• 更新日:2024/11/29

中小企業診断士は、経営コンサルタントに関する唯一の国家資格です。中小企業診断士は、企業が抱える課題や問題を分析し、適切なアドバイスができる存在として経営者から重宝されています。この記事では、中小企業診断士の合格を目指す人に向けて、難易度や合格基準、勉強を効率的に進めるポイントを解説します。中小企業診断士に関するよくある疑問についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

中小企業診断士の難易度

中小企業診断士の総合的な合格率は4~8%であり、合格率の低い部類に入ります。具体的には、1次試験の合格率は28~42%、2次試験の合格率は18%程度とされています。

また、合格を目指すために必要な勉強時間の目安は1,000時間程度と言われることが多く、1~2年程度の期間をかけて勉強することが一般的です。具体的な数値や詳細について、以下で解説します。

中小企業診断士の合格率

中小企業診断士の合格率は4~8%程度で推移しています。直近5年間の合格率は、以下の通りです。

年度 1次受験者数 1次合格者数 1次合格率 2次受験者数 2次合格者数 2次合格率 総合合格率
令和5(2023) 18,755人 5,560人 29.6% 8,241人 1,555人 18.9% 5.59%
令和4(2022) 17,345人 5,019人 28.9% 8,712人 1,625人 18.7% 5.4%
令和3(2021) 16,057人 5,839人 36.4% 8,757人 1,600人 18.3% 6.66%
令和2(2020) 11,785人 5,005人 42.5% 6,388人 1,174人 18.4% 7.82%
令和元(2019) 14,691人 4,444人 30.2% 5,954人 1,088人 18.3% 5.53%



1次試験の合格率

中小企業診断士の1次試験の合格率は28~42%程度で推移しています。直近5年間における1次試験の合格率は、以下の通りです。

1次合格率
年度 受験者数(A) 合格者数(B) 合格率(B÷A)
令和5(2023) 18,755人 5,560人 29.6%
令和4(2022) 17,345人 5,019人 28.9%
令和3(2021) 16,057人 5,839人 36.4%
令和2(2020) 11,785人 5,005人 42.5%
令和元(2019) 14,691人 4,444人 30.2%



2次試験の合格率

中小企業診断士の2次試験の合格率は18%程度で推移しています。以下は、直近5年間における2次試験の合格率です。

2次合格率
年度 受験者数(A) 合格者数(B) 合格率(B÷A)
令和5(2023) 8,241人 1,555人 18.9%
令和4(2022) 8,712人 1,625人 18.7%
令和3(2021) 8,757人 1,600人 18.3%
令和2(2020) 6,388人 1,174人 18.4%
令和元(2019) 5,954人 1,088人 18.3%


難易度は受験年度によって大幅に変わらない

中小企業診断士試験の合格率は受験年度によって多少変動しますが、試験自体の難易度は大幅に変わらないと考えられています。なぜなら、1次試験と2次試験は例年同じ構成のため、試験全体の難易度が大きく変わる要素がないためです。

一方で、科目ごとの難易度は受験年度によって変わる可能性があります。難化した科目では前年よりも細かい論点が問われる一方、易化した科目では基本的な知識が求められる問題が多くなります。

中小企業診断士合格に必要な勉強時間の目安

中小企業診断士試験に合格するために必要な学習時間の目安は、約1,000時間と言われることが多いようです。単純計算で、毎日3時間の勉強時間を確保すれば、約1年後に合格が狙えるレベルの知識が身につけられる見込みです。

ただし、この「約1,000時間」という数値はあくまで目安であり、参考程度に留めるべきです。すでに中小企業診断士試験に関する知識や経験がある場合、必要な勉強時間は少なくなります。一方で、初めて試験を受ける人や、関連する知識がない人は、さらに勉強時間が必要になるでしょう。

中小企業診断士の合格基準

中小企業診断士試験の合格基準は、あらかじめ設定されています。具体的な基準は以下の通りです。

  • 1次試験: 総点数の60%以上であり、かつ1科目でも満点の40%未満の科目がないこと
  • 2次試験(筆記試験): 総点数の60%以上であり、かつすべての科目で40点以上であること
  • 2次試験(口述試験): 評定が60%以上であること

1次試験および2次試験の合格基準の詳細は、以下で詳しく解説します。

1次試験の合格基準

1次試験の合格基準は、7科目すべての総点数が60%以上であり、かつ1科目でも満点の40%未満の得点がないことです。科目合格の基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率で決まります。

