• 更新日:2024/11/29

中小企業診断士は、社会的な信頼の厚い国家資格の1つです。資格を取得すれば、企業を健全に経営するための知識を有し、経営に関するアドバイスをしたり、サポートしたりする専門家として活躍できるようになります。

この記事では、中小企業診断士の資格に興味がある人に向けて、中小企業診断士の資格をとると具体的に何ができるのかについて解説します。資格取得のメリットや中小企業診断士になるための3ステップなども併せて解説するので、ぜひお役立てください。

中小企業診断士とは

中小企業診断士とは、中小企業が抱える経営課題に関して、診断やアドバイスをするスペシャリストです。経営状況を把握・分析し、問題点を見つけて指摘したり、改善策を提示したりなど、経営状況を改善するためのサポート役として活躍します。

中小企業診断士の資格は、国家資格です。試験に合格すると、中小企業診断士として正式に登録できるため、活躍の幅が広がるでしょう。

独占業務ではない

中小企業診断士ができる企業への診断やアドバイスは、独占業務には分類されていません。独占業務とは、その資格を持っている専門家にしか従事してはならないとされている業務のことで、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁護士などは独占業務を有しています。

独占業務ではないとはいえ、中小企業診断士は社会的に信頼のある国家資格の1つに変わりはなく、客観的に能力を示す手段として効果的です。

中小企業診断士は何ができる?

中小企業診断士の資格取得によって、さまざまな業務に活かせる専門知識が身につきます。中小企業診断士を取得後、何ができるようになるのか知っておくと、学習のモチベーションになるでしょう。

中小企業診断士ができる代表的な業務には、以下が挙げられます。

  • 経営コンサルティング
  • 経営改善計画書・経営診断書の作成
  • 経営に関する専門知識の発信

それぞれの業務について、詳しくは以下で解説します。

経営コンサルティング

中小企業診断士は、経営に関する専門知識を有するため、事業内容や経営状況を把握し、改善のためのアドバイスやサポートができるようになります。

事業主と経営課題を共有し、最適な事業経営を行っていくための経営戦略を一緒に考えていく経営コンサルティングという立場で活躍が期待できるでしょう。

経営改善計画書・経営診断書の作成

中小企業診断士は、経営改善計画書や経営診断書の作成サポートもできます。経営改善計画書は、金融機関から融資を受ける際に必要な書類です。経営診断書は、産業廃棄物収集業の新規取得や更新に必要となる書類となっており、どちらも健全な経営のために欠かせません。

経営状況の診断やアドバイスは、独占業務とはされていませんが、上記で挙げた2つの書類作成のサポートについては、中小企業診断士にしかできない業務となっています。

経営に関する専門知識の発信

中小企業診断士の資格は、経営に関する専門知識を有していると客観的な証明になります。そのため、経営に役立つ情報を広く発信する場での活躍も期待できるでしょう。

経営層を対象としたセミナーや、資格取得スクールの講師として登壇するだけでなく、本や新聞などのメディアでの情報発信も可能です。経営に関する情報発信をしながら名前を広めていけば、仕事の依頼を受けやすくなるというメリットもあります。

中小企業診断士の活躍の場

中小企業診断士が活躍する場面は、「会社での勤務」と「独立」の大きく2通りに分けられます。会社に勤務する場合は、一般企業だけでなく、コンサルティング会社や士業系の事務所などでも力を発揮できるでしょう。また独立する場合は、自分で事務所を立ち上げ、アドバイスやコンサルティングを必要とする中小企業や個人事業主と契約を交わす流れとなります。ここからは、それぞれの場でどのように活躍できるのか、以下で詳しく解説します。

会社員として勤務|一般企業で活躍する

一般企業の会社員として勤務する場合、自社の経営状況を的確に診断し、アドバイスできる立場として、経営戦略に関われるでしょう。

また、コンサルティング会社や会計事務所、税理士事務所などの士業系事務所での勤務も可能です。税務相談や経営相談を希望するクライアントに対して、中小企業診断士として経営診断やアドバイスができます。

独立開業し自分の事務所で活躍する

独立開業する場合、経営コンサルタント事務所を立ち上げ、中小企業をクライアントとして、コンサルタント契約を交わすケースがほとんどです。経営診断や経営に関するアドバイスなど、業務内容は会社員である場合とあまり変わりませんが、コンサルタント料や顧問料として、クライアントから報酬をもらい、自身の経営も考えていかなければなりません。独立した場合は、自治体などの公的機関から委託を受ける公的業務もあるので、チェックしてみましょう。

中小企業診断士を取るメリット

中小企業診断士の国家資格を取得すると、多くのメリットが期待できます。代表的なメリットは、以下の3つです。

  • 能力の証明になり経営コンサルティングの信頼性が高まる
  • 国家資格取得でキャリアの選択肢が増える
  • 会社に所属しながら資格手当などで年収アップが望める

ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

経営コンサルティングの信頼性が高まる

経営コンサルティングに関する国家資格は、中小企業診断士のみです。関連する民間資格は複数ありますが、国家資格である中小企業診断士を保有していると、より信頼性は高まります。

