュニケーションが不得意、学習に躓きがある、集団行動で後れを取るといった課題がある子もいます。
親としては、まず子どもの性格や特徴、心の状態を知り、理解しようとする姿勢で向き合うことが大切です。そして、子どもの課題に目を向けがちですが、良い部分、出来ている部分に着目して伝えていくことが子どもの成長につながります。また、親が知らない子どもの振る舞いの違いなどを周りから聞いて、多面的に理解することもよいでしょう。
不登校の背景には、家庭や親子関係の問題が考えられる場合があります。具体的には、両親の教育方針と子どもの特徴や性格が合わずに不適応を起こすこと、家庭環境や家族関係の影響・変化によって、子どもの情緒面や行動面が不安定になること、そして、経済的問題に伴う家庭生活で様々な制約が生じたり、親子関係が希薄になったりすることなどです。
親が子どもの将来などを考え、進学塾などの学習環境を作ったり、厳格な教育理念の学校への受験に臨ませたりするなど、教育熱心に取り組むことがあります。その親の思いや考えに沿って学習や日々の生活に励める子もいれば、それについていけなかったり合わなかったりする子もいます。
子ども自身が歩む教育環境となるため、親の教育方針と共に、子どもの意見や希望も聞いた上で、子どもが伸び伸びと力を発揮出来る環境づくりや方向づけが大切となるでしょう。
子どもは、家庭環境の影響を受けやすく、変化に敏感に反応します。両親の不和や離婚、ステップファミリーや祖父母などの同居者の変更、ひとり親家庭、転居による新しい住まいなど、様々な家庭環境の変化によって、子どもの情緒面は大きく揺さぶられます。家庭環境や家族は「子どもにとって唯一無二の土台」です。
変化があることはやむを得ませんが、その際には、子どもにしっかりと丁寧に「変化」について説明をし、安心してもらうことが重要です。
経済的な問題も親子に影響を与えます。多子きょうだい、様々な事情で収入が安定しない家庭、ひとり親家庭では、生活をしていくために、やむ無く親が仕事に時間を費やし、子どもとのかかわりが減少していきます。また、通塾を諦める問題なども生じます。まずは周囲に相談し、利用可能な福祉サービスや無料学習塾など、経済的に負担軽減が出来る方法を見つけていくことが大切です。
そのほかにも、子どもが不登校になる原因としては、以下のようなものがあります。
こうした原因があることも、あわせて知っておくとよいでしょう。
子どもが不登校になることで、親が焦るのは当然のことです。そうしたときに、親としてどういった心構えでいるべきなのかを考えてみましょう。問題解決のためには、親が焦って一方的に子どもを説得するのではなく、まずは子どもの話に耳を傾け、親子関係の絆を深めることが、解決への近道ともなります。
子どもが不登校になると、親は「なぜ?」と思い、何とか学校に行かせたい気持ちが強くなりがちです。そして、焦りや不安が高まり、子どもに問い詰めたり怒ったりしてしまうこともあるでしょう。しかし、子ども自身も様々な不安や恐怖を抱いていたり、原因が分からなかったりして答えられないことも多く、親子関係が悪化するリスクがあります。
まずは子どもが辛く苦しい状況にあることを考え、理解しようという時間を持ち、親子の距離を一度取ってから、落ち着いた時に子どもに話し掛けたり、子どもから話してくるのを待ったりして、学校復帰を急ぎすぎないことが大切です。
子どもとの信頼関係を築くためには、「子どもも心の中で思っていることがたくさんある」と想像して考えることです。子どもの不条理で勝手な理由ばかりが挙げられるかもしれませんが、それでも子どもの心の真実です。親は、子どもの気持ちを否定せず、まずは尊重した態度で向き合うことが大切です。
また、児童期はまだ親の言うことを聞き入れやすいですが、思春期以降、子どもはさらに「自分」が強くなり、自己主張も多くなります。その時に、親子で違う意見だったとしても、まずは子どもの意見を聴くことで信頼関係が深まるでしょう。
学校に通っていない間、家庭で過ごす時間が多くなります。まずは家庭が子どもにとって安心できる場所であり、心のエネルギーを安心してためられることが重要です。親が子どもの出来ることに目を向け、子どもの気持ちに耳を傾けて話を聴いてあげることで、子どもとのよりよい関係づくりにつながります。子どもの心が前向きになり、解決策を見つけるきっかけにもなるでしょう。
子どもにとって「家庭が安心できる場」であることが大切です。様々な課題があり、焦りや不安は生じるかもしれませんが、まずは子どもが安心して過ごせる環境づくりが必要です。不登校の段階や子どもの状態にもよりますが、子どもが出来ないことには触れず、出来ることやしたいことに目を向けて、それを親子で共有していくことが大切です。
そして、心身の健康のために、生活リズムの維持や遊びの時間をどうするかといったことや、家庭内や外出時のルールを、子どもと話し合って決めていくかかわりが重要です。
