クリティカルシンキングとは?意味や実践方法、鍛える手段を解説!

  • 公開日:2023.11.28

    更新日:2023.11.28

    社会全体の変化が激しく不確実な情勢の中で個人や企業が生き残っていくためには、クリティカルシンキングが必要とされています。特にビジネスシーンにおいて、生産性向上を目指すためには欠かせない考え方の1つです。この記事では、昨今注目されている「クリティカルシンキング」について、注目される理由やメリット、鍛える方法などを解説します。

クリティカルシンキングとは?

クリティカルシンキングとは、日本語で「批判的思考」を意味します。物事を批判的な視点から見て、本質を見抜けるようにする考え方のことです。 クリティカルシンキングを意識すれば、先入観や思い込みを打破して、普段の考え方や行動を見直せます。

批判的な視点といってもネガティブなものではなく、全ての物事に対して一度疑うところから始め、本質を見極めるというものです。クリティカルシンキングによって、客観的に考える習慣が身につけば、主体的な意思決定や問題解決、計画の立案などに役立つため、企業の生産性向上にも役立つでしょう。

クリティカルシンキングが注目される背景

クリティカルシンキングが注目される主な理由は以下にあげる2つの背景があるからです。

  • ・ニーズの変化が起こりやすく柔軟な対応が求められている
  • ・ニーズを見きわめて事業を進めるために本質を見抜く必要がある

柔軟な対応が求められる

現代社会は時代の流れが早いため、ニーズの移り変わりも激しく、企業には柔軟な対応が求められています。これまで正しいとされてきた常識やセオリーは、短期間で変化するようになっているため、企業が生き残るためには、現状における最適な方法や考え方であるかを見抜くスキルが必要です。クリティカルシンキングは、これまでの考え方で問題ないか、自社の取り組みが時代に合ったものなのか確認するため役立ちます。

本質を見抜く重要性が高まった

社会全体が著しく変化していることで、昨今の社会やビジネスは複雑化しています。さまざまな価値観が存在している世の中において、ニーズに適したビジネスを展開するには本質を見抜くことが重要です。クリティカルシンキングにより、疑問を持つことで、客観的な考えを持てるようになり、本質を見極められたり、新たなビジネスチャンスが生まれることもあります。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いとは

クリティカルシンキングと同様に、ビジネスシーンで注目されている概念としてロジカルシンキングがあります。

ロジカルシンキングとは、物事の結論に対して、なぜそうなるのかという根拠を筋道立てして考え、論理的に解釈する考え方です。物事を的確に把握する点において、クリティカルシンキングに似ていますが、ロジカルシンキングでは、対象とする物事の前提にまで目を向けません。前提が間違っていれば、誤った情報を導き出してしまう可能性があります。

一方、クリティカルシンキングは前提が正しいのかどうかを疑い、物事の本質を見極める考え方です。そのため、偏りのない的確な結論を導き出すために役立ちます。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの相乗効果

クリティカルシンキングとロジカルシンキングは、異なった概念ですが、合わせて取り入れると相乗効果を期待できます。ロジカルシンキングだけでは前提条件が正しいか判断ができず、クリティカルシンキングだけでも論理的な考え方が難しくなってしまいます。

クリティカルシンキングのメリット

クリティカルシンキングを取り入れるメリットは、以下の5つあります。

  • ・対応力が養われ適切なコミュニケーションができる
  • ・データや数値を用いて客観的に判断できる
  • ・物事を多角的な視点で捉えリスクを回避できる
  • ・課題や問題点の早期発見に役立つ
  • ・視点を変えることで今までにないアイデアが出やすい

コミュニケーションに役立つ

他者との認識のズレに気づいていない状態のままでは、会話もうまく成り立ちません。クリティカルシンキングでは個人的な感情を排除し、事実を元に話を進めるため、
スムーズにコミュニケーションをとることができます。

事実に基づいて判断が可能

クリティカルシンキングを意識すれば、事実に基づいた判断が可能になります。データや数値から客観的に考えられるようになるため、間違った情報に踊らされるというリスクが減ります。 多くの媒体から情報が得られる昨今では、周囲の考えや感情に影響されやすいため、惑わされないためにも、クリティカルシンキングの考え方が必要です。

リスクを回避しやすくなる

クリティカルシンキングでは、前提を疑い、多角的に物事を見るため、これまで気づかなかった課題の発見につながり、リスクの回避や対策を立てることができます。

矛盾を発見しやすくなる

クリティカルシンキングは、物事の矛盾を発見するのにも役立ちます。前提条件から問うため、事前に矛盾を見つけられ、課題や問題点を見つけやすくなるでしょう。早い段階で課題や問題点を見つけられれば、解決策の立案もスムーズに行えます。

新しいアイデアにつながる

クリティカルシンキングが習慣づくと、新しいアイデアの創出にもつながります。さまざまな視点から考えるので、今まで見落としていた部分も見えてきます。

新商品・サービスの開発や新規事業の展開など、新しいアイデアが必要とされる場面でも役立つでしょう。

クリティカルシンキングを身につける方法

クリティカルシンキングは、意識しなければ身につきません。クリティカルシンキングを身につけるためには、下記の4つの方法が役立ちます。

  • ・物事を客観視して判断する
  • ・経験に頼らず事実やデータを活用する
  • ・正確な情報を取得する習慣を身につける
  • ・クリティカルシンキングを学べる研修に参加する

第三者目線で物事を見る

クリティカルシンキングは、物事を考える際に第三者目線を意識することが基本です。第三者の視点に立てば、常識や思い込みを疑う習慣がつき、客観的に思考できるようになります。主観的な考え方をしていた場合と比べて、整合性があるのかどうかの判断がしやすく、新しいものの見方ができるでしょう。

