高卒で公務員を目指すには?注意点やメリット・デメリットについて解説
高卒から公務員を目指す際には、就職に向けた基本の把握が重要です。高卒と大卒の違いを把握し、高卒から公務員になるメリットを確認しましょう。本記事では高卒から公務員になる方法と、メリット・デメリットなどについて解説します。公務員を目指して勉強をしている高卒の人は、ぜひ参考にしてください。
高卒でも公務員になれる?
そもそも「高卒でも公務員になれるの?」と、疑問に感じている人も多いでしょう。「公務員=大卒以上」というイメージを持っていると、高卒では就職できないと考えてしまうケースも珍しくありません。
- 公務員試験には高卒者を対象にした枠があり、受験できる
- 高校卒業レベルの勉強ができれば公務員試験に合格可能
以下で詳しく解説します。
高卒で目指せる公務員試験がある
結論からいうと、高卒者でも公務員を目指せます。公務員試験には高卒者を対象にした枠があり、受験可能です。そのため大学に進学せずに、公務員を目指すケースも決して少なくありません。むしろ高卒という若さをアドバンテージにして、早めに公務員になり現場で経験を積み、スキルアップを目指す人も多いです。
高卒で公務員になる人の割合は少なくないため、本気で公務員になりたいのなら、高校卒業に合わせて就職できるように勉強をする方法がおすすめです。公務員対策をきちんと行えば、スムーズな合格を目指せます。高卒だからと諦めずに、高卒者専用枠を使って公務員への就職を目指してみましょう。
高卒で公務員になる方法
高卒から公務員になるには、公務員試験を受験する必要があります。大卒の場合と基本的な流れは同じですが、試験内容は異なるため事前に確認しておきましょう。高卒から公務員になる際に、大卒と同じ学習レベルは求められません。そのため高校卒業レベルの勉強をしっかりと実施し、その実力を本番の試験で発揮できれば、合格することは可能です。
大卒者と比較するのではなく、高卒者をライバルとして認識し、勉強に励むのがポイントです。高卒から公務員を目指した人の話を聞いたり、高卒で合格した人のアドバイス本を読んだりして、試験勉強に合格するイメージを頭のなかで構築することも重要なプロセスです。
高卒者がなれる公務員の種類
高卒者が目指せる公務員には、いくつかの種類があります。どのような種類があり、それぞれにどんな特徴があるのかをチェックし、将来の働き方を想像するのもポイントです。
- 高卒から目指せる公務員は「地方公務員」と「国家公務員」がある
- 地方公務員は「都道府県庁」「市区町村役場」「警察官」「消防士」などがある
- 国家公務員は「国家公務員一般職」「税務職員」「裁判所職員一般職」「刑務官」「皇宮護衛官」「防衛大学校」などがある
以下では、高卒者がなれる公務員の主な種類を紹介します。
地方公務員について
地方公務員とは、地方自治体で採用している公務員のことです。高卒の場合、「都道府県庁」「市区町村役場」「警察官」「消防士」などが、就職先の候補になります。都道府県庁と市区町村役場には複数の職種があり、さまざまな仕事を担当できます。例えば行政の仕事全般を請け負う「事務職(行政職)」や、専門分野に特化した「技術職」があります。
「技術職」では土木や電気など、特定の領域に精通したスキルが求められます。専門性の高い分野であるため需要が高く、就職後には多くのやりがいを実感できるでしょう。また、地方公務員は自治体内での異動はあるものの、全国を対象にした転勤がない点がメリットです。
国家公務員について
国家公務員とは、官公庁で働く公務員を指します。高卒からでも国家公務員として働くことが可能です。高卒からなれる国家公務員の種類は多数あり、「国家公務員一般職」「税務職員」「裁判所職員一般職」「刑務官」「皇宮護衛官」「防衛大学校」といった、複数の進路が考えられます。
国家公務員一般職に関しては、省庁がそれぞれ採用を実施しています。厚生労働省や文部科学省などの試験を受けて合格すれば、各省庁に務める公務員として働けます。国家公務員は地方公務員よりも異動の範囲が広く、転勤の対象となるケースも想定されます。
公務員における「高卒程度」と「大卒程度」の違い
公務員の試験を受験する際には、「高卒程度」と「大卒程度」といった言葉を聞く機会があります。「高卒程度」と「大卒程度」の意味を正確に理解し、自身の試験対策として当てはめて考えることも、公務員になるための重要なポイントです。
- 「高卒程度」「大卒程度」は「〇〇程度の学力を必要とする試験」を意味する
- それぞれにおいて試験内容や試験範囲、初任給などが異なる
以下では、「高卒程度」と「大卒程度」の基本的な意味と違いを解説します。
「高卒程度」「大卒程度」とは
