• 更新日:2023/06/16

ビジネスや日常生活で活かせる調理師の資格は男女問わず人気です。しかし、実際に資格を取得する方法については把握しきれていない人が多いのではないでしょうか。この記事では、就職や転職のために調理師の資格取得を検討している人に向けて、資格の取り方を詳しく紹介します。調理師の資格取得を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 調理師になる方法は、「調理師の養成施設を卒業する方法」と「調理師試験を受験する方法」の2通り。
  • 調理師試験には受験資格が必要。試験は6教科で実技や実習などはなし。60%以上の得点が合格ライン。
  • 調理師資格のメリットは「調理や食材に関する専門的な知識が身につく」「調理師としての技術の客観的な証明になる」「就職先の選択肢が広がる」など。

調理師になるには2つの方法がある

調理師になる方法には、「調理師の養成施設を卒業する方法」と「調理師試験を受験する方法」の2通りがあります。

方法1:調理師の養成施設を卒業する

調理師養成施設(厚生労働大臣指定)を卒業して申請すると、調理師の資格が取得できます。養成施設には大学・短大・専門学校などがあり、最低でも1年以上の通学が必要です。

調理師の養成施設では料理の専門的な技術だけでなく、栄養や衛生、店舗経営など将来に役立つ知識について重点的に学びます。学校によっては、一流の料理人や調理の分野に精通した外部講師による講義を受けることも可能です。

方法2:調理師試験を受験する

学校に通わなくても、2年以上の実務経験を経た後に、調理師の試験を受験して合格すると、調理師資格が取得できます。試験は各都道府県において実施され、試験に合格後に住所のある都道府県の知事に申請すると、調理師の資格が取得可能です。

実務経験のない人でも食品衛生法による営業許可を受けた施設で規定以上の勤務をすれば、受験資格を得ることができます。

高校卒業後や社会人から調理師になるには

調理師の資格は中卒以上の学歴があれば取得可能です。高校卒業後と社会人のそれぞれの段階から調理師になる方法をみていきましょう。

高校卒業後に調理師になるには?

高校卒業後に調理師になる方法は次のとおりです。

  • 高校卒業後に調理師養成施設に入学し、養成施設卒業と同時に資格を取得する
  • 高校卒業後に実務経験を積みながら通信講座で学習し、調理師の試験に合格する
  • 高校卒業後に実務経験を積みながら独学で調理師試験の学習をし、試験に合格する

調理師養成施設を卒業した場合、卒業と同時に調理師の資格が取得できます。通信講座や独学で調理師試験の学習をして試験を受験する方法では、調理の現場で2年以上の実務経験が必要です。ただし、高校在学期間中のアルバイトは、職歴として認められないので注意してください。

社会人が調理師になるには?

社会人が就職や転職で調理師になる方法は次のとおりです。

  • 調理師養成施設に入学し、卒業と同時に資格を取得する
  • 実務経験を積みながら通信講座や独学にて学習し、調理師の試験に合格する
  • 通信講座や独学で調理師の学習をし、試験に合格する(すでに実務経験がある場合)

調理師は年齢に関係なくビジネスや日常生活で活かせる職種なので、新しいキャリアとして調理師を目指すことも可能です。

調理師になるには調理師試験の受験が必要

調理師養成施設を卒業しない場合、調理師になるためには調理師試験の受験が必要です。調理師試験の受験資格や試験内容、試験の難易度についてそれぞれ詳しくみていきましょう。

調理師試験の受験資格

調理師試験の受験資格は次の2つです。

  • 学歴が中卒以上であること
  • 2年以上の調理の実務経験を証明できること

調理師試験は中学校を卒業し、2年間の実務経験を経た人であれば誰でも受験資格があります。ゆえに、資格の中でも比較的挑戦しやすい資格です。実務経験の詳細については後述します。

調理師試験の内容

調理師の試験の日程は都道府県によって異なり、例年6月から11月にかけて実施されます。試験科目(6教科)の内容は次のとおりです。

  • 公衆衛生学:地域社会における健康問題
  • 食品学:食品の分類や加工
  • 栄養学:食品の保存や栄養素
  • 食品衛生学:食中毒の予防
  • 調理理論:調理技術や食品の調理による変化
  • 食文化概論:食に関する歴史

1科目あたりの問題数は60問。筆記試験は4肢択一のマークシート方式で行われ、実技や実習などは実施されません。

調理師試験の難易度

調理師試験は、全科目の合計得点で合否判定され、60%以上が合格ラインです。1科目でも平均点を著しく下回る場合や0点があった場合には不合格となります。苦手科目をつくらなければ、難易度はそれほど高くありません。

受験会場の数は都道府県によって異なりますが、通常1~3カ所で、複数の都道府県の会場での併願受験も可能です。受験のチャンスが複数回あることからも、比較的合格しやすい試験といえます。

試験を受けて調理師になるには実務経験が必要

2年以上の実務経験を証明する書類が事実と異なる場合、受験資格や合格が取り消される可能性があります。注意点は次のとおりです。

  • 従事期間が証明日現在で2年以上
  • パート・アルバイトの場合、原則として週4日以上かつ1日6時間以上(実働)の勤務
  • 接客業務や配達業務は職歴に含まれない

なお、調理師法施行規則第4条に即している対象施設、業種は次のとおりです。

  • 旅館や簡易宿泊施設を含む飲食店
  • 魚介類販売業
  • そうざい製造業
  • 学校・病院などの給食施設(継続して1回20食以上、または1日50食以上調理していること)