事実やデータから考える

クリティカルシンキングを身につけるには、自分の考えや常識などではなく、事実やデータに基づいて考える習慣をつけましょう。事実やデータが元になっていれば根拠がある説明ができ、説得力が増すでしょう。

情報の正確性を重視する

クリティカルシンキングを取り入れるには、情報の正確性や信憑性が求められます。いくら事実やデータに基づいて考えているつもりでも、情報元が正確でなければ意味がありません。

情報の正確性を確かめないと、自分に都合のいい情報ばかりを参考にしがちで、情報収集の際には、私情を挟まず、中立の立場を心掛けるといいでしょう。クリティカルシンキングでは、思い込みに任せて情報を選択していないか、常に意識する必要があります。

研修に参加する

研修への参加は、クリティカルシンキングを効率的に身につけられる機会です。専門家が開催している研修であれば、クリティカルシンキングに必要な知識を、独学よりも正確に学べます。客観的な考え方や論点の設定方法などが学べる研修や、実際にフレームワークを用いて行う研修などがあり、研修参加者の思考力を鍛えられます。

基本を習得できたら、実例を交えてスキルを養える研修に参加するのもいいでしょう。自社で研修を実施したり、外部の研修に参加する場合、受講者のレベルに合わせて研修を選択する必要があります。レベルに合わせてさまざまな研修を提供している企業もあるので、活用してみるのもおすすめです。

クリティカルシンキング実践のステップ

クリティカルシンキングを実践する際は、以下の4つのステップ進めます。

  • ・具体的で明確な目的を設定する
  • ・前提条件を疑い整合性を確認する
  • ・課題や矛盾をリストアップする
  • ・課題の解決策を検討してPDCAを回す

目的を明確にする

まずは、クリティカルシンキングの目的を設定します。目的が曖昧だと思考がブレてしまい、無駄に終わってしまいます。クリティカルシンキングでは、どんな物事に関して、どの部分について考え、何を得たいのかを明確にしたうえで思考や論議が必要です。

前提条件が正しいか分析する

目的の設定ができたら、前提条件が、本当に正しい情報をもとにしているのか分析します。基本的に前提条件は誤っていると考え、固定観念や経験則に頼らないように検証しましょう。

課題や矛盾をリストアップ

前提条件の正確性について分析できたら、発見した矛盾点や課題をリストアップしていきましょう。分析の結果には感情を入れず、事実を書き出します。リストアップする項目が多い場合、矛盾点や課題をジャンル分けするとよいでしょう。ジャンル分けは最も重要となる項目を判断する際に役立ちます。

課題解決策を検討する

最後に、クリティカルシンキングによって洗い出された課題の解決策を検討します。解決策の実行にはPDCAサイクルが役立ちます。PDCAとは、業務を改善するためのフレームワークで「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」を意味します。 特に「Check」の部分を重視し、PDCAを繰り返すことで、解決策の整合性を高めます。

クリティカルシンキングを鍛えるポイント

クリティカルシンキングは普段の業務で鍛えることが可能です。以下に挙げるポイントを重視しつつ、研修の実施も検討しましょう。

  • ・第三者目線で物事を見る習慣をつける
  • ・イメージや想像ではなく事実やデータを重視する
  • ・誰が聞いても認識が同じになる言葉を使う
  • ・自分の結論や判断に対する異論を考える
  • ・クリティカルシンキング研修を実施する

客観的な見方を意識する

日ごろから客観的な見方を意識すると、クリティカルシンキングが鍛えられます。物事を第三者目線から見る習慣をつけると、論理的で整合性のある思考につながるでしょう。今まで気に入っていたものや自画自賛していたことでも、客観的に見ると改善の余地があるケースが出てくる可能性があります。多方面からの視点を大事にし、物事の見方を変えることが大事です。

事実から考える習慣をつける

クリティカルシンキングを鍛えるためには、事実に基づいた思考を習慣づける必要があります。思考の際には常に、正しいデータや客観的な根拠を取り入れるようにしましょう。 常識や感情に左右されない考え方がしやすくなり、より思考の精度が上がります。

捉え方に幅がある語彙を使わない

捉え方によって解釈が異なる語彙は多くあるため、捉え方に幅がある語彙は使わないように意識することが大切です。相手によって捉え方が異なると、自分との解釈にずれが生じ、議論の整合性なくなってしまいます。クリティカルシンキングでは、言葉の捉え方は人それぞれの主観や経験、期待値によって左右される点を理解しておきましょう。

自分の考えへの反論を考える

自分の考えに対して、反論する癖をつけると、クリティカルシンキングが次第に身につきます。自己批判を繰り返すと、メタ認知のトレーニングにもなるでしょう。メタ認知とは、自分の行動や考え方、性格などを客観的に認識することです。自分の結論や判断に対して冷静に考えられるようになり、偏った意見や整合性のない結論を出しにくくなります。

社内で研修を実施する

従業員のクリティカルシンキングを鍛えるには、社内での研修実施も効果的です。クリティカルシンキングのフレームワークを学び、実際に考え方を体感してみると日常の業務に取り入れやすくなります。研修参加者にクリティカルシンキングの手法が身につき、社内に浸透させることができれば生産性の向上も期待できます。

まとめ

クリティカルシンキングは、批判的思考と呼ばれ、感情や主観に流されずに客観的な判断や決断をする思考法です。価値観やニーズの移り変わりの激しい現代で生き残るためには、従業員全員がクリティカルシンキングを身につけ業務に活かせるようになることが重要です。

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