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10年後 AI・ロボットに奪われない資格 特別インタビュー 「私たちが身につけるべきスキルは?」 ロボット工学者:大阪大学 石黒 浩教授 10年後 AI・ロボットに奪われない資格 特別インタビュー 「私たちが身につけるべきスキルは?」 ロボット工学者:大阪大学 石黒 浩教授

昨年2018年は、AIスピーカーの流行や最新のAIを搭載した「aibo」の販売など、一般家庭にもAI・ロボットが普及し始めた1年となりました。また、地震や台風による被災地での復興支援にもロボットが大活躍しました。
これまで以上にAI・ロボットの活用に期待が集まる一方、人間の仕事がなくなってしまうのでは、という心配の声も聞かれます。そこで、ユーキャンでは20~40代のビジネスパーソン310名を対象に、AI・ロボットによる仕事代替に関する意識調査を実施するとともに、ロボット研究の第一人者である大阪大学の石黒浩教授にお話を伺いました。

20~40代のビジネスパーソン310名が回答 AI·ロボットによる仕事代替
ビジネスパーソンの意識は?

AI・ロボットの普及であなたの仕事はどう変わる?

自身の仕事は
全く代替されないと思う方が40.0%

10年後、AI・ロボットに自身の仕事が代替されるか
代替される(36.8%) 代替されない(40.0%) わからない(23.2%) 代替される(36.8%) 代替されない(40.0%) わからない(23.2%)

はじめに、10年後、自身の日々の業務がAI・ロボットに代替されていると思うかを聞いたところ、40.0%が「代替されない」と回答しました。

「代替される」と回答した方の代替率
1~10%(8.8%) 11~20%(11.4%) 21~30%(18.4%) 31~40%(14.0%) 41~50%(14.0%) 51~60%(9.6%) 61~70%(7.9%) 71~80%(10.5%) 81~90%(3.5%) 91~100%(1.8%) 代替される割合は平均22.2% 1~10%(8.8%) 11~20%(11.4%) 21~30%(18.4%) 31~40%(14.0%) 41~50%(14.0%) 51~60%(9.6%) 61~70%(7.9%) 71~80%(10.5%) 81~90%(3.5%) 91~100%(1.8%) 代替される割合は平均22.2%

次に、「代替される」という方に自身の業務の何%が代替されると思うか聞いたところ、21~30%という意見が最多に。すべての意見を平均すると自身の業務の22.2%がAI・ロボットに代替されると考えていることが判明しました。

一方、世の中の1/3の仕事が
AI・ロボットに奪われると回答。

10年後、AI・ロボットによる世の中の仕事の代替率
0~10%(7.7%) 11~20%(14.2%) 21~30%(22.9%) 31~40%(14.8%) 41~50%(12.3%) 51~60%(8.1%) 61~70%(2.9%) 71~80%(3.2%) 81~90%(1.3%) 91~100%(0.3%) わからない(12.3%) 代替される割合は平均33.2% 0~10%(7.7%) 11~20%(14.2%) 21~30%(22.9%) 31~40%(14.8%) 41~50%(12.3%) 51~60%(8.1%) 61~70%(2.9%) 71~80%(3.2%) 81~90%(1.3%) 91~100%(0.3%) わからない(12.3%) 代替される割合は平均33.2%

一方、10年後、世の中の業務がどれくらいAI・ロボットに代替されているかを聞いたところ、10%以下と答えた方の割合は全体の7.7%という結果に。平均すると33.2%の業務がAI・ロボットに代替されると考えていることが分かりました。
自身の仕事は全く代替されないと考えている方が多い反面、世の中の仕事は1/3がAI・ロボットに代替されると考えているようです。

給与は「現在より減っている」との
回答が「増えている」を上回る結果に。

10年後、AI・ロボットの普及による自身の給与の変化
現在の給与より増えている(16.1%) 現在の給与より減っている(28.7%) 現在の給与と変わらない(33.2%) わからない(21.9%) 現在の給与より増えている(16.1%) 現在の給与より減っている(28.7%) 現在の給与と変わらない(33.2%) わからない(21.9%)

AI・ロボットの普及による自身の給与の変化について聞いたところ、「現在より減っている」(28.7%)との回答が、「現在より増えている」(16.1%)との回答を大きく上回る結果となりました。給与面においては、影響を不安視する方が多いようです。


AI・ロボットによる仕事代替期待している?それとも不安?

