データアナリストとデータサイエンティストの違い
データ分析をする職種には、データアナリストとデータサイエンティストがあります。それぞれの仕事内容について解説します。
データアナリストの仕事内容
データアナリストは、データの収集と分析をする職種で、データの活用が主な仕事内容です。分析した結果をもとに仮説を立て、企業の悩みや課題の解決策を提案します。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストは、顧客データや売上といった膨大なデータから、必要な情報の抽出と分析をするのが主な仕事です。収集したデータをもとに、ビジネス課題を解決するための具体案を提案します。
データ分析をする仕事の平均年収
データサイエンティストの平均年収は約557.5万円(令和4年度時点)です。平均月収では、約25.8万円(令和3年度ハローワーク求人統計データ)です。データアナリストの平均年収は、2023年6月16日現在、約594万円です。データアナリストの平均年収は、東京都品川区で約849.1万円、大阪府大阪市で765.8万円など、都市部で高い傾向にあります。
※参考:データサイエンティスト - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)
※参考:日本でのデータアナリストの給与|Indeed (インディード)
データ分析をするメリット
データ分析をすると、問題点が明確になり、さまざまな成果が期待できます。ここでは、以下のデータ分析のメリットについて解説します。
- ・データドリブン経営が可能になる
- ・迅速で適切な意思決定ができる
- ・新たな経営機会を発見できる
データドリブン経営が可能になる
データ分析をすると、分析による数的根拠がある結果をもとに、組織の方針を大きく変更するデータドリブン経営ができます。 データに基づいたアクションが起こせるため、臨機応変に適切な判断や行動が可能です。根拠のあるデータを利用せず、勘や経験則に頼ると経営が不安定になりかねません。
迅速で適切な意思決定ができる
データ分析をすると、発生している課題や問題点の原因が明確になるため、スムーズな解決が期待できます。迅速な対応が求められる現代では、企業の方向性や舵取りの意思決定の遅れは、機会損失につながりかねません。迅速な意思決定には、客観的で精度が高いデータに基づいた判断が求められます。
新たな経営機会を発見できる
データ分析の結果を活用すると、現場では見えなかった問題点や課題点が明確になり、新たな経営機会の発見につながります。データをかけあわせた相関関係や因果関係の発見により、組織の大幅な変革が期待できるでしょう。単体では形骸化しがちなデータも統合して分析すれば、新たな商品やサービスの開発が生まれる場合もあります。
データ分析に必要な知識
データ分析をするためには、以下の知識を身につけておく必要があります。
- ・統計学の知識
- ・プログラミングの知識
- ・ソフトウェアの知識
- ・マーケティングの知識
それぞれ詳しく解説します。
統計学の知識
データ分析は、画一性がないデータや、母集団から抜き出したデータの特徴や性質を明らかにして調べる必要があります。データの性質を数値化して規則性を見出し、価値ある情報を導き出すには、統計学の知識が問われます。データ分析をするために、統計学のための数学、データ分析手段の知識を身につけておきましょう。
プログラミングの知識
データ分析ではデータを統一したり収集したりするために、プログラミングの知識を身につける必要があります。プログラミングの中でも、PythonとR言語がデータ分析に使用される傾向にあります。いずれも、統計専門の言語やツールから、オープンソース系言語への移行が進んだことが理由です。
ソフトウェアの知識
データ分析で大量のデータを扱うときには、分析用のソフトウェアを使用するため、ソフトウェアの知識も身につけておくと良いでしょう。 データ分析をする過程では、煩雑で手間がかかる計算をしなくてはなりません。SPSS、Excelなどのソフトウェアのプログラミングの知識を身につけておけば、効率的に計算ができるため、データ分析にかかる時間が短縮できます。
マーケティングの知識
データ分析では、収集した大量のデータを分析してサービスの提供や市場価格の決定、将来予測を行います。データ分析の結果を仕事に活用するためには、マーケティングの知識が求められます。併せて、適切なKPIを設定する知識も身につけておきましょう。
データ分析に活かせる資格
データ分析の仕事には、以下の資格が活かせます。
- ・基本情報処理技術者試験
- ・データベーススペシャリスト試験
- ・OSS-DB技術者認定試験
- ・統計検定
- ・G検定・E資格
- ・Python3 エンジニア認定データ分析試験
- ・オラクルマスター
- ・統計士・データ解析士
- ・PHP技術者認定試験
- ・Rails技術者認定試験
- ・アクチュアリー資格試験
それぞれの特徴を解説します。
基本情報処理技術者試験
基本情報処理技術者試験は、システムエンジニアやプログラマーなど、ITエンジニアが理解しておくべき基本的な知識を、順序立てて学習できる資格です。ITエンジニアの登竜門といわれ、IT戦略に関する予測・分析力やシステムや、サービスの提案力が求められます。試験では、情報処理の分野以外にも、論理的思考力やマネジメント知識も問われます。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベース技術をより深く追求するために制定された、経済産業省が認定する国家試験です。経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の中でも、レベル4に位置づけられている難関試験です。データ分析の専門家として、情報システムの企画や要件定義・開発から運用・保守までがカバーできる知識を求められるため、試験範囲は多岐にわたります。
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験は、オープンソースデータベースに関するスキルや知識が身についていることを認定する資格です。 オープンソースデータベースは、自由に利用や改変が可能でありながら、機能や性能が商用データベースと変わらないため、企業の活用が進み、注目を集めています。 試験に合格すれば、オープンソースデータベースの技術力が身についていることが証明できます。