「高卒程度」「大卒程度」とは、試験の難易度を示す言葉です。「〇〇程度の学力を必要とする試験」であることを意味し、自分の学歴などを参考に受験するものを選択します。「高卒程度」なら、高校で学ぶ範囲の学力が求められます。一方で大卒程度であれば、大学卒業レベルの学力が必要な試験となるでしょう。
「高卒程度」と「大卒程度」はあくまで試験難易度の目安であるため、必ずしも高卒が「高卒程度」の試験を受ける必要はありません。仮に高卒であっても、「大卒程度」の試験を受験して公務員になることは可能です。しかし、その分勉強に必要な時間は増え、プレッシャーも増加するため、自分の学歴に合った試験を選ぶのがおすすめです。
公務員試験における内容の違い
公務員試験の内容は、高卒程度と大卒程度で異なります。例えば、大卒程度の試験では、作文ではなく「論文」が試験内容として実施されます。また、大卒程度には専門試験(法律・経済・政治学など)がプラスされるため、単純に勉強すべき範囲が広がる点に注意が必要です。高卒程度の試験であれば、専門試験が含まれないため、勉強範囲を絞って受験ができます。
初任給など待遇の違い
高卒程度と大卒程度では、待遇面で違いが出るケースもあります。初任給も異なるため、その後の人生設計に影響する可能性も高いです。就職先によっても待遇は変わるので、試験を受ける前に就職予定の職場を調べ、給料などの待遇を確認しておきましょう。
高卒の公務員の給料目安
高卒から公務員を目指す際には、給料の目安を把握しておきましょう。実際にいくらくらいの給料をもらえるのか分かれば、具体的なライフプランを立てつつ勉強を進められます。
- 高卒の公務員の初任給は154,067〜180,720円
- 公務員全体の平均年収は国家公務員で約681万円、地方公務員で約659万円
以下で、高卒の公務員の初任給と公務員全体の平均年収を紹介します。
高卒の公務員の初任給は154,067〜180,720円
人事院の「令和5年度国家公務員給与等実態調査」によると、高卒の公務員の初任給は地方公務員で154,067円、国家公務員で180,720円となっています。大卒程度の場合、地方公務員で187,623円、国家公務員で222,240円です。高卒よりも、大卒程度の試験に合格した人の方が、初任給は高くなります。
同時に地方公務員よりも国家公務員の方が、初任給は高くなる傾向にあります。
- 参考:令和5年度国家公務員給与等実態調査|人事院(https://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/05kokkou.html)
公務員全体の平均年収
公務員全体の平均年収は、国家公務員で約681万円、地方公務員で約659万円です。高卒程度で就職した場合は初任給が低いため、平均年収よりも低くなる可能性があるでしょう。高卒程度は基本的に給料面がほかと比較して低い水準になると見込まれるため、その点を考慮したうえで就職後の生活を組み立てるのがコツです。
高卒で公務員を目指すメリット
高卒から公務員を目指すことには、多くのメリットがあります。具体的なメリットを確認することは、勉強のモチベーションアップにもつながります。
- 実践的な知識や技術を若くから身につけられる
- 大学進学にかかる学費(約400〜500万円)が不要
早くから現場で仕事ができる
高卒から公務員を目指す場合、早くから現場に出られる点がメリットの1つです。実践的な知識・技術を若くから身につけられるため、早期に仕事に貢献できる人材になれる可能性が高いです。仕事に役立っていると実感できれば、モチベーションは高まり、就職してからの勉強やスキルアップにつながります。
結果的にできることが増えれば、業務に対して多くのやりがいを感じられるでしょう。公務員の仕事そのものに興味がある人は、高卒で就職して職場を早くから体験する方法がおすすめです。
大学進学にかかる学費が不要
高卒から公務員になれれば、大学進学にかかる学費が不要となります。経済的な負担を軽減しつつ、雇用が安定した職場に就ける点はメリットになるでしょう。大学には最低でも4年間在籍する必要があるため、学費も4年分支払う必要があります。400~500万円程度かかるケースも多く、決して安い金額ではありません。そのため、大学進学が不要となる高卒からの就職には、経済面で大きなメリットがあります。単純に給料を得て稼げるようになるため、家計を支えられる点も魅力です。
高卒で公務員を目指すデメリット
メリットがある一方で、高卒から公務員を目指すことにはデメリットもあります。デメリットの内容を確認したうえで、対策を考えることも将来につながります。
- キャリアアップに限界がある可能性がある
- 公務員は一般企業とは異なり、その職場で役立つスキルのみを必要とされるケースが多いため、公務員以外のスキルが身につかない可能性がある
キャリアアップできない可能性がある
