対応への理解が深まる事例学習

特に知っておきたい重要な事例を集めました。

不登校・ひきこもりにいたる原因や、適切なサポート方法は子ども一人ひとりで異なります。
多くの事例に触れることで、実践的な理解をさらに深め、対応方法に関する知識の幅が広がります。子ども一人ひとりに寄り添ったサポート方法を考える際にも役立ちます。

先生のワンポイントアドバイスにも、対応のヒントが満載!

各事例には、対応方法についての先生のくわしい所見やワンポイントアドバイスも掲載しています。さまざまな事例を通じて、サポートに関する知識の幅が広がり、たくさんの役立つヒントが得られます。

当講座で学ぶ不登校・ひきこもりの対応事例

当講座の全25の事例(「メインテキスト2」と「事例集」)から、「夏休み明けからの不登校」「ゲーム依存」の事例をご紹介します。

事例:夏休み明けからの不登校

夏休みなどの長期休暇明けは、不登校になりやすい時期でもあります。この事例では、「休み明けに、子どもが学校に行きたがらないときは、どんな気持ちになっているのか」「実際にどのように対応すればよいか」といったことへの理解を深めます。

不登校のきっかけ

友達の転校や勉強が難しくなったことをきっかけに、学校に行く気力を失っていき、夏休み明けに不登校になりました。日頃から抱えていた不安やつまずきが、長期休暇をきっかけに不登校という形で現れる場合があります。

<長期休暇明けに不登校になる例>

  • 長期休暇前から登校しぶりが見られた
  • 宿題が終わらない
  • 生活リズムが戻せなくなった

再登校までの経緯

母親と担任の先生が子どもの様子を共有し、子どものペースや興味に寄り添ったことで、解決のきっかけがつかめ、再登校につなげられました。
担任の先生が、放課後に苦手科目の宿題を見たり、子どもが関心のあることを一緒にしたりとサポートし、 登校するリズムを少しずつ作ったことも効果的でした。

対応のポイント・考え方

●学校の対応

  • 勉強のフォローで不安を減らす。
  • 好きなことに取り組める時間を作り、学校に関心を持たせられるようにした。
  • クラスの子に笑顔で迎えるよう協力をお願いした。

●親・保護者の対応
  • どうしても学校に行きたくないのなら、無理をさせない。
  • 少しでも不安が解消できる方法を考える。
  • 担任の先生と連絡をとり、子どものようすを共有。
  • ずっと家にいるのではなく、楽しい体験もしながら心の回復をはかる。
  • 一人で学校に通えるようになるまで、母親が付き添い、不安を軽減。
事例:ゲーム依存

生活リズムの乱れにつながることが少なくないゲーム依存。依存が進むほど改善がしにくくなり、向き合う親も焦りやイライラがつのって、子どもとの関係がこじれてしまうことも…。そのような悪循環になったときに、どう対応するのがよいかを考える事例です。

不登校のきっかけ

学校になじめず、徐々にゲームだけが楽しみになっていきました。夏休みはゲーム三昧、完全に昼夜逆転の生活となり、2学期から不登校に。

<ゲーム依存にいたるまで>

  • 小学校高学年になり、学童クラブ退会後、自宅でゲームをする時間が増える。
  • ゲームに熱中し、寝不足から朝起きられないことが増え、学校を休みがちに。

再登校までの経緯

両親が困り果てていたため、担任の先生が専門知識を持つスクールカウンセラーへの相談を提案。両親がそのアドバイスに沿った対応を続けることで、少しずつ状況が改善。“好き”を活かし、ゲーム学科のある高校を受験することに。

<スクールカウンセラーのアドバイス>

  • ゲームをいきなり取り上げない。生きがいを奪い、逆効果になる可能性があるため。
  • ゲームを否定せず、可能ならゲームの話題に関心をしめし、親子の会話を増やすよう心がける。
  • ゲームをしているかどうかより、食事や睡眠をきちんとしているかなど、生活リズムに焦点を当てるようにする。