統計検定
統計検定は、一般財団法人 統計質品質保証推進協会が実施する、統計学に関する知識や活用能力を評価する民間試験です。試験に合格することで、AIやビッグデータなどの活用に必要な統計学の知識が身についていることが証明されます。統計検定は、以下の10区分に分類されます。
- ・統計検定4級
- ・統計検定3級
- ・統計検定2級
- ・統計検定準1級
- ・統計検定1級
- ・統計検定統計調査士
- ・統計検定専門統計調査士
- ・統計検定データサイエンス (DS) 基礎
- ・統計検定データサイエンス (DS) 発展
- ・統計検定データサイエンス (DS) エキスパート
G検定・E資格
G検定とE資格は、ディープラーニングに関する知識が身についていることを証明する資格です。G検定は、ジェネラリスト向けの試験です。ディープラーニングの基礎知識があり、適切な活用方針を決定して、事業に活用する能力や知識が身についているかを問われます。一方、E資格は、AIを実装するエンジニア向けの試験です。試験では、適切な手法を選択して実績できる知識が身についているかが問われます。
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、Pythonエンジニア認定試験の区分の1つです。Pythonはデータ分析で活用されるプログラミング言語で、データ分析の基本的な知識が身についているかを判定します。データ分析の手法やデータ分析のライブラリに関する知識など、よりデータサイエンスに特化した知識が身についているかが問われます。
オラクルマスター
オラクルマスターは、アメリカのオラクル社のデータベース管理システムの操作や管理など、運用に関する知識が身についていることが証明できる資格です。資格を取得することで、日本国内のデータベース管理ソフトウェアの多くを占めるオラクル社の製品が扱えるようになります。試験の難易度は以下の4段階です。
- ・Bronze
- ・Silver
- ・Gold
- ・Platinum
統計士・データ解析士
統計士・データ解析士は、内閣府移行認可 一般財団法人 実務教育研究所が実施している認定資格です。統計士・データ解析士の資格を取得するためには、実務教育研究所の通信教育を修了する必要があります。統計士の資格は、統計を基礎から順序立てられる知識を証明できます。データ解析士は統計の基礎知識を活用して、実務で使用できる統計技法の知識が身についていることが証明できます。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定試験は、プログラミング言語の1つであるPHPの専門知識が身についていることが証明できる資格です。PHPの普及と発展のために、PHP技術者認定機構が実施しています。初級レベルと上級レベルの試験に分かれます。
- ・PHP5技術者認定初級試験
- ・PHP7技術者認定初級試験
- ・PHP5技術者認定上級/準上級試験
- ・PHP8技術者認定上級/準上級試験
Rails技術者認定試験
Rails技術者認定試験は、Ruby on Railsの専門知識が身についていることを証明する資格です。Ruby on Railsは、WEBアプリケーションを制作する際に使用するオープンソースのWebアプリケーションフレームワークです。基本知識を問うRails5技術者認定ベーシック試験と、Rails4技術者認定ブロンズ試験、Ruby on Railsの実務で使えるコーディング力を問うRails4技術者認定シルバー試験に分かれます。
アクチュアリー資格試験
アクチュアリー資格試験は、保険数理士や保険数理人とも呼ばれるアクチュアリーになるための資格試験です。試験に合格すると、アクチュアリーに必要な専門知識と数理面からリスクを分析できるようになります。また、ビッグデータを活用して、社会問題を解決できる能力が身についていることの証明になります。
データ分析の学習方法
データ分析の知識を身につけるためには、以下の学習方法が有効です。
- ・独学で学習する
- ・講座を活用して学習する
以下で、詳しく解説します。
独学で学習する
データ分析の知識を身につけたり資格を取得したりする場合は、参考書やWebサイトを活用した、独学での学習が可能です。関心や理解度に応じて専門書籍を活用しましょう。書籍や参考書を購入しておけば、データ分析に必要なフレームワークやコードなどを、いつでも参照できるメリットがあります。データサイエンスに関連した学習サイトの活用も有効です。
講座を活用して学習する
データ分析に関する講座を活用した場合、独学での学習とは異なり、不明点を講師に相談できるメリットがあります。オンライン講座であれば、自分の都合に合わせたタイミングで受講が可能です。ユーキャンのデータ分析入門研修では、6時間の研修でデータ活用に対する考え方を理解し、実務に落とし込める知識が身につきます。
データ分析の現状と将来性
データ分析は注目を集めています。データ分析の現状と将来性について解説します。
データ分析が注目を浴びる背景
インターネットやスマートフォンが普及したことにより、事業に活用できるビッグデータの蓄積が容易になりました。蓄積したビッグデータを活用することで、売上に直結するデータや、製品生産ラインでの検査データなど、さまざまなデータの取得と解析が可能です。そのため、データ分析は企業に欠かせないものとして注目を集めています。
データ分析の将来性
多様化した顧客のニーズに応えられる、高いレベルでデータの分析ができる人材が求められている背景から、データサイエンティストの育成を目的とした大学の学部の新設が進んでいます。 2023年5月現在、71の大学でデータ分析について学習することが可能です。
ビッグデータを扱える人材はニーズが高く、今後さらにデータサイエンティストの需要が伸びていく可能性が高いでしょう。一方で、R&D投資(研究開発費用)の削減、AIの台頭、人員の飽和などにより将来性を不安視する声もあります。
まとめ
データ分析は、整理した情報を客観的事実に基づいて判断することです。分析した情報をもとに、企業の抱える悩みや課題を解決したり、新たな経営機会を発見できたりすることから、データ分析は注目を浴びています。
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