• 更新日:2024/07/26

エンディングノートとは、人生の終末期における考えや希望を書き記すノートであり、形式に決まりはありません。自分の考えや家族への想いをまとめて残すために、終活の一環として行われることが一般的ですが、今後の人生の計画立てとしても活用されるなど、作成自体はいつからでもできます。この記事では、エンディングノートを作るメリットや記載するべき項目、注意点などを解説します。エンディングノートについて知りたい人は、参考にしてください。

エンディングノートとは?

エンディングノートは、自分の人生の終末について記したノートです。万が一に備えて、家族や友人に伝えておきたいことや自分の希望などを書き留めておけます。そのため、終活の一環として作成されることが一般的です。しかし、老齢の人だけではなく、若い人が今後の人生の計画として作ったり、いざという時にに備えて作ったりもします。

エンディングノートに記載する内容は、主に自身に関する情報や万一の場合の希望についてです。なお、法的な拘束力や規定のフォーマットはないため、簡単に書き直しや内容の変更ができます。

エンディングノートと遺言書の違いは法的効力の有無

遺言書は死後についての希望を記すことができ、エンディングノートは生前・死後についての希望を記すことができますが、最も大きな違いは法的強制力の有無です。遺言書は法律で定められたルールに沿って作成されていないと効果を発揮しません。さらに、内容についても決まりがあり、財産の引き継ぎ方や死後のことのみを記載します。

一方のエンディングノートには、規定や指定のフォーマットなどなく、内容は自由に書けます。しかし、遺言書とは違い、法的な効力は発揮しません。

エンディングノートを作るメリット

エンディングノートを作るメリットは複数あります。具体的なメリットの種類は以下のとおりです。

  • 自分の要望や希望が明確になり、意思表示ができる
  • 残される人にかかる負担を軽減できる
  • 作成にあたり情報の整理整頓ができる
  • 終活だけではなく備忘録としても使える
  • 経済状況がわかるため、遺書の作成にも役立つ

自身の要望や希望を明確にできる

自身が亡くなった後に関する要望・希望を明確にできることが、エンディングノートを作るメリットの1つです。エンディングノートによって意思表示ができれば、もしもの時でも自身の要望・希望を叶えられます。また、エンディングノートの作成にあたり、これまでの人生を振り返り、自身の価値観やご家族・周囲の人への想い、要望・希望などを整理できることも利点です。

周囲の人の負担を減らせる

エンディングノートを作るメリットとして、周囲の人の負担を減らせることが挙げられます。自身が亡くなったときや意思疎通ができなくなった時に必要となる手続きの詳細や、対応方法などを記して伝えられるからです。具体的には、医療や介護・延命治療に関する希望や葬儀の手順や費用の捻出方法、各種契約の解除に必要な情報などを記すことがおすすめです。別途で準備や確認などが不要となり、残された人が被る負担を減らせます。

伝えたい事項を整理できる

伝えたい事項を整理できることも、エンディングノートを作るメリットです。エンディングノートの作成では、自身に関する情報の収集や、記載するべき事項の取捨選択が迫られます。残された人たちに伝えたい事項や、自身が亡くなった後にも残したい思いなどが明確になり、情報が整理整頓されやすいでしょう。

備忘録としても使える

エンディングノートは終活の一環として作成することが一般的ですが、備忘録として日常的にも使えます。特に、知り合いの連絡先や各種契約の詳細など、重要な情報をまとめて記すことがおすすめです。忘れてしまったとしてもノートを見返して確認できるほか、情報を1つの場所にまとめられて管理が容易になるからです。

自身の経済状況が分かる

自身の資産や債務に関することを記せば、自身の経済状況の把握に繋がります。今後の人生をどのように過ごすかという計画を立てるには、現在の経済状況を把握することは大切です。また、自身の経済状況の把握は、遺産の相続に関する遺書を書く際の参考にもなります。ただし、エンディングノートへ相続に関することを書いても、法的な拘束力はないため注意しましょう。

エンディングノート選びのポイント

エンディングノートは、法的な規定やフォーマットがないので形式や内容を問いません。そのため、目的や用途にあったものを選ぶことが大切です。エンディングノート用として販売されているものもありますが、一般的なノートを使っても問題はありません。さらに、紙のノートに書き起こすだけではなく、電子データとして作成することも選択肢の1つです。

エンディングノートは何を書けばいい?