対応のポイント・考え方

●学校の対応
母親とスクールカウンセラーをつないだことが、ゲーム依存や親子関係の改善のきっかけに。


●親・保護者の対応
ゲーム機を取り上げるのではなく、興味に寄り添いつつ、徐々にゲーム以外の時間を増やしたり、やりがいの持てる活動や居場所を見つける。

<プラスワン!こんな考え方も>

  • ゲーム依存は改善に時間がかかることが多く、できれば、ゲーム機を与えたときからの予防が大切。
  • ゲームと関連のある進路につなげる方法も。

不登校・ひきこもりの事例の一覧

当講座では、不登校・ひきこもりの25の事例が学べます。ここでは、どんなテーマがあるのか、不登校・ひきこもり・登校しぶりの状況(きっかけ)や対応ポイントなどをご紹介します。

「メインテキスト2」の12の事例

母親との分離不安

母親との分離不安

期間:小学1年生4月~12月まで
状況:母親から離れることに強い不安を感じ、登校をしぶるように。
ポイント:子どもの不安を減らすためにどのようなアプローチを行ったかを見ていきます。

登校時間になるとお腹が痛くなる

登校時間になるとお腹が痛くなる

期間:小学3年生6月~9月まで
状況:心に抱え込んだ不安やストレスが、身体の不調に現れた。
ポイント:身体的な対処で解決しない場合は、心理的な原因を想定し、解決の糸口を探ります。

夏休み明けからの不登校

夏休み明けからの不登校

期間:小学4年生9月~11月まで
状況:夏休み(長期休暇)明けに不登校に。
ポイント:休み明けに学校に行きたがらないときの対応方法を考えます。

中学受験で再スタート

中学受験で再スタート

期間:小学6年生6月~小学校卒業まで
状況:友達とのトラブルをきっかけに、登校できなくなった。
ポイント:新しい環境でやり直すため、私立中学校を受験することに。周りのかかわり方、学習面のサポート方法を考えます。

部活動でのトラブル

部活動でのトラブル

期間:中学2年生10月~翌年3月まで
状況:クラスや部活動仲間から悪口を言われるようになり、不安や恐怖心を抱くように。
ポイント:思春期は自我が強くなり、ライバル意識などからトラブルに発展も。そうした背景も踏まえて必要な対応を考えます。

朝起きられない「起立性調節障害」

朝起きられない「起立性調節障害」

期間:中学1年生10月~中学2年生6月まで
状況:次第に朝起きられなくなり、遅刻する日が増え、不登校に。
ポイント:起立性調節障害は午後には動けるようになることも多く、周囲から「怠け」と勘違いされがちです。病気の正しい理解を深めます。

無気力で学校に行くことができない

無気力で学校に行くことができない

期間:中学1年生5月~中学校卒業まで
状況:やりがいや楽しさが感じられず、無気力に陥り、不登校に。
ポイント:無気力にいたった背景や無気力から脱却するためのアプローチの方法を考えます。

教室外登校で生活リズムを改善

教室外登校で生活リズムを改善

期間:中学2年生5月~翌年1月まで
状況:SNSに没頭して生活リズムが乱れてしまい、すぐに元に戻すのが難しく、不登校に。
ポイント:教室外登校(別室登校)を活用し、少しずつ生活リズムを戻していった過程を見ていきます。

ゲーム依存から昼夜逆転の生活に

ゲーム依存から昼夜逆転の生活に

期間:中学1年生9月~中学校卒業まで
状況:ゲームに没頭し、生活リズムが乱れ、不登校に。
ポイント:ゲーム依存は改善に時間がかかることが多く、どう対応するのがよいかを考えます。

クラスメイトからのいじめ

クラスメイトからのいじめ

期間:中学1年生6月~翌年3月まで
状況:いじめを受けていることを誰にも相談できず、不登校に。
ポイント:深く傷ついている子どもに、親や学校はどう対応すればよいかを検討します。

やりたいことが見つからず、高等学校を中退

やりたいことが見つからず、高等学校を中退

期間:高校1年生5月~12月まで→退学
状況:第一志望に進めず別の高校に入学するも、やる気を失い退学。
ポイント:就職の支援機関とつながり、どのように自立の一歩を踏み出したかを考えます。

