• 更新日:2024/06/27

応用情報技術者は、IT分野の応用知識やスキルを有し、高度なIT人材として活躍できることを証明する国家試験です。IT分野のニーズが高まり続けている昨今では、リスキリングやDX化への適用のために合格を目指す人が増えています。

この記事では、応用情報技術者の試験への挑戦を検討している人に向けて、試験の概要や試験合格のメリット、試験の難易度などをについて解説します。ぜひ、お役立てください。

応用情報技術者とは

応用情報技術者とは、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験で、合格すると目標達成までのプロセスや進捗状況の管理をはじめ、技術的な課題を解決に導くためのスキルなど、高度なIT知識・スキルのほか、指導スキルなどを持ち合わせた人材であると評価されます。

そのため、ITエンジニアやプログラマーなどのIT分野の経験者で、ある程度の基礎知識と業界に対する知見を持ったIT人材が受験することが多めです。基礎的なIT知識を問う基本情報技術者試験の上位試験となっており、IT人材としてのスキルアップや業界でのキャリアアップを目指す人が、合格を目指しています。

応用情報技術者試験とは

応用情報技術者試験は、経済産業省が認定しているIT分野の国家試験として注目されている「情報処理技術者試験」のなかの1つです。情報処理技術者試験は、基礎レベルから専門的レベルまでの1~4レベルで分かれており、数字が大きいほど難易度が高くなります。応用情報技術者試験は2番目に難易度が高い3のレベルにあたります。

試験区分は「AP」と表記され、試験の運営は、ほかの情報処理技術者試験と同じく、情報処理推進機構(IPA)です。

応用情報技術者試験の出題分野

応用情報技術者試験は、午前・午後の試験で出題される分野が異なります。幅広い分野からの出題となるので、試験対策では注意が必要です。

午前中は、基本情報技術者試験や高度試験、情報処理安全確保支援士試験で共通となっている以下の分野から出題されます。すでに情報処理技術者試験の受験経験がある人なら、見覚えがあるでしょう。

  • テクノロジ系
  • マネジメント系
  • ストラテジ系
午後の試験は、13の分野から11問が出題され、そのなかで必須問題の情報セキュリティに関する1問と、自分で選択する4問を解きます。いずれも長文問題となり、午前の試験で必要となる知識をいかに応用できるかが問われます。


応用情報技術者試験の概要

試験に合格するには、計画的な学習スケジュールを立てて、綿密な試験対策が必要です。効率的に試験対策を進めるためにも、以下の試験概要は把握しておきましょう

  • 試験は春と秋の年2回実施される
  • 午前と午後の試験内容が異なる
  • 午前と午後の試験それぞれで60点以上取る必要がある

詳しい概要については、以下で解説します。

応用情報技術者試験は年2回実施

応用情報技術者試験は、春と秋に実施されており、年2回受験のチャンスがあります。例年、4月(第3日曜日)と10月(第2日曜日)に実施されています。

試験会場は、都道府県ごとに用意されているので、最寄りの会場を調べておきましょう。基本的に、主要都市での実施となるため、自宅からの距離や交通手段も把握しておくと安心です。

応用情報技術者試験の試験時間・出題形式・出題数(解答数)

応用情報技術者試験は、前述の通り、午前と午後で実施されます。それぞれの試験時間や出題形式、出題数などを把握しておき、実戦形式での対策も行いましょう。

午前試験

午前試験は、以下の形式で実施されます。

試験時間 150分(例年、9:30~12:00)
出題形式 多肢選択式
出題数/解答数 80問/80問

午前試験は、マークシートでの多肢選択式となっており、4つの選択肢から正しいものを1つ選択します。80問全てに回答が必要です。出題範囲の内訳は、テクノロジ系が50問、マネジメント系が10問、ストラテジ系が20問となっています。

午後試験

午前試験は、以下の形式で実施されます。

試験時間 150分(例年、13:00~15:30)
出題形式 記述式
出題数/解答数 11問/5問

午後試験は、記述式での出題です。長文問題となるため、IT知識だけでなく、読解力も必要です。試験時間が限られるため、1問に時間をかけすぎないように、長文読解と記述の練習が必要です。

応用情報技術者試験の合格基準

応用情報技術者試験に合格するには、午前・午後の試験でそれぞれ、100点満点中60点以上を取る必要があります。午前試験では、1問当たり1.25点が配点されるので、48問以上正解しなければなりません。

また、午後試験は1問あたり20点となるため、3問以上の正解で合格ラインです。なお、午前試験に合格していないと、午後試験は採点されないので注意しましょう。

基本情報技術者試験との違い

応用情報技術者試験と並んで、IT業界で注目されている試験に「基本情報技術者試験」があります。基本情報技術者試験は、ITの基本的な知識・スキルを問う試験で、情報技術者試験のなかでは比較的難易度の低い試験です。

主に、学生や初学者を対象にしており、応用情報技術者試験よりも合格が目指しやすいでしょう。

出題分野は、応用情報技術者試験と共通で、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野です。出題形式は、すべて多肢選択式で記述式はありません。

応用情報技術者試験合格の難易度

応用情報技術者は、情報処理技術者試験のなかでは比較的難易度の高い試験です。自身のレベルと比較し、的確な試験対策を実施するためにも、以下の2点は把握しておきましょう。

