• 更新日:2024/10/09

スキルアップやキャリアアップのために、IT業界で役立つ基本情報技術者の資格を取りたいと考えている人は多くいます。基本情報技術者はITパスポートと並び、IT系の人気資格の1つです。この記事では、基本情報技術者の資格を取得したい人に向けて、試験の概要や合格率、勉強方法などについて解説します。ぜひ役立ててください。

基本情報技術者資格とは

基本情報技術者資格とは、情報処理技術に関する基本的な知識や技能を持っていることを認定する資格です。「独立行政法人 情報処理推進機構」が運営する国家試験「情報処理技術者試験」の区分の1つです。

基本情報技術者試験では、情報処理の分野の他にも、マネジメント分野や経営・会計分野出題されるため、IT業界で活躍するために必要な知識も身につけられます。基本情報技術者試験は、令和4年度(2022年度)には年間10万人以上が受験しており、IT業界への登竜門としても人気があります。

基本情報技術者資格がおすすめの人

基本情報技術者資格は、これからIT業界で働きたい人や、現在IT業界で働いてはいるものの経験が浅い人におすすめの資格です。また、ITリテラシーを体系的に勉強したい人にもおすすめです。ITリテラシーとは、ITを利活用する能力のことです。

基本情報技術者資格の受験者は20~30代が多いものの、中高生から60代以上まで幅広い年代が受験しています。IT関連の企業によっては入社2~3年目までに、基本情報技術者資格の取得を義務としているケースもあるようです。

2023年4月に基本情報技術者試験が大きく変更

基本情報技術者試験は、2023年4月に大きく変更され、今まで上期・下期で実施されていた試験が通年実施になりました。受験可能な回数は年2回だけでしたが、申込んだ試験が終了すれば再申込みができ、受験のチャンスが大幅に増えました。再受験は、受験日の翌日から数えて30日を超えた日以降であれば可能です。

試験時間は、出題数や解答数の減少により短縮されて、受験者の負担が軽減されました。従来の午前試験・午後試験は、名称が「科目A 試験」「科目B 試験」になり、「科目B 試験」は内容が大きく変更されています。

採点方式は、素点方式からIRT方式になりました。IRT方式とは、Item Response Theoryの略で、解答結果に基づき配点を算出する方式です。この記事では、変更点を踏まえて解説するので、参考にしてください。

基本情報技術者試験の概要

基本情報技術者試験の概要として、以下の5つについて解説します。

基本情報技術者試験の実施概要

基本情報技術者試験には、午前中に実施する「科目A 試験」と、午後に実施する「科目B 試験」があります。制限時間や問題数などについては、以下のようになります。

制限時間 問題数(形式) 合格基準点
科目A 試験 90分 60問 (四肢択一) 600点以上 / 1,000点満点
科目B 試験 100分 20問(多肢選択) 600点以上 / 1,000点満点


試験は、CBT方式で行います。CBT方式とは、試験問題をコンピューター上で表示して解答する方式で、CBTはComputer Based Testingの略です。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、基本情報技術者試験の延期が続いたことから、令和2年(2020年)度12月よりよりCBT方式を取り入れています。


科目A 試験の概要

「科目A 試験」は出題数が全部で60問あり、四肢択一式です。情報処理分野(テクノロジ系)、マネジメント分野(マネジメント系)、経営・会計分野(ストラテジ系)から出題されます。プログラミングに関する部分だけではなく、マネジメントや経営など、幅広く勉強しなくてはなりません。

科目A 試験
分野 大分類 中分類
テクノロジ系
(60問中41問)
基礎理論 基礎理論、
アルゴリズムとプログラミング
コンピューターシステム コンピュータ構成要素
システム構成要
ソフトウェア
ハードウェア
技術要素 ヒューマンインタフェース
マルチメディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ
開発技術 システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
マネジメント系
(60問中7問)
プロジェクトマネジメント プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント サービスマネジメント
システム監査
ストラテジ系
(60問中12問)
システム戦略 システム戦略
システム企画
経営戦略 経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
企業と法務 企業活動
法務

科目B 試験の概要

「科目B 試験」は、多肢選択の長文読解式で20問出題されます。出題分野は、「アルゴリズムとプログラミング」と「情報セキュリティ」となり、以下のカテゴリで構成されています。

  • プログラミング全般(既存プログラムの解読及び変更やプログラムのテストなど)
  • プログラムの処理の基本要素(型や変数など)
  • データ構造及びアルゴリズム(グラフや整列など)
  • プログラミングの諸分野への適用(数理やデータサイエンスなど)
  • 情報セキュリティの確保(脆弱性管理バックアップなど)

基本情報技術者試験の合格基準点

基本情報技術者試験の合格基準点は、「科目A 試験」と「科目B 試験」ともに、1,000点満点中600点以上です。「科目A 試験」が満点の1,000点であったとしても、「科目B 試験」が500点では合格にはなりません。

採点方式はIRT方式となり、1問何点といった採点方式ではありません。IRT方式とは、解答結果に基づいて配点を算出する方式です。まぐれでの合格を減少させるために、統計情報を利用して問題ごとの配点や、出題する順番を変えたりしています。

基本情報技術者試験の受験資格と受験料

基本情報技術者試験には、特に必要な受験資格はありません。年齢や職種を問わず、希望すれば誰もが受験できます。受験料は税込7,500円です。受験料を支払った後は、キャンセルや返金ができないので、注意しましょう。

基本情報技術者試験のスケジュール

以前の基本情報技術者試験は、上期と下期の年2回実施されていましたが、2023年4月に変更されてからは、通年で実施されています。このため、受験者は自分のタイミング・都合に合わせて随時申込みができます。

