ITストラテジストとは?仕事内容・試験の難易度・必要な勉強時間を解説!
- 更新日:2024/06/28
IT業界でのキャリアアップを目指す選択肢として、ITストラテジストがあります。ITストラテジストとして活躍するためには、より高いレベルのIT知識やスキルを身につけることが必要です。受験を目指して勉強するのもよいでしょう。
この記事では、ITストラテジストとは何かについてや仕事内容、評価、国家試験について解説します。今後のキャリア形成のために試験合格を目指す人は、ぜひ参考にしてください。
そもそもITストラテジストとは?
ITストラテジストとは、高いレベルでのIT業務経験や知識を有する人材を指します。ストラテジストとは、英語で戦略家を意味しており、ITストラテジストには、企業内での課題発見やIT技術を活用した業務の効率化、戦略の立案および実施できる力が求められます。
ITストラテジストは、そのIT戦略知識を基に、経営者としての視点で事業戦略や事業計画を考えられる人材です。必須の資格はありません。
ただし、IT分野の国家試験「情報処理技術者試験」では、「ITストラテジスト試験」が実施されています。客観的にスキルを証明するために試験合格を目指すのも1つの方法です。
ITストラテジストが誕生した背景
ITストラテジストには、IT技術をさまざまな場面で応用できる多角的な視点が欠かせません。現在では、企業の課題解決や戦略的な施策の実施において、多方面での活躍が期待されており、ITストラテジスト試験の需要は高まっています。
ITストラテジスト試験は従来、「上級アドミニストレータ試験」と「システムアナリスト試験」の2つに分けて実施されていました。上級アドミニストレータ試験は、ユーザー目線でのIT技術の活用。システムアナリスト試験では、システム開発の視点からみた課題解決策や経営戦略の立案ができる高度な知識とスキルが問われていました。
2008年にこの2つの試験が「ITストラテジスト試験」に統合され、ユーザーとシステム開発、それぞれの視点からIT活用できる人材として「ITストラテジスト」が誕生するに至りました。IT分野でその存在が認知されるようになり、試験に挑むIT人材も増加傾向にあります。
ITストラテジストの4つの仕事内容
ITストラテジストは、さまざまな業務でそのスキルが必要とされています。そのなかでも主な仕事内容として、以下の4つが挙げられます。
- IT分野の知識を活かした戦略の立案
- 効果的なシステムの選択や開発
- システムのモニタリングやトラブル対処
- IT分野に関する最新情報の収集
それぞれの仕事内容について、以下で解説します。
1.事業戦略・IT戦略の策定
昨今、あらゆる業界でIT技術の活用が進んでいるため、企業の経営戦略を実現するには、IT戦略の策定が欠かせません。そのため、ITストラテジストの持つ知識や多角的な視点を生かして、企業や事業の課題に対して利益につながる戦略立てが求められています。
効果的なIT戦略を立案するには、経営陣や現場の従業員にヒアリングを実施し、IT分野からアプローチできそうな課題の見極めが必要です。
2.システム開発や運営の統括
IT戦略実施するためのシステム開発や運営も、ITストラテジストが活躍する場面です。IT戦略の実現に必要なシステム開発やITツールの導入を、多角的な視点から検討し、指示します。適したシステムを活用するためには、ITに関する高度な知識や経験だけでなく、企業の経営に対する深い理解やコンサルティング力も求められます。
なお、ITストラテジストは、システム開発や導入を統括する一方で、プログラミング能力は必須ではありません。
3.モニタリングやコントロール
IT戦略の立案からシステム開発・選定で終わりではなく、システム実装後のモニタリングやコントロールも、ITストラテジストの役割です。進捗や効果を確認し、適宜改善しながら最善を尽くします。トラブルがあった場合は、適切な対応が必要です。
4.最新の市場動向の調査
これまでに紹介したITストラテジストの仕事を的確にこなすには、IT市場の動向を逐一チェックしておく必要があります。ITに関する知識だけでなく、さまざまな視点から最新の知識・スキルを取り入れる姿勢が必要です。
それぞれの企業に合ったIT戦略を立てるには、プログラミング知識をはじめ、ソフトウェアやハードウェアなどの知識も欠かせません。また、経営者の立場になって考えると、法律や知的財産に関する知識が必要になる場面もあるでしょう。
IT分野の知識だけに捉われず、さまざまな視点から市場を観察し、どのような知識・スキルが必要かを見極めておくのも、ITストラテジストに必要な要素です。
ITストラテジストへの評価
ITストラテジストは、IT業界で高い評価があるため、給与や待遇も手厚い傾向にあります。ITストラテジストのなかでも高待遇なのはコンサルティングに関する業種となっており、「ITコンサルタント」を例に挙げると、平均年収は約930万円です。
幅広い場面での活躍が期待される分、期待や求められる能力も高いため、報酬も高いケースが多くあります。ただし、IT企業ではない企業では、その高度な知識やスキルを用いて業務にあたったとしても、経理や人事などの他業種と同等の扱いになりがちなので注意が必要です。
