MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?策定タイミング、浸透方法を紹介

  • MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?策定タイミング、浸透方法を紹介

    公開日:2024.07.09

    更新日:2024.07.09

    MVVとは「Mission(ミッション)」、「Vision(ビジョン)」、「Value(バリュー)」の英語の頭文字を取った言葉です。日本語では企業価値や経営理念、未来像、行動指針といった意味があります。この記事ではMVVとは何か、なぜ重要視されているのか、作成方法、社内で浸透させる方法ポイントなどを解説します。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは何か

企業におけるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは何を指すのか、その意味について紹介します。

M(ミッション)とは


M(ミッション)とは、企業が社会に対して果たすべきことや存在意義を指します。より具体的に表すと、なぜこの企業が存在するのか、社会に対してどのような形で責任を果たし、どんな価値を提供したいのかを明確に示したものです。わかりやすい言葉に言い換えるなら、目標や使命ともいえるでしょう。

V(ビジョン)とは

V(ビジョン)とは、企業が将来目指す姿や理想像を意味します。ビジョンはミッションと密接に関係しており、ミッションに基づいて行動した結果、どんな未来を実現したいのかを表現します。ビジョンは企業の未来を具体化するため、経営の方向性を明確にするものです。ビジョンに共感することで同じ方向性を目指す社員が集まり、社員が一丸となって働ける風土づくりにつながります。

V(バリュー)とは

V(バリュー)とはミッションに従って行動するために、組織内で共有すべき価値観や方針を意味します。バリューはビジョンを成し遂げるための手段であり、バリューがなければ社員の目標がバラバラになってしまいます。またミッションとビジョンが明確でも、バリューが不明確なら理想とする未来の実現は困難です。ミッション・ビジョン・バリューはそれぞれを明確化し、企業の目指すべき未来への道のりを示すことが重要です。

MVVと企業理念・経営理念・行動指針の違いとは

MVVは企業理念や経営理念、行動指針など、近い意味の言葉と同じように使われます。MVVには明確な使い方の定義はなく、いずれも間違いとはいえません。意味合いとしてもミッションは企業理念、ビジョンは経営理念、バリューは行動指針と近いものがあります。企業によってはMVVをスローガンやクレド、ステートメントなど呼び方を変えることがあります。本質的な意味はほとんど変わりませんが、言葉の用途に注意してください。

MVVが重要視されている理由

なぜMVVが重要視されているかといえば、社内外をつなぐ重要な価値があるからです。組織内に目を向けたとき、経営陣と社員の間に価値観や方向性のズレがあると、組織の生産性は大きく低下します。社員は経営陣の考えを理解できず、自社に対して不満を持つようになるでしょう。 MVVが明確で社内全体に浸透していれば、社員が同じ価値観や将来像を共有でき、一体感とエンゲージメントを同時に高められます。また社外に向けてMVVを発信することで、取引先や顧客、新たな人材など多くのステークホルダーに企業価値をアピールできます。自社のイメージアップにつながるだけでなく、同じ志を持つ優秀な人材も採用しやすくなるはずです。MVVは組織内で価値観・理想像を共有するだけでなく、より多くの人を巻き込む大きな影響力を持っています。

MVVを策定するのにふさわしいタイミング

MVVは企業としての価値観・理想像を表現するものです。理想的なタイミングは、起業時に策定することです。ただしすべての企業が起業時にMVVを策定するわけではなく、社会情勢や自社の状況によって策定、変更しています。例えば創業が長い企業は、時代に合わせてMVVを見直しています。MVVは企業にとって大きな転換点に策定することが多く、誰にとってもわかりやすいタイミングに行うのがふさわしいでしょう。

MVVの作成方法

MVVは企業の未来や理想像という大きな目標を策定するため、大目標達成に向けた小目標を作成していく必要があります。

経営層が事業について決定する

MVVを策定するにあたっては、まず経営幹部が集まって自社の事業内容を整理することから始めます。MVVは企業の未来や理想像を決定することから、経営層が事業目的、経営方針について深く理解することが不可欠です。具体的には、次の内容を整理して次のステップへと進みます。

・経営層の描く未来像・理想像のヒアリング
・社員が求めるの自社の将来像のヒアリングング
・経営層による意見交換

上記を行ったうえで、長期的な事業内容を整理しましょう。

ニーズとステークホルダーを把握する

自社の市場ニーズ、ステークホルダーがどのような層なのかを把握することも重要です。例えば3C(顧客・競合・自社)で分析し、策定すべきMVVを検討しましょう。 市場ニーズとステークホルダーが明確になっていないと、MVVを策定しても効果が限定的になってしまいます。自社に対する市場ニーズ・ステークホルダーを正確に把握し、どんな価値や責任を求められているか掴んでください。