親が子どもに言いたいことはたくさんありますし、不登校になれば、なおさら「何とかしないと」という気持ちに駆り立てられて、指示や命令などをしてしまうこともあるでしょう。しかし、まずは子どもの気持ちを否定せずに聴くようにし、子どもが「親は自分の気持ちを受け止めてくれる」と思える関係を築くことが大切です。
また、子どもが出す言動や様子から見られるサインに気づき、親が「見ているよ」というメッセージを送ることで、親への安心感が増していくでしょう。
子どもに対して、家庭や学校などでは、どのような対応ができるでしょうか。まずは家庭での心のケアが大切になりますが、学校や学校外の公的・民間のサポートなども併せておさえておくと、子どもにあわせた柔軟な対応が取りやすくなります。
不登校の段階や子どもの状態によりますが、家庭として生活リズムを一定に保ち、子どもにしっかりとした食事や睡眠をとらせることが大切です。
そして、現実的な人間関係が少なくなっていくので、親子・家族との会話や、一緒に楽しく過ごせる時間を可能な範囲でつくることも大切です。その際、きょうだいや友人と比較をせず、あくまで子どもの気持ちに寄り添い、リラックス出来る配慮があると良いでしょう。
学校では、保健室や相談室などへの教室外登校で対応する場合もあります。担任だけでなく、専門知識をもったスクールカウンセラーに相談することも可能です。
学校外では、教育支援センター(適応指導教室)や教育相談センター(教育センター)など、不登校について相談できる公的機関があります。民間の団体・企業によるカウンセリングサービスなども増えてきているので、子どもの状況によっては、利用を視野に入れてみると良いでしょう。
子どもの不登校を解決するためには、まずは親自身の心身のケアも大切です。親が追いつめられると、子どもは敏感にそれを感じ取り、親の思いとは裏腹に、逆効果になってしまう場合もあります。時にはスクールカウンセラーや親の会などを利用するのもよいでしょう。誰かに話を聞いてもらうことで、親自身の悩みや気持ちが軽くなり、新たな視点をもらう機会にもなります。
親のメンタルケアは、子どもの不登校に向き合う中で、必ずセットで考えるべき大切な対応です。子どものことを第一に考えている親ほど、自身の体調管理は二の次になりやすく、子どもだけでなく親の心のケアも同時進行で行う必要があります。それが親子関係にも悪循環をもたらさない予防線です。様々な方法や社会資源を活用することで、親の心身の負担軽減や気分転換を図ることが可能です。
子どもの不登校で、自然と親が不安や焦りを抱き、食欲や睡眠にも影響したり、仕事が捗らなかったりして、心身の疲労やストレスが増していきます。その状態に気づかず、感情的な振る舞いになり、親子関係にも悪影響をもたらす場合があるため、早期に親自身の心身のケアを図ることで、親自身の健康の維持や親子関係の悪化を予防することが可能です。
なかなか話しにくいことかもしれませんが、親自身の様々な葛藤や愚痴などを信頼出来る誰かに聴いてもらうだけで大分違います。あるいはスクールカウンセラーなどの専門家に相談することも考えてみましょう。
また、子どもと一緒の時間が長くなるほど、お互いストレスがたまる場合もあるため、親自身が好きなことや現実逃避出来ること、ホッとすることなどを定期的に行うことがとても大切です。
不登校の子どもをもつ、親の会への参加も親の心の負担を軽く出来るでしょう。同様の悩みを共有するだけで気持ちが楽になったり、他の親から成功体験や全く思いつかなかった視点を聞いたりすることが出来ます。また、辛く苦しい今の心境の中で「自分だけではないんだ」と感じられる貴重な機会になり、親を支えてくれる場になりえます。
ここまで、不登校の原因のほか、親の心構えや、子どもとの適切なかかわり方、親自身のケアなどについて解説してきました。親自身も葛藤を抱え、思い通りにできないこともありますが、焦らず、気づきのあった点から、一つずつでも実践していけるとよいでしょう。
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公認心理師・臨床心理士・社会福祉士・精神保健福祉士
小・中・高校のスクールカウンセラー、自治体の適応指導教室相談員など、教育現場でも活躍
医療・福祉現場での経験も豊富
【専門分野】
・学校の問題(不登校・いじめ・非行・特別支援)
・不登校生徒の進路支援
・親子のコミュニケーション問題
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小学校・中学校では不登校者数が2013年から2022年までの10年間で倍以上になるなど、不登校の児童・生徒数は増加傾向にあります。一方で、不登校の子どもや親・保護者への十分な支援が足りていないケースも少なくありません。このため、ご家庭や教育関連の現場で活かせる知識やサポート方法を学ぶことが求められています。
「不登校・ひきこもり支援アドバイザー」は、子どもの不登校・ひきこもりに関する基本的な知識を習得できる資格です。子どもの対象年齢は小学生から高校生まで。解決のきっかけになるサポート方法への理解を深め、子どもの将来への展望を立てるのに役立てることができます。