一度受験した試験を再度受験したい場合は、申込み済みの試験の終了時刻が過ぎれば再申込みができ、受験翌日の30日後から受験日として指定できます。合格発表は、受験日の翌月中旬ごろとなります。

基本情報技術者試験の合格率

基本情報技術者試験の合格率は、難易度がやや高いこともあり、長い間20~30%程度を推移してきましたが、2020年に試験がCBT方式になってからの数年は、合格率が40%台になることもありました。合格率が50%台のITパスポートと比較すると、基本情報技術者試験は難易度が高いといえます。

しかし、2023年4月の変更以降はハードルが下がり、難易度・合格率が変化することが予想されています。合格率は、あくまでも参考程度にとどめましょう。

基本情報技術者試験の合格を目指すメリット

基本情報技術者試験の合格を目指すと、3つのメリットがあります。以下で、それぞれについて解説します。

  • 基本的なITの知識が身につく
  • IT業界での就職や転職に役立つ
  • 難易度の高い資格に挑戦しやすくなる

基本的なITの知識が身につく

基本情報技術者試験の合格を目指すと、ITについて広く勉強するため、基本的なITの知識が身につきます。身についたITの知識は、IT業界で働く際の基礎知識にもなります。IT業界で働いている人の場合は、普段自分が関わる分野以外の知識も身につくため、キャリアアップを目指しやすくなるでしょう。

IT業界での就職や転職に役立つ

基本情報技術者試験の合格を目指すメリットの1つには、IT業界での就職や転職に役立つこともあげられます。基本情報技術者資格を取得できれば、企業に対して情報処理に興味があることをアピールできるしょう。資格取得者を優遇しているケースも多く、就職活動で有利になることもあります。

難易度の高い資格に挑戦しやすくなる

基本情報技術者試験に合格すると、さらに難易度の高い上位の資格に挑戦しやすくなります。基本情報技術者は情報処理技術者試験のなかでレベル2にあたりますが、上位試験にはレベル3の応用情報技術者試験や、レベル4の各種高度試験もあります。

基本情報技術者試験で必要な基礎知識を身につけておくことは、ステップアップにもつながります。

基本情報技術者試験の勉強時間

基本情報技術者試験の合格に必要な勉強時間は、200時間程度が目安といわれています。ただし、これはITの基礎知識がない場合の目安です。IIT業界以外で働いていたり、文系の学校や学部で勉強していたりする人など、情報処理に関する知識がない人の勉強時間は、すでにIT知識がある方と比較すると多くかかります。

すでにIT業界で働いていたり、情報系の学校や学部で勉強していたりするなど、基礎的な知識を持っている人の勉強時間の目安50時間程度です。どちらにしても、基本情報技術者試験の勉強をする場合は、計画をたてて、しっかりと準備することが大切です。

基本情報技術者試験の効果的な勉強方法

基本情報技術者試験を効果的に勉強するには、以下の3つをポイントとしておさえましょう。以下で、それぞれについて解説します。

  • 基礎的なIT知識をおさえる
  • 過去問題を繰り返し解く
  • 通信講座を活用する

基礎的なIT知識をおさえる

基本情報技術者試験の勉強を効果的にするには、まず基礎的なIT知識をおさえましょう。基礎的なIT知識が身についていなければ、先に進んでも理解が深まりません。はじめて基本情報技術者試験の勉強をする人は、テキストを何度も読み、用語の意味を理解して、基礎をしっかり身につけましょう。テキストを読むごとに、基礎知識は定着していきます。

過去問題を繰り返し解く

基本情報技術者試験の勉強は、過去問題を繰り返し解くことも大切です。「科目A 試験」の勉強には、変更前の午前試験の過去問題を活用できるため、繰り返し解いて試験対策をしましょう。できるだけ多くの過去問題を解くことで有利になります。

「科目B 試験」は、公式HPで公開されているサンプル問題を繰り返し解くと、傾向がつかみやすいでしょう。過去に何度も繰り返し出題されている問題は、重要な問題であることが多いため試験対策に活かしましょう。

通信講座を活用する

スケジュール通りに勉強することが苦手な人や、効率的に進める自信がない人などは通信講座を活用するのもおすすめです。多くの通信講座は、初心者でも着実に理解しながら勉強を進められるようカリキュラムが整っています。不明な点を質問できる体制が整っているのも通信講座のメリットです。

IT関連の資格なら合格率が高いITパスポートもおすすめ

ビジネススキルの1つとしてITの基礎を勉強したい人や、IT関連の基本的なことを網羅的に身につけたい人には、ITパスポートもおすすめです。ITパスポートとは、ITエンジニア以外の全ての社会人人に必要なITの基礎知識を有することを認定する国家試験です。

ITパスポートの合格率は約50%ほどで、現状、基本情報技術者より合格率が高い傾向にあり、合格を目指しやすいといえます。基本情報技術者試験へのステップとしてITパスポートを受験する人も多くいます。

また、情報セキュリティマネジメントに関する知識や、スキルを認定する「情報セキュリティマネジメント」もおすすめです。試験に合格すると、サイバー攻撃などの脅威から継続的に組織を守り、組織の情報セキュリティの確保に貢献できる人材であると認定されます。幅広い業界・職種で知識を活かせるだけではなく、他の資格取得へのステップアップも目指せます。

まとめ

基本情報技術者は、情報処理技術に関する基本的な知識や技能があることを証明する資格です。IT業界で働きたい人や、IT業界で働いているものの経験が浅い人などにおすすめです。IT初心者は、はじめにITパスポートで基礎知識を勉強してから、基本情報技術者を受験してはいかがでしょうか。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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