社員の理解増進を図る

MVVの策定にあたっては、企業上層部だけで推進しても組織全体には波及しません。社員がMVVを理解できるように、ワークショップや研修などを行いましょう。また研修を実施して終わりではなく、社員がMVVについてどのように考えているか、アンケートを行い、理解度を測ることも重要です。

MVVを策定する際に大切なポイント

MVVを策定したら、実際に運用していく必要があります。運用するにあたって意識すべき大切なポイントを4つ紹介します。

MVVへの共通のイメージを持たせる

MVVでは企業の理念や方向性、行動指針について、組織全体で共通イメージを持てるようにすることがポイントです。例えば人によって言葉の捉え方に違いがあるようなら、言葉の定義を明確にする必要があります。またMVVはそれぞれが独立したものではなく、つながって1つになります。MVVのつながりを意識してもらうためにも、日ごろからイメージを明確にできる情報を発信しましょう。MVVに対する理解が進むほど、社員の行動には迷いがなくなり、組織の生産性も向上していきます。

適切な情報量に調整する

MVVを社員に伝える際は、情報量を調整して理解を促すことも大切です。ありがちな失敗として、情報量が多すぎて社員の記憶に残りにくいというケースがあります。経営層はMVVに多くの思いを込めますが、その結果情報量が多くなるパターンです。 MVVは普段の業務から意識すべき内容ですから、記憶に残りやすいことが重要な条件です。短く、語感が良く、平易な言葉で表現しましょう。適切な情報量を守り、社員が常に意識しやすいMVVを策定しましょう。

共感しやすい言葉で伝える

MVVでは難しい言葉は使わず、誰もが共感しやすい言葉で伝えることも大事です。日本語には同じ意味を持ちながら、難しい文字で表現する言葉があります。難しい言葉での表現は記憶に残らず、言葉へのイメージも変わってしまいます。子供でも理解しやすく、共感しやすい言葉を用いると効果的なMVVになるでしょう。

時代の変化に対応する

社会情勢や常識は時代とともに変化しており、MVVも時代に適した内容に変更していく必要があります。顧客はインターネットを通じて企業のMVVと触れる機会も多く、時代錯誤な内容は批判される可能性があります。情報発信はちょっとしたきっかけで問題になることもあるため、細心の注意を払うべきです。

MVVを社内で浸透させる方法とは

MVVを策定し、社内で浸透させるための4つのポイントを紹介します。

社内全体に周知する

テレワークで在宅の人もMVVを知るきっかけとなるため、誰もが見やすい場所に掲載するのは効果的です。

人事評価の項目に組み込む

社員の間にMVVを浸透させるには、人事評価の項目の一部としてMVVに関連したものを盛り込みましょう。一例として、MVV賞のようなMVVを理解した行動ができた社員への表彰や、人事評価で高く評価するなどの方策があります。MVVを単なる企業のスローガンではなく、当事者意識を持って理解できるようにすることが狙いです。MVVを理想として語るだけでなく、日ごろの業務にも結び付けられると広く浸透しやすくなります。

ツールを活用する

MVVを浸透させるには、日ごろから社員の目につきやすい場所にMVVを表示する方法もあります。例えば社員証の裏や名刺、電子端末のホーム画面などに記載すると意識せずとも浸透していくでしょう。あまりに目立ちすぎると社員のストレスになるため、さりげない場所やツールに記載するのがポイントです。

MVVを社内で浸透させるためのポイント

MVVを社内で浸透させるために、意識すべきポイントを4つ紹介します。

定期的な情報発信

MVVは1回だけ情報発信を行っても、時間経過とともに記憶から薄れていきます。 組織全体にMVVを浸透させるには、定期的に情報発信を行うことが大切です。新入社員が入ってくるタイミングや四半期決算、新製品の発表会などさまざまなタイミングで情報発信を行いましょう。また何度も同じ内容ばかり伝えても新鮮味がなくなり、社員の記憶には残りにくくなります。定期的・継続的に情報発信をする以上、伝え方はもちろん、具体的な行動も一緒に説明すると理解が進みやすくなります。

経営者の言葉で伝える

社員がMVVに親しみを持つには、経営者が自分の言葉で社員に発信することも重要です。MVVは会社の経営理念や行動指針となるため、一番の理解者がわかりやすく伝えなければなりません。単にMVVの内容を読み上げるのではなく、背景にある思いやきっかけとなったエピソードなどを語りましょう。淡々と伝えるだけでは記憶に残りませんが、感情に訴えることで強く記憶に残ります。経営者がMVVへの熱意を語ることで、社員も同じ熱量で応えてくれるはずです。

