キャリア自律とは?定義、実現するメリット、課題と解決策を紹介

  • キャリア自律とは?定義、実現するメリット、課題と解決策を紹介

    公開日:2024.07.12

    更新日:2024.07.12

    キャリア自律とは、組織から指示・指導されることなく、社員が自らのキャリア開発を自主的・主体的に考え、行動することです。日本の年功序列・終身雇用制度が変化し、成果主義・能力主義が一般化したことで、キャリア自律が多くの企業で重要視されています。この記事ではキャリア自律の意味や実現することのメリット、企業の課題と解決策などを解説しています。

キャリア自律とは何か?

キャリア自律とは企業や上司から指示されることなく、社員個人が自分のキャリアプランを練り、自律してキャリアアップを図ることです。日本では企業が用意した研修や業務、経験を通してキャリアアップするのが一般的でした。しかし、この仕組みは企業にとって望ましい人材を育成することはできても、社員個人が自律してキャリアを開発するには不向きです。 時代とともにビジネス環境も流動的に変化しているため、自分のキャリアを柔軟に考える重要性が増しています。

従来のキャリア開発

従来のキャリア開発は、企業主導で用意された研修やプログラムをこなすことで、段階的にキャリアアップするのが一般的でした。年功序列制が主流の時代なら問題ありませんでしたが、現代は成果主義・能力主義の時代に変化しています。時代の流れに伴い、キャリア開発には社員が自分で将来を考え、自分の望むキャリアを構築することが主流になりつつあります。

キャリア自律が注目されるようになった理由・背景

キャリア自律が日本で注目されるようになった理由・背景には、次の5つが影響しているとされています。

・雇用制度の変化
・自律型人材が重視されている
・キャリア・年収アップ目的の転職が増えている
・働き方の多様化
・自己実現への意識の高まり

雇用制度の変化

日本は高度経済成長期から年功序列・終身雇用制度を維持してきました。近年の経済成長の鈍化は日本型の雇用制度により、若手の成長やキャリアアップが阻害されていることも一因です。従来の雇用制度は勤続年数を人事評価の柱にしており、個人の能力は意識されませんでした。しかし、今や日本の大企業の経営陣であっても、年功序列や終身雇用は限界を迎えていることを明らかにしています。これからは成果主義・能力主義が基本となるため、個人の能力やキャリアが重要になります。キャリア自律も個人の成長に関係する重要な要素として、多くの企業で注目されているのです。

自律型人材が重視されている

企業の経営者も、組織がこれからの時代を生き残るには、成長する人材が重要になることを理解しています。そのため、自律型人材の育成に向けてキャリア自律を支援し、社員が成長できる環境を整えようとしています。従来の企業教育では、部下は上司の指示通りに動き、それ以外は考えずに働くことが美徳とされていました。しかし、 現代の変化が激しい社会環境を生き抜くには、社員一人ひとりが自発的に考えて行動することを求められています。企業が成長し、利益を生み出し続けるためにも、キャリア自律で自分から成長していく人材が重要視されています。

キャリア・年収アップ目的の転職が増えている

従業員側の理由としては、キャリアアップや年収増加を目的とした転職が増えている点も、キャリア自律に関係しています。日本では1つの会社で長く働き、定年を迎えることが良いとされてきました。しかし、今や自分のキャリアや年収を上げるために、より条件の良い企業へ転職することも当たり前になっています。中には退職して独立し、自分で会社を設立する人もいます。社員一人ひとりが自由なキャリアを描ける時代になったからこそ、キャリア自律の重要性が高まっているのです。自分の経験やスキルを活かし、現職よりキャリアアップ、年収アップにつなげようと考えているためです。