エンディングノートには、決まった形式や規定はありません。しかし、書き方や記載するべき項目はある程度共通しています。具体的な書き方や項目は以下のとおりです。

  • 各種手続きに必要な個人情報や連絡先
  • パソコンのパスワードや契約しているサービスの詳細
  • 医療や介護に関する希望や要望
  • 家族や親族に向けたメッセージ
  • 友人や知人に向けたメッセージ
  • 遺言や遺言書の取り扱いに関すること
  • 自身の財産や資産の状況
  • 伝えたいことや自身の人生に関すること

自身の情報や連絡先

エンディングノートに書くべき項目として挙げられるものが、自身の情報や連絡先です。特に、死亡届や住民票の抹消届といった手続きには、生年月日などの個人情報が必要となります。必要となる情報をあらかじめエンディングノートに書いておくと、残された人の負担を減らせます。記載するべき情報は以下のとおりです。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所・本籍地
  • 血液型
  • 家族構成
  • 学歴・職歴
  • 身分証明書の保管場所
  • マイナンバー・運転免許証番号・健康保険証番号
  • 連絡先


身の回りに関すること

自身が管理しているものなど、身の回りに関することもエンディングノートに書きましょう。具体的な項目は次のとおりです。

  • 携帯電話やパソコンの数、それぞれのパスワード
  • 契約中のサービスやパスワード、退会の方法
  • SNSのIDやパスワード
  • ペットの性格や病歴、飼育方法など


医療や介護に関すること

医療や介護に関することも、エンディングノートに書くべき項目の1つです。何らかの理由で自身の意思表示が難しくなった場合に、持病やアレルギーの有無、常用薬の種類、かかりつけ医・連絡先などを記しましょう。また、介護に関する施設・内容などの希望や介護費用の支払い方法、延命治療の有無などを記すこともおすすめです。

家族や親族に関すること

エンディングノートは、家族や親族が手に取る場合が多いでしょう。そのため、家族や親族に対する感謝の気持ちやメッセージを残しておくと、意思を伝え損ねて後悔する可能性を下げられます。メッセージだけではなく写真を添付したり、形見分けについて言及したりすると、より効果的です。

友人や知人に関すること

友人や知人に関することも、エンディングノートに残しておくべきです。普段は伝えにくかった感謝の気持ちや思いなども、メッセージに残しておくと伝えられます。また、友人や知人などとの関わりがある写真を添付しておくと、メッセージを読んだ人が思い出を振り返りやすくなります。

遺言や遺言書に関すること

エンディングノートに書くべき項目として挙げられるものが、遺言や遺言書に関することです。遺言については、エンディングノートに法的な拘束力がないため効力はありません。しかし、遺言書とは別に伝えたい思いがある場合は書くべきです。

遺言書についても、取り扱いをスムーズにできるように、参考となるような内容を記すことがおすすめです。

財産や資産に関すること

財産や資産に関して記載しておくと、残された人が遺産の把握をしやすくなります。具体的には、預貯金口座や有価証券、不動産などの資産、借入金・ローンなどが記載する候補です。さらに、財産や資産に関する記載は自身にもメリットがあります。財産や資産について調べることで、自身の経済状況を確認できるでしょう。

葬儀やお墓に関すること

葬儀やお墓に関する希望・要望などについても、エンディングノートに記載するべき項目の1つです。葬儀や納骨の方法、お墓の場所などが候補として挙げられます。葬儀やお墓に関することは、自身が生きている内は話しづらいケースも多いでしょう。しかし、エンディングノートに書いておけば、残された人の負担軽減に繋がります。

自分からのメッセージ

エンディングノートに書く項目として挙げられることが、人生の軌跡や家系図など自身に関する情報・メッセージです。自身の人生について振り返る機会となるほか、家系図などを知るきっかけにもなります。