転換点やイベントで伝える

MVVを浸透させるには、社員にとってもMVVが身近な存在である必要があります。人事評価やワークショップ、忘年会・新年会、社員旅行などあらゆる場面でMVVについて理解を促しましょう。またMVVに大きな貢献をした社員に対し、特別な表彰を行うのも印象に残るため効果的です。情報発信の頻度は社内の浸透状況にも影響しますから、タイミングを見ながらMVVを盛り込むことが大切です。

理解を深める機会を作る

情報発信でMVVについて知る機会を増やしたら、理解を促進する機会も設けましょう。研修やワークショップを通して、社員がMVVに触れ、理解を深められるようサポートすると効果的です。社員同士でディスカッションすることで、MVVへの共通認識を作ることにもなります。

MVVの成功事例

日本企業でMVVを導入し、社内で浸透させることに成功した事例を紹介します。

国内大手IT会社A

・ミッション:UPDATE JAPAN 情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。
・ビジョン:世界で一番、便利な国へ
・ステートメント:買いたいものがすぐ手に入る。知りたいことが、すぐわかる。世の中を便利にすればするほど、人はもっと自由に、人生はもっと豊かに。世界に誇れる便利さで、すべての人の可能性を引き出したい。オンラインとオフラインの境界を無くし、100を超えるサービスを通じて、日本を、世界で一番、便利な国へ


国内大手飲料メーカーB社

国内大手の飲料メーカーB社も、MVVの導入に成功した事例の1つです。 飲料・食品を扱うからこその明確なミッションです。 MVVに加えてCSV(共有価値の創造)も盛り込まれていることから、先進的なMVVとされています。

・ミッション:社会における永続的、長期的なB社の存在意義
・ビジョン:食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる
・バリュー:熱意・誠意・多様性〈Passion.Integrity.Diverdity.〉
・コーポレートスローガン:よろこびがつなぐ世界へ

・CSVパーパス:「酒類メーカーとしての責任」を果たし、「健康」「コミュニティ」「環境」という社会課題に取り組むことで、こころ豊かな社会を実現し、お客様の幸せな未来に貢献します。

クラウドソーシング企業C社

C社はクラウドソーシング事業を行っており、テクノロジーと個人の持つ力を最大限活用することをMVVのテーマにしています。特徴は、ビジョンを企業と個人の2つの視点から設けている点です。また行動指針として、5つの在り方を明確化しています。

・ミッション:個のエンパワーメント
・デュアルビジョン:①企業側:すべてのビジネスを「ランサーの力」で前進させる、②個人側:誰もが自分らしく才能を発揮し、「誰かのプロ」になれる社会をつくる
・行動指針:①すべてはユーザーのために、②101をやり切る、③あるべきで考え、大胆に行動する、④アクション・アジャイル、⑤チームクリエイター

国内大手広告代理店D社

D社では、MVVの原点は「生活者とともに未来をつくる」ことで、生活者発想を第一にMVVも考えられています。また生活者・企業・メディアなどの幅広いステークホルダーをプレイヤーとして、共創の仕組みを作ることも博報堂の重要な考え方の1つです。


・ミッション:未来を発明する会社へ(Inventing the future with sei-katsu-sha)
・ビジョン:生活者発想、パートナー主義
・バリュー:Ask 第一生活者として問いを立てる、Draw まだ見ぬ生活場面を描き出す、Build 次の時代状況を出現させる

人材育成ならユーキャン


社内にMVVを浸透させ、優秀な人材を獲得・育成するならユーキャンの研修がおすすめです。ユーキャンは社員向け育成ノウハウに加え、管理職向けの研修も多数提供しています。自社のMVVを全社員に浸透させるには、社内研修だけでは難しいことがあります。
ユーキャンの研修プログラムならMVVの基本から学び、効果的な人材育成カリキュラムの提供が可能です。社員のパフォーマンスを高めると同時に自社への理解を深め、企業に貢献できる人材を育てます。

まとめ

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について、概要や作成方法、浸透させる方法とポイントなどを解説しました。
MVVは企業理念や行動指針を社内外にアピールし、企業としての責任や価値観を広める施策となっています。多くの企業が事業内容や活動歴を踏まえ、自社の持ち味を最大限発揮したMVVを発信しています。社会状況が急速に変化する中で、自社についてステークホルダーに理解してもらうには、MVVの策定が必要不可欠です。自社に適したMVVを決定し、企業として社会に対して責任ある行動を取るよう心がけましょう。

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