  • ある程度の実績がある対象者でも合格率は20%程度
  • 経験者であっても200時間以上の学習時間が必要

ここからは、合格率と学習の目安について、詳しく解説します。

応用情報技術者試験の合格率

応用情報技術者試験は、受験する人の多くが、実務経験や基本情報技術者試験の合格レベルの知識を有していますが、合格率は20%程度にとどまっています。すでに一般的には高いレベルのIT人材であっても、5人に1人しか合格しない計算になるため、難易度が高い試験です。

その理由には、幅広い出題範囲が挙げられます。す出にある程度の知識を有するIT人材でも、独学で試験対策するのは難しいでしょう。

学習時間の目安

応用情報技術者試験は、基礎的なIT知識を持っている人でも、200時間程度の学習時間が必要とされています。初学者が合格を目指すなら、500時間以上は必要です。

午前、午後でそれぞれ60点以上獲得する必要があるため、出題範囲を網羅しなければなりません。しかし、すでに社会人として活躍している人にとって、まとまった学習時間を取るのは簡単ではないでしょう。そのため、自分に合った試験対策方法を検討し、計画的に学習を積み重ねる必要があります。

応用情報技術者試験に合格する3つのメリット

国家試験のなかには、合格によって、独占業務に従事できるようになるものが多くありますが、応用情報技術者試験には特にありません。それでも受験者が多い理由として、合格によって得られる以下のようなメリットが挙げられます。

  • 高度なIT知識を有している証明になる
  • 幅広い分野のIT知識が身につく
  • 収入アップにつながる可能性がある

ここからは、3つのメリットについて詳しく解説します。

就職や転職活動でアピールポイントになる

応用情報技術者試験の合格実績は、高度IT人材として国に認められているという証明になります。特に高いレベルのIT知識やスキルが求められるエンジニアやプログラマーなどでの就職や転職活動では、大きなアピールポイントになるでしょう。

また、基本情報技術者試験よりもさらに応用的な知識やスキルを有していると客観的に評価できるため、多くの企業で即戦力として期待されます。試験の合格実績によって、ほかの求職者と差別化ができれば、就職や転職活動を有利に進められます。

ITについての知識を網羅できる

一般的に、IT関連の資格は、分野ごとにわかれているケースが多くあります。そのため、それぞれの資格の取得で得られる知識は、偏ったものになりがちです。

一方、応用情報技術者試験は、ITに関する幅広い分野の知識が求められる試験のため、試験対策を通して、ITの知識が網羅できます。たとえ合格を逃したとしても、試験対策そのものがIT人材としてのスキルアップにつながるでしょう。

資格手当が支給される場合もある

応用情報技術者試験は、IT業界での知名度が高く、難易度が高い試験として知られています。そのため、合格者は多くの企業で評価の対象とされており、資格ではありませんが、資格手当や報奨金の対象となるケースがあります。

一般企業だけでなく、官公庁などの公的機関での採用でも評価対象とされており、優遇されるケースが増えるでしょう。キャリアアップとともに、収入アップも期待できます。

応用情報技術者試験合格のための学習方法

応用情報技術者試験の合格に近づくために効果的な学習方法として、以下の2点が挙げられます。

  • 過去問から出題傾向をつかむ
  • 試験時間を意識した実践的な練習をする

それぞれのポイントについて、以下で解説します。

過去問を繰り返し解く

応用情報技術者試験の午前試験では、過去問から約半数が出題されます。そのため、過去問を反復しながら攻略しておくと、合格に近づくでしょう。

また、午後試験では過去問から同じ問題が出題されることはありませんが、出題傾向がつかめます。午前・午後ともに、過去問の反復が合格のカギです。

時間配分の練習もする

午前試験、午後試験ともに、試験時間は150分と限られます。特に午後試験では、長文問題を読み解く時間が必要となるため、長文対策をしておかないと、時間が足りなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

試験対策では、実際の試験を想定し、時間配分を意識ながら過去問を解いてみるなど、実戦形式での練習もしておくといいでしょう。

まずは基本情報技術者試験合格を目指そう

ITに関する知識や経験が浅く、応用情報技術者試験の合格を目指すのは難しいと感じつ場合、最初のステップとして、基本情報技術者試験の合格を目指すのがおすすめです。

基本情報技術者試験は、応用情報技術者試験と同様、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つの分野から出題されるため、身につけた知識が応用情報技術者試験にも役立ちます。

また、基本情報技術者試験は、CBT方式で随時試験が行われており、試験日が選べます。そのため、受験までのスケジュールが立てやすく、自分のレベルに合わせて学習を進められるでしょう。

まとめ

応用情報技術者試験とは、高度なIT知識を有し、IT分野で広く活躍できるスキルの証明となる国家試験です。すでに高いレベルのIT知識があり、実務経験もあるという人は、スキルアップやキャリアアップのために役立つでしょう。

一方、初学者や経験の浅いIT人材にとっては難易度の高い試験でもあります。最初に目指すにはハードルが高いと感じるなら、まずは基本情報技術者試験の合格を目指してみるのがおすすめです。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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