衛生工学衛生管理者とは?衛生管理者の種類や仕事内容・資格取得のメリットを解説
- 更新日:2023/05/16
衛生工学衛生管理者は、職場の安全や設備の管理などを行うために必要な資格です。一定数の労働者が在籍し、法定の有害業務が発生する事業場には、資格保持者を配置することが義務づけられているため、資格取得により転職や年収を上げることにつなげられます。この記事では、衛生工学衛生管理者の概要や、資格取得に必要な講習の受験資格、講習の内容などを解説します。ぜひ参考にしてください。
衛生工学衛生管理者とは
衛生工学衛生管理者とは、職場環境の衛生管理を行うために必要な資格です。資格の取得者は、有害ガスや粉じんなどが発生する職場環境において、労働者が安全に働けるように設備等の点検や作業環境の改善、改善指導などを行います。
衛生工学衛生管理者は、常時500人以上を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号までもしくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させる事業場に配置することが義務づけられています。
衛生管理資格の種類による違い
衛生管理の資格は、衛生工学衛生管理者の他に、第1種衛生管理者と第2種衛生管理者があります。それぞれの資格で対応する業務内容に差はなく、衛生工学衛生管理者と第1種衛生管理者は衛生管理の全業種に対応が可能です。ただし、第1種衛生管理者は法定の有害業務のうち、有害業務事業場における一定の業務において、一部対応できないものがあります。
第2種衛生管理者は、建設業やガス業などの危険性が高い職場の業務に対応できません。第2種衛生管理者は、金融や小売業などの有害業務が発生しにくい職場環境であれば、衛生管理の業務に対応できます。
衛生管理の資格の取得方法の違い
衛生管理の資格を取得するには、試験や講習を受ける必要があります。第1種衛生管理者と第2種衛生管理者は、厚生労働大臣指定の試験機関である安全衛生技術試験協会が実施する試験に合格することで資格の取得が可能です。衛生工学衛生管理者の場合は、厚生労働大臣の定める講習を受講し修了試験に合格する必要があります。
衛生管理者の選任
衛生管理者は、事業場の規模(常時使用する労働者数)によって必要な人数が異なります。以下の表は、事業場の規模と衛生管理者の人数を記載しています。
事業場の規模(常時使用する労働者数) | 衛生管理者の数 |
---|---|
50人以上200人以下 | 1人以上 |
200人を超え500人以下 | 2人以上 |
500人を超え1,000人以下 | 3人以上 |
1,000人を超え2,000人以下 | 4人以上 |
2,000人を超え3,000人以下 | 5人以上 |
3,000人を超える場合 | 6人以上 |
衛生管理者の選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければなりません。衛生管理者を選任した後は、所轄の労働基準監督署長に選任報告書を提出します。
- 参考:職場のあんぜんサイト|衛生管理者[安全衛生キーワード(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo33_1.html)
衛生工学衛生管理者の仕事内容
衛生工学衛生管理者の業務は、有害業務が発生する事業場における衛生理です。週に1回以上のペースで事業場を巡視する義務があり、労働者の健康を害する可能性がある作業内容や設備の点検を実施します。衛生工学衛生管理者の業務には作業環境の改善だけでなく、労働者の衛生意識を高めることも含まれます。
衛生工学衛生管理者の資格を取得するメリット
衛生工学衛生管理者は、キャリアアップや転職時などに有利になる資格です。
- 対応できる業務の幅が広がる
- 資格手当によって年収を上げられる
- 転職活動において有利になる
ここでは、上記3点について解説します。
対応できる業務の幅が広がる
衛生工学衛生管理者は、鉱業や農林水畜産業などの幅広い業種(全業種)に対応できる資格です。第1種衛生管理者も、衛生工学衛生管理者と同じく、全業種の衛生管理業務に対応できます(法定の有害業務の一部を除く)。
第2種衛生管理者が対応できる業種は限られますが、衛生管理業務に就ける可能性を高めることが可能です。ユーキャンは第1種衛生管理者と第2種衛生管理者の資格取得講座があるので、衛生管理の資格取得を検討する際におすすめです。
資格手当によって年収を上げられる
衛生工学衛生管理者の資格を保持していると、資格手当がつきやすくなります。企業が資格保持者を確保する必要がある場合、基本給以外の手当がつくことによって年収を上げやすくなるでしょう。就職した後に衛生工学衛生管理者の資格を取得して、年収を上げたりキャリアアップにつなげたりする活用方法もおすすめです。
転職活動において有利になる
衛生工学衛生管理者は、有害業務が発生する事業場において必要な資格です。一定規模以上の事業場では、衛生工学衛生管理者の資格保持者の配置が必要となるため、転職活動の際に資格があると印象がよくなります。衛生工学衛生管理者は、労務管理や総務などの職種にも対応できる資格であるため、業務の選択肢を増やすことも可能です。
衛生工学衛生管理者が転職する際のポイント
衛生工学衛生管理者の資格を活かし転職を検討する際は、資格を取得する前から準備しておくことが重要です。
- 転職活動の時期を決めておく
- 製造業を中心に職を探す
ここでは、上記2点について解説します。
転職活動の時期を決めておく
衛生工学衛生管理者の転職活動は、資格取得の時期を想定してスケジュールを組む必要があります。資格の取得の条件に、講習を受講して修了試験に合格することが含まれているためです。衛生工学衛生管理者の資格取得を目指す場合は、試験日から逆算して学習のスケジュールを立てましょう。転職活動の準備を資格取得と並行して進めることで、スムーズな転職につなげられます。
製造業を中心に職を探す
衛生工学衛生管理者は、主に製造業において求められる資格です。資格保持者は工場で勤務する場合が多いため、工場や製造業の求人を扱うサイトから応募することをおすすめします。複数のサイトで希望条件に合う求人を比較して、より条件のいい企業に応募しましょう。全国の求人に対応している求人サイトから求人を探すと、転職の選択肢を増やせます。
衛生工学衛生管理者の需要は?
