気象予報士の年収・給料|仕事内容や資格の取得方法まで解説
難関を突破し、気象予報士になった場合、どのくらいの年収が見込めるのでしょうか。本記事では気象予報士の年収がどれくらいか解説します。
気象予報士の資格を取得したいと考えている人もいるでしょう。しかし、気象予報士の試験は難しいことで知られており、合格率は5%前後と難易度が非常に高くなっています。
この記事では、気象予報士の資格を取りたい人に向けて、知っておくべき概要や試験が難しい理由、資格を取るメリットなどを紹介します。気象予報士の試験にチャレンジしたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。
気象予報士資格とは、気象予報士を名乗るために必要な資格で、国家資格の一つです。気象業務法にもとづいて、気象業務支援センターが試験を実施しています。試験に合格したうえで気象庁長官から登録を受けることによって、「気象予報士」と名乗れるようになります。以下では、試験の概要について紹介します。
学科試験は一般知識と専門知識の2科目でマークシート形式、実技試験は記述形式です。詳しい試験内容は以下のとおりです。
気象予報士試験は、例年1月下旬と8月下旬の年2回実施されます。試験場所は、北海道・宮城県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県の全国6カ所となっており、希望する試験地を選択する方式です。
願書の受付は、6月中旬~7月上旬・11月中旬~11月末で、合格発表は10月中旬・3月上旬となっています。日程は年によって異なるため、詳しい実施時期については気象業務支援センターのWebサイトを確認しましょう。
気象予報士試験の受験者数は減少傾向にあります。もっとも多かったのが、平成18年度第1期の5,074人で、そこからゆるやかに減少したものの、ここ数年再び増加傾向にあります。直近6年の受験者数を表にして紹介します。
第1期(8月下旬) | 第2期(1月下旬) | |
---|---|---|
令和元年度 | 2,957人 | 2,969人 |
令和2年度 | 2,848人 | 2,616人 |
令和3年度 | 2,920人 | 3,629人 |
令和4年度 | 4,173人 | 4,166人 |
令和5年度 | 4,290人 | 3,928人 |
令和6年度 | 4,268人 |
このように、基本的には夏に行われる第1期のほうが受験者数は多くなっています。
気象予報士試験は幅広く専門的な知識が必要なことから、難易度が高いことで知られています。予報などの実務を想定したスキルが必要になることから、特に実技試験の難易度が高く、せっかく学科試験で合格しても、実技で落ちてしまうケースも多いです。また、そもそも学科試験に合格しなければ実技試験は採点されない、という方式です。
気象予報士試験の合格率は5%前後となっています。つまり、100人受験した場合、5人程度しか合格しないことからも、非常に難易度が高いことがわかるでしょう。直近でいえば、令和6年度第1回試験の合格率は 5.8%です。
直近6年の合格率をみた場合でも、もっとも低い合格率は平成28年度第1期の4.1%、もっとも高くても令和5年度第2期の6.2%となっており、合格は狭き門だといえます。
気象予報士試験の合格必要な勉強時間は平均800~1,000時間程度です。毎日2時間勉強する場合でも、1年~1年半程度かかります。とくに、実技試験は難しいため、基礎的な知識がなく、一から独学で勉強する場合には、より難易度は上がります。合格するまでの平均受験回数は3~5回です。
気象予報士試験を受験する際には、専門的な知識が欠かせません。気象予報士は、気象についての知識だけでなく、大気の構造や熱力学、基本的な化学・物理学などの知識が求められます。そのため、そもそも化学や物理に苦手意識がある場合には、難易度はより高くなります。
また、実技試験では天気図の解析や気象予報の根拠を記述しなければいけないなど、知識だけでなく気象解析の資料を読み解く力なども必要です。
気象予報士試験では、合格基準が定められています。学科試験は、一般知識・専門知識ともに15問中11問以上正答(正答率70%以上)すること、実技試験は正答率が70%以上であることです。
しかし、この基準はあくまでも目安です。合格基準は、その年の受験者の得点率や試験問題の難易度によって調整される可能性があります。これは、受験回ごとに難易度に差があることを考慮し、不公平感をなくすことが目的です。
学科試験は各科目15問のマークシート形式です。前述したように、学科試験の合格基準は一般知識・専門知識ともに15問中11問以上正解することです。つまり、正答率は70%以上でなければなりません。
合格基準は試験の難易度によって調整される場合がありますが、基準通りの11問以上正答というケースが多いです。難易度が高い場合は10問以上となることもありますが、基本的には11問以上の正解を目指すといいでしょう。
実技試験は、記述式です。前述したとおり、実技試験の合格基準は70%以上の正答率となっています。ただし実技試験の場合には、合格基準が調整されるケースが多いです。
直近6年でいえば、ほぼすべての試験で60%台が合格基準となっており、そのことからも難易度の高さがわかります。
気象予報士試験には、試験免除の制度があります。免除されるのは、学科試験のみですが、学科試験の一部または全部の科目に合格した場合には、1年間免除措置が適用されます。つまり、1年以内に再度、気象予報士試験を受験する場合には、合格した学科試験の科目が免除されるという仕組みです。
また、気象業務に関係する業務経歴や資格を持っている場合には、申請することで学科試験の一部もしくはすべてが免除されます。
気象予報士の資格を取ることで得られるメリットには何があるのでしょうか。気象予報士というと、お天気キャスターを思い浮かべる人も多く、あまり使い道がないと考える人も少なくありません。しかし、気象予報士の資格を取ることで、さまざまなメリットがあります。ここでは、気象予報士の資格を取るメリットを紹介します。