基準を満たしていない場合は働き先の変更を検討してみましょう。

調理師になるには外せない3つの要素

調理師になるには料理が得意であること以外にも必要な要素があります。この章では特に盲点になりがちな3つの要素についてみていきましょう。

重い食材や調理器具を運べる体力

調理師の業務では重い食材や調理器具を扱う場面が多くあるため、体力の必要な職種だという認識をもつことが重要です。また、早朝から準備をしたり、夜遅くまで仕込みをしたりと、コンスタントに長時間働けるバイタリティーも求められます。「料理が好き」という純粋な心も大切ですが、そのモチベーションを保つためには肉体的な強さも欠かせません。

下積み時代を乗り切る忍耐強さ

調理師の資格取得後も、修業期間として数年間の下積みがあります。この期間は、体力的にも金銭的にも厳しい場合が多いですが、現場でしか学べないことを多く学ぶことができます。この期間を乗り切るには、強い意志と忍耐力が重要です。

主体性をもって学び続ける探究心

職場によっては、先輩の調理師が業務を手とり足とり丁寧に教えてくれるとは限りません。ゆえに、自ら学ぶ主体性が重要です。先輩の様子をよく観察し、調理師としての感性を磨く探究心が求められます。「調理が好き」という初心を大切に、先輩の背中から現場でしか学べない専門性や調理に向き合う姿勢などを吸収しましょう。

調理師に向いている人とは?

調理師に向いている人の代表的な特徴を紹介しています。いくつ該当するか、自分と照らしあわせながら読んでみてください。

調理に関して知的好奇心がある人

調理師は調理のプロなので、第一に調理に対する興味・関心があることが重要です。調理師として活躍するには基本的な調理方法や調理器具の使い方に関する知識だけでなく、食材の取り扱い方や下処理の方法などの知識も必要です。したがって、調理だけでなく、それぞれの食材の栄養などに関する専門的な知識を学ぶのに抵抗がないことが前提として求められます。

向上心があって常に新しい知識を学ぶ意欲もある人

第一線で活躍している調理師の多くは、さらに上を目指したいという向上心をもっている点が特徴的です。たとえば、メニューを引き立てる食材の研究をしたり、食材の魅力をさらに活かせる盛り付け方を模索したりといったチャレンジ精神があります。また、集客や営業など、調理に付随して求められる経営の知識を学ぶ姿勢も大切です。

臨機応変でありながらきっちり対応できる人

食材の切り方や保存方法などささいな違いが味に影響を与える場合があります。ゆえに、食材の冷凍方法や保存方法などを逐一確認するくらい細かく対応できる人は調理師に向いているといえるでしょう。臨機応変な対応も大切ですが、まずはマニュアルやレシピどおりの対応がきっちりできる人が調理の現場では重宝される傾向にあります。

味覚が正確で安定している人

調理師にとって最も重要な資質が味覚の正確性と安定性です。特に飲食店の場合、顧客にとって「その店の味」はリピートのきっかけとなる重要な指標になります。ゆえに、体調によって味覚が左右されてしまったり、大雑把な感覚でしか味を感じ取れなかったりすると、料理のクオリティーが低下したとみなされる原因になります。

色彩バランスがいい人

人間は味覚だけでなく、視覚からも多くの情報を入手します。したがって、顧客から食べたいと感じてもらうには、第一に料理の見た目の良さが大切です。見た目が悪いと、いくら味が良くても食べてもらえない可能性すらあります。食材の彩りのバランスも料理のセンスに関わる重要な資質です。

調理師の資格を取得すると得られるメリットとは?

調理師の資格を取得するメリットは主に3つあります。資格を取得した後も、調理師としての強みを最大限に活かしましょう。

調理や食材に関する専門的な知識が身につく

調理師の資格を取得すると、食のプロとして必要な知識や経験を積めます。調理や食材に関する専門的な知識は、仕事だけでなく生活の中でも役立つでしょう。たとえば自炊や家族への食事作りなどで、より美味しい料理を作ることが可能です。

調理師としての技術の客観的な証明になる

飲食店で調理業務をするうえで、調理師の資格は必須ではありません。しかし、調理師の資格をもっていると「調理に関する技術や知識が十分にある」という客観的な証明になるため、就職や転職で有利です。たとえば、調理師の資格を取得している人と資格のない人では、資格を取得している人の方が採用の場面で優遇される可能性があります。

就職先の選択肢が広がる

調理師は慢性的な人材不足にあるため、調理師資格の取得は就職先の選択肢が広がるだけでなく、正社員採用に直結する場合もあります。正社員として採用されると、より条件のよい労働環境で業務に従事することが可能です。また、調理師の募集では資格が必須なケースも多く見受けられるため、希望条件に合致した就職先を豊富な選択肢の中から選べます。

まとめ

調理師になるには養成施設を卒業する方法や独学で取得する方法などがあります。しかし、学校に通う時間のない人や独学で合格できるか心配な人も多いでしょう。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

調理師試験は、独学でも合格できる?

独学でも調理師試験の合格は可能です。しかし、出題範囲が6科目にわたるため、自分に合った参考書探しやスケジューリングをしっかり行う必要があります。勉強だけに集中したいなら、テキスト選びやスケジューリングを任せられる通信講座の受講が効率的といえます。

調理師試験の難易度は?

調理師試験は実技試験を行わず、筆記試験のみとなっています。出題形式は4つの選択肢から1つを選ぶマークシート方式です。実技試験も記述問題もないため、人気資格のうちでは比較的難易度は高くない試験といえます。

調理師の給料はどのくらい?

調理師の平均年収は、2019年では約341万円でした。職種や勤務先の状況によって給料は大きく異なり、年収は200~1,000万円台までかなり幅があります。

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