国家資格は民間資格に比べて難易度も高い傾向にあるため、経営に関する幅広い専門知識を持っていると客観的に証明でき、信頼感の向上につながるでしょう。

キャリアの選択肢が増える

中小企業診断士は知識やスキルの幅が広く、活かせる場面が多いため、キャリアの選択肢も広がります。中小企業診断士の資格試験は幅広い範囲から出題される傾向にあるため、試験対策でも広い範囲での学習が必要です。そのため、経営に関連する膨大な知識を身につけられ、経営ノウハウが蓄積されます。

自社の経営サポートやより経営層に近い立場での活躍、または、経営ノウハウを活かして起業するなど、さまざまな道が選択できるでしょう。

年収がアップする

中小企業診断士の取得によって資格手当が支給される可能性があります。「中小企業診断士活動状況アンケート調査」の結果によると、中小企業診断士資格取得時に「昇給・昇格した」「資格手当が支給された」と回答した方は19.2%となっています。資格手当の相場は企業によって異なりますが、手当がつけば年収アップが期待できます。本業で副業が許可されている場合は、コンサルティング業で副収入を得られるチャンスにもなるでしょう。

中小企業診断士に必要なスキル

中小企業診断士になるには、幅広いスキルや能力が必要となります。なかでも特に重要なのは、以下の3つのスキルです。

  • 豊富な経営知識
  • 高いコミュニケーションスキル
  • 冷静に客観視する能力

ここからは、それぞれのスキルについて、詳しく見ていきましょう。

豊富な経営知識

経営に関する知識は、中小企業診断士として最重要となるスキルです。経営学や財務会計、企業の運営管理の知識、経営情報システムの知識など、健全な経営に欠かせない幅広い知識が求められます。豊富な知識に加え、実践的な経営ノウハウなど、経験を重ねることで、具体的な解決策を提案できるようになるでしょう。

コミュニケーションスキル

中小企業診断士は、企業の経営層や事業主、現場担当者から、経営状況などについてしっかりヒアリングする必要があるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。ヒアリングが的確にできなければ、最適な診断やアドバイスはできません。

さらに、今後の経営改善や課題解決に関する提案を理解してもらい、受け入れてもらうのにもコミュニケーションスキルが必要です。クライアントとの信頼関係構築が、業務遂行の重要なカギとなるでしょう。

冷静に客観視する能力

中小企業診断士は、事業の経営に関する重要な業務に関わる機会が多いため、冷静な判断力が求められます。主観は捨て、客観的に物事をとらえて、最適な策を考え出すスキルが必要です。幅広い経営知識をもとに、広い視野を持って、経営改善につながる提案やアドバイスをしなければなりません。

中小企業診断士になるまでの3ステップ

中小企業診断士になるまでのステップは以下の3段階です。

1.中小企業診断士試験に合格する 第1次試験、第2次試験(筆記試験・口述試験)に合格しておく必要があります。試験の詳細は以下の通りです。
  • 第1次試験:例年8月上旬頃の土曜日と日曜日の2日間で、合格基準は原則、「総点数の60%以上」かつ「40%未満の得点の科目が1つもない」
  • 第2次試験(筆記試験):例年10月実施。合格基準は第1次試験と同様
  • 第2次試験(口述試験):例年1月下旬頃実施。合格基準は、「評定が60%以上」
2.実務補習を受けるまたは実務に従事する 資格取得するには、第2次試験合格後、15日以上の実務補習への参加または実務への従事が必要となっています。
3.経済産業大臣の登録を受ける 資格取得後は、登録申請が必要です。書類に不備がなければ、氏名・登録番号が公示されるとともに、登録証が届きます。登録は5年ごとに更新が必要で、その都度、研修の受講や実務経験が必要です。

中小企業診断士とのダブルライセンス

中小企業診断士は、他の資格との組み合わせで、さらに仕事の幅が広がる可能性があります。

「中小企業診断士活動状況アンケート調査」の結果によると、中小企業診断士資格以外の保有資格は上位から「ファイナンシャルプランナー」21.7%、「情報処理技術者」17.6%、「販売士」10.0%となっています。また、「その他」としては、宅建士やキャリアコンサルタント、証券アナリスト、公認内部監査人等の回答が多くみられました。


中小企業診断士を目指すなら通信講座がおすすめ

中小企業診断士の試験は広範囲に及ぶため、独学では膨大な時間がかかってしまいます。そのため、短期間でなるべく効率的に学びたいのであれば、通信講座の受講がおすすめです。

通信講座は、分かりやすいテキストや動画で効率的に学習を進められ、試験の要点がつかめるようにカリキュラムが組まれています。スマホやタブレットを使用し、すきま時間を有効活用できるなど、メリットが多いことが特徴です。

まとめ

将来のキャリア形成やキャリアアップのために、経営について学びたいという場合は、中小企業診断士の取得がおすすめです。中小企業診断士は独占業務ではないものの、経営という重要な業務に関わるため、信頼度を高めるためにも資格の取得は重要です。

また、よりキャリアの幅を広げたいのであれば、中小企業診断士と併せてファイナンシャルプランナーや日商簿記検定などの資格取得が役立ちます。複数資格の取得には、効率的な学習が必要となるので、通信講座を選ぶことをおすすめします。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
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