気象予報士資格は、生涯有効です。取得後に定期的に更新しなければいけない資格も多い中、気象予報士資格は更新などの必要がなく、生涯有効です。そのため、履歴書などにも書きやすく、また知名度が高い資格なのでアピールポイントとしても活用できます。話題にもなるため、天気や気象に興味があれば取得しておいて損はありません。
気象予報士試験は、受験するために特別な条件や資格が必要ない国家資格です。そのため、性別や年齢、職業などを問わず、だれでも受験できます。2020年時点での最年少合格者は11歳となっており、小学生でもしっかり勉強すれば取得できる資格だということがわかります。受験のハードル自体は低いため、挑戦しやすいことは大きなメリットです。
気象予報士試験に挑戦するためには、気象についてだけの知識だけでなく化学・物理などの基本的な知識を身につけなければなりません。また、気象については基本知識に加えて専門知識も学ぶため、天気についても詳しくなれます。天気について知ることは、日常生活を送るうえでも役立つでしょう。
例えば、出先で大雨に見舞われた際に、長く続く雨なのか、突発的な雨なのかを自分自身で予測でき、その後の行動に役立てられます。
気象予報士試験を受験するためには、受験手続きを行う必要があります。試験は年に2回行われますが、その前に受験申請を行います。例年、1月の試験なら11月中旬~11月末が、8月の試験なら6月中旬~7月上旬が申請期間です。申請後、受験票が届きますのでなくさないようにしましょう。
申請方法は「郵送のみ」で、オンライン申請などは設けられていません。「気象予報士試験受験申請書」に基本情報を記入し、写真を貼り付け、試験手数料納入証明欄に振込レシートを貼り付けるか、もしくは必要事項を記入します。申請書は、郵便局の窓口で特定記録扱いで郵送しましょう。学科試験免除を申請する場合には、その旨を記入する必要があります。
気象予報士試験を受験する際には、手数料を支払う必要があります。試験手数料は以下のとおりです。
手数料の支払い方法は、銀行振込です。振込先は、「ゆうちょ銀行」「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」の4行から選べ、インターネットによる銀行振込も可能です。
ここまで試験内容や資格を取るメリットについて紹介しましたが、気象予報士に向いているのはどのような人なのでしょうか。ここでは、気象予報士に向いている人の適性を紹介します。
気象予報士は、気圧、気温、湿度などのさまざまな気象データを分析することによって気象を予報します。同じ気象データを前にしても、気象予報士によって予報の内容は異なるのため、決まった公式に当てはめるだけでは答えが出ません。そのため、さまざまな角度からものごとを深く分析する力が必要不可欠です。
専門知識がなければ理解できないさまざまな気象データを読み解き、これからどのような天気や気温の変化が起きるのかをわかりやすく伝えるのが気象予報士の仕事です。一般の人には気象の専門知識はないので、できるだけ具体的にわかりやすく表現することが大事なポイント。わかりやすく噛み砕いて伝える力がある人は気象予報士への適性があるといえます。
気象予報士の仕事は、常に新しい知識を勉強し続けなければなりません。気象予報は過去の統計データや経験則をもとに未来を予測する仕事ではありますが、時代の流れとともに地球環境も変化するため、新しい事象に遭遇することも数多くあります。今起きている事象を考え抜き、小さなことにも疑問を持ってコツコツと調べる努力が求められます。知的好奇心が旺盛で、学び続ける意欲がある人にぴったりです。
気象予報士試験は、合格率5%前後と難易度の高い試験ですが、生涯有効で日常生活にも役立つ資格です。独学では合格が難しいため、気象予報士試験に挑戦するのなら通信講座などを受講するといいでしょう。
ユーキャンの気象予報士講座では、メインテキストだけでなく副教材や添削課題などがそろっており、広い試験範囲を効率よくカバーできます。また、とくに難しいといわれている、実技試験対策もばっちりです。気象予報士の資格取得を目指すのなら、ぜひご受講ください。
1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
気象予報士試験は非常に難易度が高く、独学で試験に合格するのは困難ですが、理系の知識がすでに備わっている人や他の難関試験に独学で合格した経験がある人は独学で目指せる可能性もあります。
気象予報士は、気象データをもとに天気や降水確率、気温、湿度などを予報する専門家です。長期的な予報や地域・時間を絞った予報など、独自の観点に基づく分析を提供することができます。放送局、新聞社、一般企業、地方自治体、気象庁など、さまざまな場所で活躍できます。
気象予報士の平均年収は、583万3,500円です。勤務先や雇用形態によっても異なり、フリーの人気気象予報士であれば、年収2,000万円程度に達するケースも。気象庁に勤めれば公務員として安定的な収入を得られます。
気象予報士は天気の観測データに関する分析のスペシャリスト。様々な業界で知識が活かせる、生涯役立つ国家資格です。 テレビなどのメディアや民間の気象情報会社をはじめ、農漁業、観光・レジャー産業、通信産業、交通業など、活躍の場はたくさん! また、気象の知識は自分の旅行やレジャーなど、身の周りで活用できるのも大きなメリットです。 ユーキャンの「気象予報士」講座は、天気に関する基礎的な知識から応用問題までを、一からわかりやすく解説! 気象予報士の試験に必要となる、大気力学・熱力学・数値予報といった大学一般教養レベルの知識を、ムリなく学べます。 おすすめは雲や雨、風や気圧、台風など気象学の基礎を映像でわかりやすく解説したDVD。CG(コンピュータグラフィックス)で、身近な気象現象を立体的にとらえられるので、初心者でもスムーズに合格力を養成します。