約半数がAI・ロボットによる
仕事代替に期待!

AI・ロボットによる仕事代替への期待/不安
期待(51.0%) 不安(30.7%) わからない(18.4%) 期待(51.0%) 不安(30.7%) わからない(18.4%)

AI・ロボットによる仕事代替については、約半数が期待している(51.0%)という結果に。職種別にみると、管理職は回答者全員が、「とても期待している」もしくは「期待している」と回答しました。また、AI・ロボットに関しての知識について聞いたところ、「知らない」と回答した人が54.5%。また、「知らない」と回答した人の方が、AI・ロボットによる仕事代替に対し「不安」と回答していることも明らかになりました。不安を解消したいという方は、AI・ロボットについて調べてみるのもいいかもしれません。

期待する理由は
「人間がすべき仕事に集中できるから」

AI・ロボットによる仕事代替に期待する理由
人間がすべき仕事に集中できるから(38.0%) 仕事の量が減ったり、残業が減るから(ワークライフバランスの充実)(28.5%) ヒューマンエラーを減らすことができるから(26.6%) 労働力人口を補うことができるから(24.1%) 技術力が上がり商品・サービスの品質が向上するから(21.5%) 新たな職や産業が生まれるから(20.3%) 単純にAIやロボットと一緒に仕事することは楽しそうだから(7.0%) 人間がすべき仕事に集中できるから(38.0%) 仕事の量が減ったり、残業が減るから(ワークライフバランスの充実)(28.5%) ヒューマンエラーを減らすことができるから(26.6%) 労働力人口を補うことができるから(24.1%) 技術力が上がり商品・サービスの品質が向上するから(21.5%) 新たな職や産業が生まれるから(20.3%) 単純にAIやロボットと一緒に仕事することは楽しそうだから(7.0%)

AI・ロボットによる仕事代替に期待する理由としては、「人間がすべき仕事に集中できるから(38.0%)」という回答が最多。「仕事の量が減ったり、残業が減るから(28.5%)」、「ヒューマンエラーを減らすことができるから(26.6%)」という理由にも多くの票数が集まりました。

AI・ロボットによる仕事代替に不安を感じる理由
人間の仕事が奪われ失業者が増えるから(40.0%) 自分の仕事がなくなる恐れがあるから(36.8%) 必ずしも商品・サービスの品質が保証されるものではないから(最終的なクオリティは人の判断が不可欠だと思うから)(26.3%) 故障や異常のリスクが高く、臨機応変に対応できないから(16.8%) マニュアル化された単一な仕事が増え、仕事への意欲を失うから(12.6%) AIやロボットについて自分の理解が追いくか不安だから(9.5%) 単純にAIやロボットと一緒に仕事することが不安だから(9.5%) 人間の仕事が奪われ失業者が増えるから(40.0%) 自分の仕事がなくなる恐れがあるから(36.8%) 必ずしも商品・サービスの品質が保証されるものではないから(最終的なクオリティは人の判断が不可欠だと思うから)(26.3%) 故障や異常のリスクが高く、臨機応変に対応できないから(16.8%) マニュアル化された単一な仕事が増え、仕事への意欲を失うから(12.6%) AIやロボットについて自分の理解が追いくか不安だから(9.5%) 単純にAIやロボットと一緒に仕事することが不安だから(9.5%)

一方、不安に感じる理由としては「人間の仕事が奪われ失業者が増えるから(40.0%)」、「自分の仕事がなくなる恐れがあるから(36.8%)」、「必ずしも商品・サービスの品質が保証されるものではないから(26.3%)」と続きました。AI・ロボットの仕事代替に対し、期待と不安が二極化していることが明らかになりました。


来たるAI・ロボット時代身につけておきたいスキルは?