また、家族など残される人たちへ伝えたいことを書いておくと効果的です。事務的な手続きに関すること以外にも、感謝の気持ちや自身の思いを書きましょう。

エンディングノートの書き方のコツ

エンディングノートを書く際は、いくつか意識するべきコツがあります。具体的なコツとしては以下が挙げられます。

  • 空欄を気にせず書き進める
  • 順番通りではなく書きやすい部分から埋める
  • 自分だけではなく複数人で作成する
  • 分かりやすさや整合性を気にせず書く

空欄を気にしすぎない

エンディングノートを書く際は、空欄を気にしすぎないことが大切です。特に、エンディングノートとして活用できるように作られた製品を用いる際に意識してみてください。エンディングノートとして成り立つように、あらかじめ項目が用意されている場合が多いからです。しかし、全ての項目を埋める必要はないため、空欄があっても気にする必要はありません。

書きやすい部分から埋めていく

エンディングノートの構成には指定や決まりがないので、書きやすい部分から埋めていく方が効率的に作成できます。自身の考えがまとまっている項目については、早めに取り掛かって内容を忘れる前に書くことをおすすめします。

また、個人情報や自身の財産に関する部分などは、事実に即した内容を書き込むだけでいいので考える必要はありません。迷ったら優先的に埋めましょう。

他の人と相談しながら取り組む

他の人と相談しながら取り組むことも、エンディングノートの書き方の1つです。エンディングノートは、残された家族に向けたものという側面もあります。そのため、家族と相談して求めている情報や希望などを把握しましょう。

エンディングノートの構成や内容に悩んでいる場合にも、他の人へ相談することは有効といえます。司法書士や弁護士などの専門家のほか、同年代の友人への相談などがおすすめです。

今の気持ちを書き起こしてみる

文章としてのわかりやすさや整合性などを気にしすぎず、今の気持ちをそのまま書き起こしてみることもポイントです。エンディングノートは内容の変更や追加が簡単にできます。一気に完成させようとしたり、必要以上に丁寧に書こうとしたりする必要はありません。

エンディングノートに関する注意点

エンディングノートに関する注意点は複数あります。注意点の種類と詳細は次の通りです。

  • 法的な効力はないため遺言書の代わりにはならない
  • 第三者の悪用を防ぐために金融機関口座の暗唱番号は書かない
  • 管理を徹底して紛失しないように注意する
  • 自身が亡くなった後にも使えるように保管場所を伝えておく

法的な効力は発生しない

エンディングノートに関する注意点として、法的な効力が発生しないことが挙げられます。そのため、遺言書の代わりとして使わないように注意しましょう。遺産や資産、相続などについては、エンディングノートにも記入自体は可能ですが、法的な効力を持たせたい場合は遺言書を作成するべきです。

金融機関口座の暗証番号は書かない

クレジットカードや銀行口座など、金融機関口座の暗証番号は書くべきではありません。なぜなら、エンディングノートを紛失した際に、第三者に悪用される可能性があるからです。各種暗証番号を書いた場合には、管理方法に注意が必要になります。キャッシュカードや通帳、銀行印などを、エンディングノートと一緒に置かないように心掛けましょう。

紛失しないように保管する

エンディングノートには、重要な個人情報を記載することも少なくありません。そのため、紛失しないように管理を徹底することが求められます。対策方法や意識するべき事項は2つです。1つ目は特定の保管場所を決めてそこ以外には置かない、2つ目は取り出した後は必ず元の場所に戻すことです。

保管場所を周囲の人に伝えておく

保管場所を周囲の人に伝えておくことも、エンディングノートに関する注意点として挙げられます。エンディングノートは自分が亡くなった後にも使われるため、他の人も保管場所を知っておく必要があります。保管場所がわからないと見つけるために手間がかかってしまい、残された人の負担が大きいでしょう。最悪の場合は見つけられず、エンディングノートを活用できなくなります。

まとめ

エンディングノートの作成は、終活の一環として行われることが一般的です。しかし、終活はエンディングノートの作成に限らず、さまざまな要素が含まれます。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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