働き方の多様化

現代は多様な価値観とライフスタイルが広まっており、働き方も多様化しています。仕事を自分のライフスタイルに合わせ、ストレスや制限のない働き方を選択する人も増えています。会社員として毎日夜遅くまで働くことだけが正しいのではなく、自分の人生を豊かにすることを重視する人も増えてきたからです。また、スキルを高めてキャリアアップを目指す人も多く、その点もキャリア自律を促進しています。自分の人生に合わせたキャリア開発を計画することで、固定観念にとらわれない働き方を実現しやすくなるでしょう。

自己実現への意識の高まり

社員個人の人生に焦点を当てれば、自己実現への意識の高まりもキャリア自律に影響しています。企業内でのキャリアアップを含め、自分の人生で目指すべきもの、叶えたい目標を持つ人は少なくありません。企業で培った経験や磨いたスキルを元に、自分の夢や目標を実現するために努力する人もいます。自分の人生を会社に委ねるのではなく、自ら道を切り開く意思を持つ人にとって、キャリア自律は非常に重要な考え方です。

キャリア自律を実現する会社のメリット

社員個人の人生に焦点を当てれば、自己実現への意識の高まりもキャリア自律に影響しています。企業内でのキャリアアップを含め、自分の人生で目指すべきもの、叶えたい目標を持つ人は少なくありません。企業で培った経験や磨いたスキルを元に、自分の夢や目標を実現するために努力する人もいます。自分の人生を会社に委ねるのではなく、自ら道を切り開く意思を持つ人にとって、キャリア自律は非常に重要な考え方です。

従業員エンゲージメントの向上

キャリア自律を支援して実現すると、社員の会社に対するエンゲージメントが高まります。会社が社員のキャリアを支援していることが伝わるため、企業で働くことに意義を感じる社員が多くなるでしょう。また、会社が社員に対して明確なキャリアプランを提示できれば、キャリア自律をよりスムーズに進められます。エンゲージメントが高まれば社員の生産性が向上するだけでなく、離職防止にもつながります。

生産性の向上

キャリア自律の実現によって、社員一人ひとりの生産性が高まるのもメリットの1つです。

キャリア自律では社員が自らキャリア開発を行うために、自主的に学習や経験を積み重ねます。学習によって社員のスキルが高まり、その結果生産性も向上します。組織の生産性が低下しているときこそ、キャリア自律を支援して、社員の成長を促しましょう。

社員のスキル向上

キャリア自律の支援には、社員のスキル向上の効果もあります。通常の研修では業務上必要なスキルは磨けるものの、社員の自己成長につながるスキルや知識は身につきにくいとされています。そこで、社員のスキルアップにつなげるため、キャリア自律の支援が重要です。キャリア自律では社員が自らキャリア開発を計画し、成長に必要な知識やスキルを磨き、目指したいキャリアプランを描きます。自発的に必要なスキルを選択することで、社員のモチベーションが高まります。

キャリア自律を促進する要因とは

社員のキャリア自律を促進するには、3つの要因を大切にしましょう。

・社員の意思を優先する
・社内のキャリアを明確化する
・管理職のキャリア支援スキルを高める

社員の意志を優先する

社員のキャリア自律を促進するには、社員一人ひとりが持つ意思を優先することが大切です。社員の意志とは、仕事において管理職になることや、希望する分野で働くことだけではありません。ワークライフバランスを大事にする、子育てと仕事を両立するなどの考え方も社員の意思です。キャリア自律とは単にキャリアアップだけを指すのではなく、その人らしいキャリア設計を行うことです。会社は社員がキャリアに対してどのようなビジョンを持っているかを把握し、その意思を可能な限り尊重しましょう。そして、会社としてどんなキャリアを描いてほしいかを擦り合わせ、会社と社員の双方が納得できるキャリアを設計していくことが重要です。