管理職、専門/技術職の6割
すでに奪われないスキルを保持。

現在、AI・ロボットへ代替されないスキルを
持っているか
持っている(38.7%) 持っていない(34.2%) わからない(27.1%) 持っている(38.7%) 持っていない(34.2%) わからない(27.1%)

主な職種別「持っている」と回答した方の割合

管理職(71.4%) 専門・技術職(58.4%) 販売職(40.0%) 事務職(25.2%) サービス職(24.2%) 管理職(71.4%) 専門・技術職(58.4%) 販売職(40.0%) 事務職(25.2%) サービス職(24.2%)

次に、現在、AI・ロボットへ代替されないスキルを持っているか聞いたところ、持っている方は38.7%、持っていない方は34.2%という結果になりました。
職種別にみると、管理職、専門/技術職の人は大半が「持っている」と回答したのに対し、サービス職、事務職は「持っている」方の割合が20%台と、職種によって大きく異なる傾向があることが分かりました。

身につけておきたいスキル
専門資格(専門知識・技術)

AI・ロボットの発展に備えて、身につけておきたい
スキル
専門資格(専門知識・技術)(28.1%) 実行力(24.2%) 論理的思考力(23.9%) 課題を見つける洞察力(23.2%) モチベーションを維持する力(21.6%) ストレス耐性(21.0%) 何事も前向きに考えるポジティブ思考(20.6%) リーダーシップ(19.4%) 上司・同僚・顧客と協力しながら仕事を進める力(18.1%) 計画性(17.1%) 専門資格(専門知識・技術)(28.1%) 実行力(24.2%) 論理的思考力(23.9%) 課題を見つける洞察力(23.2%) モチベーションを維持する力(21.6%) ストレス耐性(21.0%) 何事も前向きに考えるポジティブ思考(20.6%) リーダーシップ(19.4%) 上司・同僚・顧客と協力しながら仕事を進める力(18.1%) 計画性(17.1%)

AI・ロボットがさらに発展している10年後に備えて身につけておきたいスキルは、1位「専門資格(28.1%)」という結果に。専門/技術職の方の大半が、すでに代替されないスキルを持っていると回答しているだけに、専門資格は取っておいて損はないようです。
その他「実行力(24.2%)」、「論理的思考力(23.9%)」、「課題を見つける洞察力(23.2%)」と続きました。

ロボット研究の第一人者に聞く 私たちが身につけるべき
スキルとは?

特別インタビュー ロボットとのワーキングシェアに
	期待することは「平等な世の中」 大阪大学教授 石黒 浩特別インタビュー ロボットとのワーキングシェアに
	期待することは「平等な世の中」 大阪大学教授 石黒 浩

ビジネスパーソンへの調査結果を踏まえ、ロボット研究の第一人者である大阪大学の石黒 浩教授に、「ロボット技術発展への期待と不安」や「身につけるべきスキル」について、専門家ならではの見解をおうかがいしました。

ロボットの発展を不安に思うのは当然。

ロボットや新しい技術の発展に対し、不安に思うのは当然で、昔から一緒です。例えばスマートフォンが登場した時もプライバシーの問題が取り沙汰されました。それでも今はみんなが使っています。技術の発展には良い面と悪い面があり、良い面を正しく理解すれば、その技術を使いたいと思うようになります。そうやって、新しい技術は受け入れられていくのです。
とにかく不安を解消したいという方は、ロボットについて学ぶしかありません。ロボットの中身を知れば、何が不安なのかが分かり、何をしていればロボットに勝てるかも判断できるはずです。

単純な作業は急速にロボットに代替される。

ロボットが長けているのは、人間には出来ない膨大な量のデータを高速で、ひたすら処理・分析できる点です。ですから、データ入力や検品作業のような仕事は、今後、ロボットに急速に代替されるでしょう。
また、ロボットとのワークシェアは、すでにある程度進んでいると言えます。医療の現場では、ロボットの方が正確に検査できますし、厨房はロボットだらけという飲食店も増えてきています。
ただし、それらの仕事の全体がロボットに奪われるということはないので安心してください。患者さんへのカウンセリングのような人と心を通わせるような仕事は、これからも人間のすべき仕事ですし、どんな時も不測の事態に対応できるのは人間だけです。ロボットはあくまで道具です。道具が発展し世の中がどんどん便利になっていくと考えればいいのです。さらに、ロボットを上手く活用することで新しい仕事も生まれてくるでしょう。