なお、科目合格をした場合、翌年度と翌々年度の1次試験を受験する際に、申請によりその科目が免除されます。

2次試験の合格基準

2次試験の合格基準は、総点数が60%以上であり、かつすべての科目で40点以上を獲得することです。

筆記試験では、企業の事例が「与件文」として提示され、その事例に基づく問題が出題されます。なお、事例は4種類あり、それぞれ以下の通りです。

  • 組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
口述試験は、筆記試験の問題からランダムに出題されることが特徴です。また、評定が60%以上であることが合格基準とされています。


中小企業診断士の受験資格

中小企業診断士試験を受験する場合、1次試験からスタートします。1次試験を受験するための特別な資格は定められておらず、学歴や年齢、実務経験に関わらず受験が可能です。

2次試験には筆記試験と口述試験があり、それぞれ受験するための条件があります。まず、筆記試験を受験するためには、1次試験に合格している必要があります。口述試験は、2次試験の筆記試験に合格した人のみ受験が可能です。

なお、1次試験に合格した場合、その合格年度を含む2年間にわたり2次試験の筆記試験を受験することができます。

中小企業診断士の難易度 - 他の資格と比較

中小企業診断士の難易度を客観的に理解しやすくするため、合格率の観点から他の資格と比較します。それぞれの比較に関する詳細は、以下の通りです。

合格率を比較

中小企業診断士とその他の資格の合格率は、以下のようになっています。

資格名 合格率
中小企業診断士 4~8%
公認会計士 10%
司法書士 3~5%
税理士 18%
社会保険労務士 6~7%
行政書士 11~15%
上記の表から分かるように、中小企業診断士の合格率は税理士や行政書士などと比べても低く、試験に合格することは容易ではありません。

よくある中小企業診断士に関する疑問

中小企業診断士に関するよくある疑問として、以下のようなものが挙げられます。

  • 中小企業診断士の資格を取得する意味はあるか
  • 難易度が変わる要素はあるか
  • 働きながらでも勉強して資格を取得できるか

まず、中小企業診断士は国家資格であるため、信頼性や評価が高く、取得する価値が十分にあります。また、年度によって難易度が変わる可能性は低いとされていますが、中小企業診断士はビジネスシーンに関する資格であり、多くの人が働きながら勉強して取得しています。以下で、それぞれの理由について詳しく解説します。

役に立たない資格と聞いたが実際はどう?

中小企業診断士は、取得する意味がないと言われがちな資格です。代表的な理由として、以下の点が挙げられます。

  • 中小企業診断士には独占業務がない
  • 収入が上がる見込みが小さい
  • 難易度が高く、合格が難しい
しかし、中小企業診断士を取得するメリットもあります。経営コンサルタントとして活動する際に他と差別化できることや、経営企画職やコンサル職への転職・就職で有利になることなどです。 中小企業診断士の資格自体が国家資格であるという点だけでも、取得する意味はあると言えます。なぜなら、取得することで企業や経営者からの信頼や評価が高まりやすくなるからです。


働きながら勉強できる?

中小企業診断士は難易度が高く、合格率が低い資格です。しかし、中小企業診断士の受験者は、30~50歳代が約8割をとなっており、働きながら取得を目指している人が多くを占めています。


ただし、働きながら中小企業診断士の資格を取得することは容易ではないため、効率的かつ適切な手段を用いることが大切です。


中小企業診断士の勉強を効率的に進めるポイント

効率的に勉強を進めるためのポイントとして、以下のような点が挙げられます。

  • 学習戦略を立てて勉強すること
  • 1次試験と2次試験の関連性を把握すること
  • スキマ時間を活用して勉強を継続すること
  • 効率的に学べる学習ツールを選ぶこと

やみくもに学習を進めるのではなく、合格までの道のりを把握し、計画的な学習計画を立てて資格取得に挑みましょう。

まとめ

中小企業診断士の資格は、独占業務がないため取得する意味がないと言われがちです。しかし、中小企業診断士は経営コンサルタントとして唯一の国家資格であり、取得すれば専門知識に対する信頼や社会的評価を得ることができます。

なお、中小企業診断士試験は難易度が高く、合格するためには効率的かつ効果的な勉強をすることが大切です。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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