社内のキャリアを明確化する

キャリア自律の促進と、社内でのキャリア・ポストの明確化は密接に関係しています。

例えば、社員が将来的に管理職になりたいと考えていても、キャリアアップの基準や得られるポストが明確でなければモチベーションも上がりません。また社内にどのような部署があり、どのような業務をしているのかがわからないと、キャリアの選択肢が狭くなるでしょう。特に業務内容がマニュアル化、ルーティン化されておらず、業務が属人化している場合は顕著です。属人化した業務は他の社員の成長を奪うだけでなく、キャリアの選択肢も奪ってしまうからです。企業としてキャリアアップに必要なスキルや経験、ポストを明確化できれば、社員もキャリアプランを立てやすくなります。

管理職のキャリア支援スキルを高める

社員のキャリア自律を促進するための前提条件として、管理職のキャリア支援スキルの向上も必須要因です。 キャリア自律は社員個人の意思も重要ですが、上司から支援してもらわなければ、具体性のある計画は立てにくいからです。管理職がキャリア自律を支援できれば、社員も納得してキャリアプランを検討できます。逆に管理職にキャリア支援のスキルや意識がないと、上司の発言に説得力がなくなり、社員からの信頼も得られません。社員のキャリアへの意識を高めるには、管理職自身がお手本になる必要があります。そして、会社は管理職向けにキャリア支援スキルの研修を行い、組織が一丸となってキャリア自律を支援している姿勢を打ち出してください。

日本企業がキャリア自律を促進する際の課題

近年は日本企業でもキャリア自律を促進する動きが広がっています。しかしキャリア自律により、企業は思わぬ事態に見舞われることがあります。日本企業がキャリア自律を促進する際、想定すべき課題についてみていきましょう。

社員の転職を助長してしまう

キャリア自律を促進することで考えられる課題の1つ目は、社員の転職を助長してしまうことです。キャリア自律は社員一人ひとりがキャリア設計を自由に考え、自分の望む働き方や役職、仕事をしていくことにつながります。しかしキャリア自律を支援した結果、社員が転職により別の会社でキャリアを積む方向へ進む可能性も考えられます。社員がスキルを高めて自信がつけば、それだけキャリアや仕事の選択肢も広がります。また、高いスキルを持った人材は他社からスカウトされ、条件次第では転職することもあるでしょう。社員の離職を防止するには、企業側から複数のキャリアを提示することが大切です。転職しなくても社員が望むキャリアを手に入れられるなら、離職を防止できます。キャリア自律とキャリアの提示はセットで考え、長く働き続けられる環境を整備すべきです。

キャリア自律の意識が広がらない

企業側がキャリア自律を支援しても、社員に意識が広がらなければ、望むような効果は得られません。例えば、キャリア自律の施策としてタレントマネジメントを推進しても、社員が自主的に取り組まなければ効果は限定的になります。キャリアについてどのように捉えているかは、社員の価値観や仕事観によって違います。出世に関心の強い人もいれば、現状に満足している人や私生活を大切にしている人もいるでしょう。会社側から何のためにキャリア自律を推進するのか、キャリア開発を行うことのメリットや将来性について伝えていく必要があります。また、社員がキャリアへの意識を高められるように、組織における部署や社員ごとの役割を明確にすることも大切です。 社員一人ひとりが仕事に対するやりがいや、将来の働き方をイメージできれば、キャリア自律への意識も高めやすいでしょう。

管理職のキャリア自律への理解が不足している

社員のキャリア自律を支援しようとしても、管理職にキャリア自律への理解が不足しているケースもあります。部下がキャリア開発をしていくには、上司からの理解と支援が必要不可欠です。しかし上司の理解が不十分なままでは、部下は思うように行動できず、キャリア開発へのモチベーションが下がってしまいます。組織全体で社員がキャリア自律できるように、管理職向けに研修や学習会を開催すべきです。キャリア形成には長期的な視点が必要であり、上司がキャリアへの理解を示し、道筋を示していくことが重要となります。組織全体でキャリア自律に取り組むには、管理職の教育とキャリアに関する情報共有を進めましょう。