大企業は衛生工学衛生管理者の需要が高い傾向にあります。労働者の数が多く有害業務が発生する事業場は、衛生工学衛生管理者が必要であるためです。今後は職場環境の改善の必要性から、衛生管理や安全な労働環境作りの重要性の高まりが予想されます。
衛生工学衛生管理者の講習を受ける条件
衛生工学衛生管理者講習の受講資格は講習のコースによって異なりますが、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
- 第1種衛生管理者免許試験に合格(保健師・薬剤師の資格による免許取得者は対象外)
- 大学または高等専門学校で工学、もしくは理学に関するカリキュラムを履修して卒業
- 職業能力開発総合大学校で長期課程の指導員訓練を修了
- 指定の大学で保健衛生に関する学科を専攻し、労働衛生に関する講座もしくは科目を履修して卒業
- 労働衛生コンサルタント(保健衛生・労働衛生工学)試験に合格
- 作業環境測定士となる資格を保持
衛生工学衛生管理者講習の申込みの手順
衛生工学衛生管理者の講習は、中央労働災害防止協会のホームページから申込み用紙をダウンロードして必要事項を記入し、郵送で申込みます。もしくは、東京や大阪の安全衛生教育センターを訪問して直接申込みましょう。
申込みが受理されると、講座開始日の約1か月前までに受講票と振込用紙等の関係書類が届きます。受講料を指定口座に振り込めば、申込みが完了します。ただし、申込みの受け付けが先着順である点に注意が必要です。受講料の振り込みは、開講日の20日前までに行いましょう。
衛生工学衛生管理者講習の内容
衛生工学衛生管理者の資格を取得するためには、厚生労働大臣の定める講習を受けて修了試験に合格する必要があります。5日コースの教科内容は、以下のとおりです。
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働衛生工学に関する知識(実習含む)
- 職業性疾病の管理に関する知識
- 労働生理に関する知識
- 修了試験
衛生工学衛生管理者講習は、受講する際の条件によって他に「4日コース」「2日コース」「半日コース」があり、一部の教科の受講が免除される場合があります。詳しくは、中央労働災害防止協会のホームページで確認しま
衛生工学衛生管理者の資格取得の難易度は?
衛生工学衛生管理者の資格取得の難易度は、高くないといわれています。ただし、衛生工学衛生管理者講習修了試験の合格率は非公開であるため、不合格となる可能性を考慮して対策を考える必要があります。
衛生管理者を目指すならユーキャンの講座がおすすめ
ユーキャンでは衛生管理者の「第一種免許」と「第二種免許」の資格取得講座が受けられます。それぞれの資格に対応した2つのコースを用意しており、受講期間は「第一種免許」が6か月、「第二種免許」が4か月です。2つのコースは学習内容が異なるため、資格取得の目的をもとに選びましょう。衛生管理者として転職を希望するなら、第一種免許の取得がおすすめです。
まとめ
衛生工学衛生管理者は、職場環境の安全を管理する業務に必要な資格です。資格の保持者は点検や作業環境の改善など、衛生管理の全業務に対応できます。衛生工学衛生管理者は事業場に配置が義務づけられている資格でもあるため、年収を上げたり転職活動に活かしたりすることにも有効です。
衛生工学衛生管理者を目指すならまずは第一種衛生管理者免許試験の合格を目指しましょう。ユーキャンはわかりやすさにこだわったテキストと、独学にはない着実なサポートで学習をバックアップします。効率よく学べるテキストは、試験によく出る重要ポイントを凝縮しており、忙しい人や初めて学ぶ人にも選ばれています。衛生管理者資格を取得する際に、ぜひご活用ください。
- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
労働災害を未然に防ぐプロフェッショナルとして注目されている衛生管理者。労働安全衛生法によって、業種に関わらず常時50人以上の従業員が従事する事業場では、衛生管理者を1人以上置くことが義務付けられています。しかし、現在はこの資格の取得者が不足していることもあり、資格取得はまさに今がチャンス。衛生管理者になることができれば、キャリアアップはもちろんのこと、転職・再就職に有利ですので、総務・労務などのスペシャリストとして昇進・昇給を考えている方、総務・事務関連に転職を考えている方におすすめの資格です。
ユーキャンの「衛生管理者」講座では、過去5年以上の試験問題を分析し、よく出るところに的を絞った効率的なテキストをご用意。初めての方でも仕事や家事で忙しい方でも、無理なく合格を目指せます。