人と関わるスキルを高めるべき。

端的に言えば、ロボットが発展していく中で、人が身につけるべきスキルはコミュニケーション力やカウンセリング力だと思います。
例えば、これまで介護の現場では、食事や入浴といった身体的な補助を提供するのに精一杯で、カウンセリング的な要素は重要視されてきませんでした。しかし今後は、ロボットの活用により身体的な補助の負担が軽減し、カウンセリングの要素がより重要視されていきます。
他の仕事でも同じです。ロボットには、万人に対してホスピタリティのある仕事は難しいです。だからこそ、人と関わるスキルを高めるべきだと思います。

期待するのは「平等な世の中」

今後ロボットが発達することでコミュニケーションはより活発になると思っています。例えば、自閉症や認知症の方の中にはロボットとは上手く会話できるという方がいます。医師は、そのロボットとの会話から適切な診療計画を立てていくのです。ロボット活用以前であれば、患者の状態を理解できないまま、診療を進めるしかなかったことを考えると、より平等な治療が受けられるようになったといえます。
技術というのは本来、世の中の様々な人をサポートするためにあります。技術が発展することで様々な人をサポートできるロボットが登場し、平等な世の中になる事を私は期待しています。

石黒 浩(いしぐろ ひろし)教授プロフィール
1963(昭和38)年、滋賀県生れ。ロボット工学者。大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻・特別教授、ATR石黒浩特別研究所客員所長&ATRフェロー。知能ロボットと知覚情報基盤の研究開発を行い、次世代の情報・ロボット基盤の実現をめざす。人間酷似型ロボット研究の第一人者。2011年、大阪文化賞受賞。主な著書に『ロボットとは何か』『ロボットは涙を流すか』『人と芸術とアンドロイド』『“糞袋”の内と外』。哲学者・鷲田清一氏との共著に『生きるってなんやろか?』

専門家の意見に基づく 10年後、AI・ロボットに
奪われない資格は?

AI・ロボットに奪われない資格介護福祉士

高齢化社会が進む中、人と密に関わる介護福祉士は今後ますますその重要性が認識されるでしょう。また、ロボットを活用することで身体介護の負担が減り、利用者への相談・助言が主業務になる可能性も。体力も必要という介護のイメージにも変化が訪れるかもしれません。

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AI・ロボットに奪われない資格社会福祉士

社会福祉士の主な仕事は、高齢者や障害者など福祉サービスを必要とする人の相談に応じ、助言や援助を行うことです。さまざまな立場の方の気持ちを理解するためには、思いやりの心と高いコミュニケーション力が必要となり、人間にしかできない仕事と言えます。

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AI・ロボットに奪われない資格中小企業診断士

企業に対しカウンセリングを行い、最善の解決策を提案することが中小企業診断士の主な仕事。それぞれの企業に応じた解決策はAIの計算や分析だけでは正解を出すことが難しく、複雑な判断は今後も人間が担うと考えられます。

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AI・ロボットに奪われない資格保育士

子供のわずかな変化や不測の行動に対応する必要がある保育士。コミュニケーション力だけでなく、高いホスピタリティが必要とされます。また、思いやりの心を持つ大人に育てるためには人間が育てるべきという人道的な意見もあり、ロボットに置き換わる可能性は低いと推測できます。

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AI・ロボットに奪われない資格メンタルヘルス・
マネジメント(R)検定

職場での人間の機微な感情やストレスを、ロボットやAIが完全に理解することはできません。だからこそメンタルへルスについての正しい知識を身につければ、部下や職場全体の心の問題や不安に寄り添うことのできる重要な人材として重宝されるでしょう。

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◆調査概要
  • 調査対象:20代~40代の有職者男女 310名(男性159名、女性151名)
  • 実施期間:2018年11月5日~11月9日
  • 実施方法:インターネット調査
  • 対象地域:全国