キャリア自律を促進する際の課題の解決策

キャリア自律の促進するうえでの課題に対し、解決策も見出されています。
3つの解決策について紹介します。
・キャリア研修・面談の実施
・管理職への理解を促す
・リカレント教育の推進

キャリア研修・面談の実施

キャリア自律における課題を解決するには、キャリア研修・面談の実施が効果的です。キャリア自律における課題は年代によっても異なり、30代以上は責任ある仕事も多く、自分のキャリアプランについて考える時間が足りないことがあります。そこでキャリア研修やキャリア面談を設けることにより、自らの強みや価値観を活かしたキャリア開発が実現できます。また、キャリア面談では上司と将来のキャリアについて相談することで、これからの自分の働き方や自発的にキャリアを考える重要性を理解できるでしょう。併せてキャリアセルフドックを導入し、社員のキャリア支援を推進するのも効果的です。

管理職への理解を促す

キャリア自律の推進での課題を解決するには、管理職にキャリアへの理解を促すことも重要です。キャリア面談も含め、社員が自分のキャリアを具体的に考えるには、管理職の支援も必須です。企業側がどれだけキャリア自律を推進しても、現場で働く上司と部下が共通認識を持っていなければ期待した効果は見込めません。社員のキャリア自律支援について、なぜ必要になるのか、企業の利益とどうつながっていくのかを管理職にも理解してもらいましょう。そして、管理職が部下のキャリア自律支援に前向きになり、具体的なアクションを起こせるようにサポートしてください。もちろんキャリア自律が重要なのは一般社員だけでなく、管理職を含めた全社員です。管理職にキャリア自律を支援しながら、一般社員の手本となるキャリアを体現していくことが大切です。実際に上司がキャリア自律に取り組む姿勢を見せることで、部下もその必要性を理解できるでしょう。

リカレント教育の推進

キャリア自律に関する課題を解決するなら、リカレント教育の推進もポイントになります。リカレント教育とは、学校教育や大学などを終えてからも、社会人として仕事と自己学習で研鑽を続け、キャリアアップを目指すことです。リカレント教育自体は企業から強制するものではなく、社員個人の意思によって行われるものです。しかし、社員の誰もがリカレント教育に取り組めるわけではないため、企業として推進していく意義はあります。 また、社員が自己研鑽によってスキルアップやキャリアアップすれば、企業にとっても人材確保や生産性向上、利益向上などのメリットになります。企業は社員がリカレント教育へと積極的に取り組めるよう、資格手当の支給や人事評価への加算などを行うとよいでしょう。

キャリア自律の実現のため会社が取り組むべきこと

キャリア自律を実現するために、会社が取り組むべき5つのポイントを紹介します。

・企業としての理念や価値観を明示する
・HRM(人的資源管理)システムと企業システムを連携させる
・社員がキャリアについて考える機会を設ける
・上司と部下がキャリアについて話せる場を設ける
・社内全体で学びやすい風土・環境を作る

企業としての理念や価値観を明示する

キャリア自律を実現するために会社が取り組むべきポイントの1つ目は、企業としての理念・価値観を社員に明示することです。 企業が社員にキャリア自律を推進する前に、そもそも企業にどのようなミッション・ビジョン・バリューがあるのかを伝えましょう。社員がキャリア開発を検討するにしても、まず自社にどのような理念と価値観があるか知ることが前提だからです。企業として果たすべき責任、社会課題への姿勢、思い描く未来像がなければ、社員一人ひとりのキャリアプランも明確にできません。例えば環境問題への取り組みとして、既存製品のリサイクルを活性化するというミッションがある場合、社員は新技術開発の担当になりたいと考えることもあるでしょう。企業が目指す方向性が定まっていれば、社員もそれに合わせてキャリア形成を進め、活躍できる人材になる努力ができます。社員のキャリア自律を推進するなら、まず会社としての理念・価値観をわかりやすくすることが重要です。