部屋にひきこもって出てこない

部屋にひきこもって出てこない

期間:中学1年生5月~卒業まで。通信制高校に入学→ひきこもり状態に。
状況:中学での環境の変化から不登校になり、そのまま部屋にひきこもった。
ポイント:両親が「ひきこもり親の会」に参加。家族や本人がどう変わっていったかを見ていきます。

「事例集」から一部の事例をご紹介

きょうだいへの影響

きょうだいへの影響

期間:小学5年生9月~12月まで
状況:クラスメイトとのトラブルから不登校に。
ポイント:親子のかかわり方や、きょうだいへの影響の理解を深めます。

SNSトラブル

SNSトラブル

期間:中学2年生6月~10月まで
状況:SNSへの書き込みがきっかけで友達とトラブルになり、不登校に。
ポイント:SNS利用について子どもにどう教えていくかを考えます。

不衛生

不衛生

期間:小学5年生6月~翌年3月まで
状況:学校を休む日が続き、生活が乱れ、不衛生な状態に。
ポイント:家庭での対応や声かけの例です。

発達障がい

発達障がい

期間:小学2年生5月~11月まで
状況:小学校での学習や集団生活のつまずきから不登校になり、発達障がいが判明。
ポイント:発達障がいの特徴を踏まえた対応の大切さを学びます。

希死念慮

希死念慮

期間:中学2年生10月~中学校卒業まで
状況:クラスメイトとのトラブルで不登校に。
ポイント:強いストレスを抱え、「消えたい」「死にたい」といった希死念慮や自傷行為が現れたときにどう対応すればよいかを考えます。

「事例集」のその他の事例

  • ●親子の距離感…関係性の再構築、第三者の力を借りるなど。
  • ●感受性の強さ…感受性が強く敏感な子どもの特徴、子どもへの寄り添い方。
  • ●祖母との同居…家族に言いにくいケースで、安心して相談できる場やソーシャルワーカーとのかかわり方。
  • ●地域の学習支援…勉強が苦手で、授業が徐々に恐くなり、不登校になったケース。
  • ●先生とのトラブル…先生との関係から不登校に。学校や親の対応について。
  • ●好きなことを進路へ…子どもの「好きなこと」に寄り添う考え方とは。
  • ●進学校での挫折…進学校の校風が合わず、周囲との差を感じて挫折し、不登校になったケース。
  • ●喪失体験…専門家のケアが必要なケースをスクールソーシャルワーカーの役割と併せて考えます。

よくある質問

不登校やひきこもりについてはじめて学ぶのですが、大丈夫でしょうか。

はい、どうぞご安心ください! ユーキャンのテキストはフルカラーで、豊富な図やイラストを用いて、丁寧に解説しているので、はじめて学ぶ方でもやさしく理解できます。
さらに、学習内容でわからないことがあれば、質問回答サービスをご利用いただくことで、講師や専門スタッフがあなたの疑問にわかりやすくお答えします。疑問を残したままにせず、着実に学習が進められます。

  • 質問回答サービスは、お客様ご自身やご家族などの個人的な内容に関するご質問やご相談はお受けできません。あらかじめご了承ください。
不登校になりやすい学年はありますか?

小学校高学年~中学2年生頃までは、不登校の児童・生徒数が多くなる傾向がみられます。
特に小学校から中学校に進学するタイミングは、「学習内容が難しくなる」「先生が担任制から教科制に」「部活動の先輩・後輩の関係」「校則・制服」といった大きな変化が続く、いわゆる「中1ギャップ」に直面します。このような「中1ギャップ」がきっかけになったり、小学生からのつまずきが中学生になって顕在化したりすることで、不登校・ひきこもりになる子どももいます。

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小学校・中学校では不登校者数が2013年から2022年までの10年間で倍以上になるなど、不登校の児童・生徒数は増加傾向にあります。一方で、不登校の子どもや親・保護者への十分な支援が足りていないケースも少なくありません。このため、ご家庭や教育関連の現場で活かせる知識やサポート方法を学ぶことが求められています。
「不登校・ひきこもり支援アドバイザー」は、子どもの不登校・ひきこもりに関する基本的な知識を習得できる資格です。子どもの対象年齢は小学生から高校生まで。解決のきっかけになるサポート方法への理解を深め、子どもの将来への展望を立てるのに役立てることができます。