高卒程度で公務員になった場合、キャリアアップに限界がある可能性が高いです。大卒程度が昇格の条件になることもあるため、一定以上の役職に就けないことも考えられるでしょう。そのため具体的にやりたい仕事や目指す役職があっても、高卒を理由に諦めなければならないケースもあり得ます。
もし将来の目標がはっきりと決まっていて、そのために大卒程度の試験を受ける必要があるのなら、進路を変更することも検討されます。
公務員以外のスキルが身につかない
高卒からそのまま就職した場合、公務員以外のスキルが身につかない可能性もあります。公務員は一般企業とは異なり、その職場で役立つスキルのみを必要とされるケースが多いです。そのため基礎知識・技術が少ないと、転職のときに苦労することもあるでしょう。高卒という学歴が理由となって、転職先が限定されることも懸念されます。
将来的に公務員以外の職業も視野に入るのなら、大学に進学して学歴と知識・技術を身につける方法も考えられます。
高卒で公務員になるのに向いている人の特徴
高卒で公務員になる人には、向き・不向きがあります。高卒から公務員になる際には、向き・不向きをチェックして、自分がどちらに当てはまるのか把握することもポイントです。
- 若いうちから国や地方のために働き、貢献したい意欲がある人
- 早くから安定した職場に就き、給料を確保したい人
以下では、高卒から公務員になるのに向いている人の特徴を紹介します。
若いうちから国や地方に貢献したい人
若いうちから国や地方のために働き、貢献したい意欲がある人ほど高卒の公務員に向いています。モチベーションの高さは仕事で活きるため、早く公務員として働きたい人は高卒からの就職も考えられるでしょう。一方で、勉学に力を入れたい人や、4年間の学生生活の経験を重視したい人は、大卒程度の試験から公務員になる方が向いています。
早くから安定した職場に就きたい人
早くから安定した職場に就き、給料を確保したい人も公務員からの就職に向いています。高卒程度でも公務員であれば、ボーナスのカットや倒産などのリスクがありません。民間企業と比較して、景気に左右されないのも公務員の特徴となります。基本的に給料は上がり続けるため、安定した生活を維持しつつ仕事に打ち込めます。仕事を失う心配をせずに働けるため、さまざまなことに積極的にチャレンジできるでしょう。
高卒で公務員になるときの注意点
高卒で公務員になる際には、いくつか注意しておくべきポイントがあります。
- 高卒程度の公務員は、数十倍の合格倍率になるケースもあり、競争率が高い傾向にある
- 高校に通いつつ試験対策をする必要があるため、公務員試験に向けて勉強する時間が少ない
上記の注意点をもとに、事前対策を考えてみてください。
高卒程度の公務員は競争率が高い
高卒程度の公務員は、競争率が高い傾向にある点に注意が必要です。数十倍の合格倍率になるケースもあるため、ライバルに負けない勉強時間の確保が必要となります。高校の在学中から試験対策に力を入れて、勉強時間を増やす工夫を凝らすのがポイントです。学校の先生などに相談し、勉強方法や面接のアドバイスをもらう方法も考えられます。
公務員試験に向けて勉強する時間が少ない
高卒の場合、公務員試験に向けて勉強する時間が少なく、十分な準備ができない可能性もあります。高校に通いつつ試験対策をする必要があるため、状況によってはまともな学習時間を確保できないことも考えられるでしょう。そのため、高卒から公務員を目指すには、効率的に勉強できる環境が必要となります。専門の対策講座などを活用し、短期間で試験に合格できる知識を身につける方法がおすすめです。
公務員になりたいなら「ユーキャンの大卒公務員試験対策講座コース」がおすすめ
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まとめ
公務員は、高卒からでも就職を目指せます。高卒でも試験に合格できるレベルの知識があれば、高校卒業後にストレートで公務員に就職可能です。高卒から公務員になる場合、早くから現場を体験できたり、安定した給料で生活できたりと、多くのメリットがあります。この機会に高卒から公務員になる方法を確認し、具体的な勉強スケジュールを立ててみてください。
高卒から公務員を目指す際には、「ユーキャン」の「大卒公務員試験対策講座コース」の活用がおすすめです。高卒でも大卒程度の試験は受験できるため、合格すればより待遇がいい環境で働けます。図や解説が豊富なテキストの提供のほか、充実した指導サポート体制によって、わからないことを放置せずに勉強を進められます。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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