HRM(人的資源管理)システムと企業システムを連携させる

キャリア自律を実現するために会社が取り組むべきポイントの2つ目は、HRM(人的資源管理)システムと企業システムの連携です。HRMシステムとは、企業の人材を経営資源として捉え、人材を有効活用する仕組みの体系化・構築・運用まで行うことを指します。HRMシステムでは人材は企業の大事な資源と考えることから、企業では社員の個人情報を細かく数値化して把握することを重視します。具体例の1つとして、タレントマネジメントがわかりやすいでしょう。タレントマネジメントでは社員の職務経歴やスキル、目標、評価などを可視化できます。こうした社員の大事なデータを保管するだけでなく、企業システムと連動し、人事評価にも反映することが解決策になります。HRMシステムだけが独立していると、企業の人事評価へと完全に反映するのが難しく、優秀な人材を見落としている可能性が高いです。しかし2つのシステムが連動することで、相互に情報共有でき、適材適所な人材配置ができるようになります。社員にとっても仕事へのやりがいが高まることになり、業務効率や生産性向上が期待できます。

社員がキャリアについて考える機会を設ける

キャリア自律を実現するために会社が取り組むべきポイントの3つ目は、社員がキャリアについて考える機会を会社側から設けることです。社員にキャリア自律を推進しても、社員だけでは具体的なキャリアビジョンを思い描くのは容易ではありません。そのため、 会社はキャリア自律の支援策として、他の社員や上司と対話する場を設け、キャリアについての理解を深めてもらうことが大切です。 多くの会社では、昇進・昇格のタイミングが決まっており、一定の経験とスキルを持つ人材がキャリアアップできます。実際にキャリアアップした社員から話を聴くことで、将来についてイメージしやすくなり、自分が目指すべき道も見えてくるでしょう。また自分の知らないキャリアの道を発見し、部署異動や新しいことに挑戦したいと考える社員が現れる可能性もあります。社員がキャリア自律に前向きになれるよう、企業側が情報提供する機会を設けましょう。

上司と部下がキャリアについて話せる場を設ける

キャリア自律を実現するために会社が取り組むべきポイントの4つ目は、上司と部下がキャリアについて対話できる場を設けることです。社員がキャリア自律を進めるには、上司との対話を通して具体的な目標や行動計画を相談することが欠かせません。部下にとっての上司はキャリアアップを実現した先輩でもあり、具体的なキャリアプランを提示してくれるでしょう。また、上司と部下がキャリアについて話す機会があると、次のメリットもあります。

・上司と部下の信頼関係が構築できる
・相互の理解が深まる
・キャリアに対する共通認識が持てる
・社員全体のモチベーションアップにつながる

ただし多くのメリットがある一方で、上司に1on1ミーティングやPDCAを回すスキルがないと、メリットになりにくいことがあります。単なる対話の場ではなく、上司にもキャリア自律の重要性を理解してもらったうえで、有意義な対話ができるように環境を整備しましょう。

社内全体で学びやすい風土・環境を作る

キャリア自律を実現するために会社が取り組むべきポイントの5つ目は、社内全体で学びやすい風土・環境を作ることです。これはキャリアに関する内容だけでなく、スキルや資格、業務に関することなど幅広く当てはまります。組織内でキャリアアップしようとすると、どうしても自分の専門分野や得意分野、経験の多い部署に偏りが出てしまいます。

しかしキャリア自律においては特定の分野に偏るのではなく、自分の持つ可能性にチャレンジすることも重要です。そのため自分の所属する部署の上司だけでなく、あらゆる部署の上司や社員と交流できる座談会や交流会を設けると効果的です。他部署との情報交換を通して新しいキャリアが見えたり、別の分野に興味が湧いたりすることもあるでしょう。