ITストラテジスト自体の求人数はあまり多くありませんが、高いレベルのIT人材を必要とする企業から、一定のニーズがあります。
ITストラテジスト試験の概要
ITストラテジストを目指す人のなかには、ITストラテジスト試験の合格を目標とする人も多くいます。ITストラテジスト試験を受験するためには、以下の2点については押さえておきましょう。
- 試験は年に1回しか開催されない
- 1日で4つの試験に分けて実施される
以下では、試験の概要について詳しく解説します。
ITストラテジスト試験は年1回実施
ITストラテジスト試験は、年に1回しか実施されていません。例年4月に実施されており、令和6年度の試験日は、4月21日(日曜)です。
試験会場は全国地各地にあり、最寄りの会場が選択されます。試験日の約2週間前に届く受験票に記載されているので、場所や交通手段は事前に確認しておきましょう。
ITストラテジスト試験の試験時間・出題形式・出題数(解答数)
ITストラテジスト試験では、午前と午後でそれぞれ2つ、計4つの試験に分けて実施されています。合格するには、4つの試験すべてで、基準点以上を獲得しなければなりません。4つの試験の内容は、以下の通りです。
試験時間 | 出題形式 | 出題数/解答数 | |
---|---|---|---|
午前Ⅰ | 50分 | 四肢択一式 | 30問/30問 |
午前Ⅱ | 40分 | 四肢択一式 | 25問/25問 |
午後Ⅰ | 90分 | 記述式 | 3問/2問 |
午後Ⅱ | 120分 | 論述式 | 2問/1問 |
ITストラテジスト試験の難易度
ITストラテジスト試験の合格率は、15%前後となっており、難易度は高めです。令和3年度では15.3%、令和4年度は14.8%でした。一般的に難易度が高いとされている国家試験の司法試験で、合格率は30~40%前後、公認会計士が10%前後なので、国家試験のなかでも高い難易度とされている試験の1つです。
また、情報処理技術者試験は難易度に応じて1~4のレベルに分けていますが、ITストラテジスト試験は、最も高いレベル4に位置づけられています。合格を目指すには、十分な勉強時間の確保と過去問の攻略など、徹底した試験対策が欠かせません。
ITストラテジスト試験の合格に必要な勉強時間の目安
ITストラテジスト試験の合格には、IT業界経験者や10年以上の勤務経験がある人でも、150~200時間程度の勉強時間が必要です。IT知識が十分でなく、勉強が苦手という場合は、200時間以上は勉強時間を確保したほうがいいでしょう。
ITストラテジスト試験は、もともと「上級システムアドミニストレータ試験」と「システムアナリスト試験」の2つを統合した試験のため、出題範囲が広いのが特徴です。計画的に勉強を進め、効率的に知識を身につける必要があります。
ITストラテジストを取得する3つのメリット
ITストラテジストは、難易度が高いため、挑戦しにくい試験ではありますが、合格すれば大きなメリットが得られます。主なメリットは、以下の3つです。
- 高度なITスキルの証明で就職や転職が有利になる
- さまざまな仕事にチャレンジできる
- 日本ITストラテジスト協会に入会して交流を広げられる
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
1.就職・転職で評価を得やすい
ITストラテジスト試験は、難易度が高く、合格するには高度なIT知識や経験が求められます。合格実績は、実務経験5年分のスキルに相当するといわれており、IT業界での評価も高い資格です。そのため、就職・転職で高く評価される可能性が高く、希望するキャリアに近づきやすくなるでしょう。
2.仕事の幅が広がる
ITストラテジスト試験に合格すると、幅広い分野のIT知識・スキルを客観的に証明できます。名刺にも肩書として記載できるなど、さまざまな場面でアピール可能です。
システム開発やコンサルティングだけでなく、研究職やマネジメントなど、多方面での活躍が期待できます。昨今では、独立してフリーのITストラテジストとして活動する人もいるなど、活躍の場は広がっています。
3.外部との交流が容易になる
ITストラテジスト試験に合格すると、「日本ITストラテジスト協会(JISTA)」に入会できます。日本ITストラテジスト協会とは、IT戦略に関する情報交換や会員同士の研鑽によって、高度IT人材の能力向上と人脈づくりができる団体です。
職場以外のエンジニアやコンサルタントなど、高いレベルの人材と交流でき、視野を広げるきっかけとなります。
まとめ
ITストラテジストとは、多角的な視点から、企業の課題解決や事業戦略に取り組むITのスペシャリストです。その知識やスキルの証明として、ITストラテジスト試験が実施されていますが、情報処理技術者試験のなかでも難易度が高く、対策なしでの合格は難しいでしょう。
いきなりITストラテジストに挑戦するのは不安という人は、先に難易度の低い試験に挑戦してみるのも1つの方法です。なかでも、「基本情報技術者試験」は、IT知識の基礎をしっかり学べるIT人材の初歩的な国家試験として、注目されています。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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