社内全体で学びを促す仕組みや関係性を構築することで、意欲的な人材を育てられるはずです。

キャリア自律した社員の離職を防ぐ方法

キャリア自律した社員の離職を防ぐには、次のような方法・施策を推進することが大切です。

・企業のミッション・ビジョン・パーパスを社員に周知する
・柔軟な働き方ができる環境を用意する
・適切な人事評価制度の構築
・管理職のコミュニケーションスキル向上
・社員の待遇や業務効率の改善

社員がキャリア自律した結果、離職してしまう背景には、企業の理念への理解不足、ワークライフバランスの悪さ、古い人事評価制度などの問題があります。社員がキャリアアップしてからも同じ企業で働き続けるには、企業側も社員に対して歩み寄る姿勢が重要です。キャリア自律を支援して終了するのではなく、その先も社員が働きやすい環境を用意することで、離職を防止できます。

成功事例

実際にキャリア自律の支援が成功した企業の例を4つ紹介します。

国内大手電器メーカーA

A社では社員のキャリア自律のため、「すべての社員が魅力的な仕事に挑戦し、常に学び成長し続ける」という目標を掲げました。キャリア自律の支援策として「FUJITSU Career Ownership Program」を開始し、社員に3年後の未来の自分を思い描き、そこに至るための1on1ミーティングを設けました。

上司との面談を通して、社員が未来に向けた具体的なビジョンを持つようになり、キャリア自律の促進に成功しています。またジョブ型雇用も導入し、選択研修やLMSの運用によって社員のキャリア開発を推進しています。

国内大手食品メーカーB

B社では「社員全員が仕事を楽しみながら変化を追求していく」を目標に、組織風土改革を行いました。目標達成のために2017年に公募ポストの年齢制限を撤廃し、社員が自由にキャリアを磨ける環境を提供しています。これによって50歳を超える社員にも募集ポストに応募する資格が与えられ、年齢によるキャリアの壁を打ち破る機会が与えられました。

またベテラン社員の意欲に刺激されることで、若手・中堅社員も自身のキャリアについて真剣に考えるようになりました。

国内大手通信会社C

C社では、働き方がリモート中心に移行する中、その変化に応じたキャリア自律の支援を行っています。リモート中心の社員向けに、キャリアコンサルタントと面談できる「YJぴあさぽ」や部署を横断したキャリア自律支援を打ち出しています。社員にさまざまなキャリアを提示することで、自由なキャリア開発ができるようになりました。

国内大手電子機器メーカーD

D社では、社員と組織の課題・将来のありたい姿、3年後の未来、キャリアの阻害要因などを分析するシートを導入しました。社員だけでなく組織やチームも巻き込んでキャリアプランと行動計画を具体化している点が特徴です。上司やチームとともにキャリア自律を進めていくことで、社員の行動が具体化しやすく、双方向のフィードバックができています。

人材育成ならユーキャン

人材育成に向けて効果的な研修プログラムをお探しなら、ユーキャンにお問い合わせください。ユーキャンでは企業の人材育成のために、オーダーメイドの研修カリキュラムを提案しています。 社員のキャリア自律を促すには、企業から社員への支援を行い、キャリア開発しやすい環境と風土を醸成することが重要です。「若手社員が伸び悩んでいる」「せっかく育てた人材がすぐに転職してしまう」このようなお悩みを持つ研修・人事担当者の方は、ユーキャンにお任せください。貴社の業種、組織形態に合わせて、キャリア自律の研修プログラムの提案とサポートを行っていきます。

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まとめ

今回はキャリア自律の定義やメリット、企業の成功例などを解説しました。キャリア自律を促せば社員が自らキャリアプランを考え、スキル習得や実務経験を磨けるようになります。上司やチームで目立つ優秀な人材だけでなく、影で支える優秀な人材も発掘しやすくなるでしょう。企業に優秀な人材を定着させ、生産性や業務効率の向上、学ぶ意欲の高い社員を獲得するためにキャリア自律の支援を加速させましょう。

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