若手社員の育成が重要な理由とは?
近年の日本社会はビジネス環境の変化に伴い、若手社員育成の重要性がますます高まっています。なぜ若手社員の育成が重要性を増しているのか、その主な理由を2点紹介します。
若手社員の早期戦力化
従来の日本企業では、新入社員への研修には重点を置いてきました。一方で、若手社員については終身雇用制度を前提としているためか、スキルアップにつながる研修や教育体制が十分とはいえない面がありました。しかし近年は日本企業の多くが人材不足に悩まされているうえ、従業員の高齢化が進んでいます。このような状況を改善するには、企業として若手社員の育成を積極的に行い、早期に戦力化する必要性が出てきました。また汎用的なスキルを持つ人材だけでなく、専門知識を持つ人材の育成も急務です。 特にDXはどの企業でも求められる変化となっており、IT分野の専門知識を持つ人材が必要不可欠です。企業の成長のためには若手社員の育成に注力し、早期戦力化が必要となったことで注目度が高まっています。
早期離職の防止
日本企業では3年以内の早期離職者は約3人に1人とされています。厚生労働省発表の令和3年3月卒業者の「新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率」では、高卒者で38.4%、大卒者で34.9%が就職後3年以内に離職しています。どの企業も人材育成には膨大なコストをかけていますから、早期離職されればコスト面でも人材面でも大きな損失です。加えて日本では年々少子化が進んでおり、今後も生産年齢人口が増加に転じる兆しは見えていません。そのため貴重な若手社員を企業に定着させるためにも、企業として手厚い育成体制を整備する必要があります。若手社員にとっても、企業が自分の成長をサポートしてくれるうえ、仕事を正しく評価してくれる仕組みになっていれば仕事への意欲が高まります。
参考:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します
若手社員を育成する課題とは?
若手社員を育成する際、課題となるのが人材不足や育成にかかる時間の問題です。具体的にどのような課題があるのか、2点について紹介します。
育成担当者の負担
若手社員を育成する場合、組織内や各職場で育成担当者を決定し、担当者が中心となって若手社員を育成します。しかし育成担当者を任されるのは一定の経験を持つ社員であり、日常業務と並行して若手の育成もしなければなりません。その結果、育成担当者には多くの負担がかかり、多忙を極めることが予想されます。特にOJTでは若手社員に付きっきりで指導しなければならず、さらに多くの時間を取られるでしょう。育成担当者の負担を軽減するために、組織内で協力して業務負担を減らす体制や、育成を複数人で行う環境にすることが大切です。
育成の専門化
若手社員の育成での課題は、教育内容の専門化・高度化にもあります。従来の日本企業では基本スキルを習得してからは、各自の努力で成長したり、能力開発を進めたりすることが推奨されてきました。しかし近年は急速なデジタル化が進み、ジョブ型雇用やスキルベース採用も増加し、専門性が求められる社会になっています。そのため専門的な内容は外部講師やeラーニングを活用するなど、より効果的な方法の模索が必要となります。
若手社員育成のポイント
若手社員を早期に戦力化することが育成の目的ですが、成長を促すには押さえておくべきポイントがあります。3つのポイントを理解しておくことで、効果的な若手社員の育成が可能になります。
社員の個性を把握する
若手社員の成長を促すには、まず社員それぞれの持つ個性を把握・分析することが大切です。 一般的な社員教育では、対象となる若手社員の個性は区別せず、統一された教育内容を行います。基本的なビジネススキルを習得するなら問題ありませんが、社員の個性を伸ばす教育という観点では不向きです。若手社員がモチベーションを高めながら働き、学び続けるには、一人ひとりの個性を把握して教育方針や計画を立てることが大切です。
統一した評価システムを作る
若手社員を育成する際は、育成担当者や上司の主観を交えず、客観的な評価を行うことも大切です。若手社員の個性や性格によっては、育成担当者や上司の相性が良くない場合もあるため、客観性が重要になります。そのため組織内で若手社員の評価について統一したシステムを整備することで、社員の得意分野と苦手分野が明確化できます。評価システムが整っていれば、若手社員が能力を発揮しやすい部分も見えるようになり、自分だけの武器を発見する機会にもなるでしょう。
個性に合わせた教育を実施する
若手社員にはそれぞれ個性があり、得意分野も違いがあります。当然ながら性格にも違いがあり、すべての若手社員に対して同じ対応や指導を行っても、必ずしもスキルアップにつながらないことを理解しておくべきです。 教育対象の若手社員の個性を分析し、個性に合わせた教育方針やカリキュラムを考えるのがよいでしょう。例えばコミュニケーションに課題がある人は、職場内での声かけを行ったり、議事の進行役に任せたり、コミュニケーション研修を行ったりする方法があります。若手社員が過度に負担と感じない範囲で、個性を意識した指導を行うことが大切です。
若手社員育成の手法
若手社員の育成手法にはさまざまなものがあります。その中でも、若手社員の成長に効果的な3つの方法を紹介します。
実践からの学び
若手社員の育成では、実践からの学びが非常に重要です。人間がインプットした知識やスキルを活用するには、実践を通したアウトプットが不可欠だからです。人事コンサルタント会社のロミンガー社が発表した「ロミンガーの法則」によると、社員がリーダーシップを発揮する要素は7割が業務経験、2割が薫陶、1割が研修であると判明しています。つまり若手社員を育成するには座学で知識やスキルを得るだけでなく、それを現場でどれだけ活用するかが大事になるということです。実際、ビジネスシーンでは学んだ理論の通りに進まない場面が多々あります。若手社員が個性を最大限発揮しながら意欲を持って働くには、実践を通して多くの学びを得てもらうことが重要といえるでしょう。そして上司や指導者は定期的に振り返りを行い、業務における気付きを与えてあげる姿勢で臨むのが理想的です。
振り返り・フィードバック
若手社員は経験不足から学んだ知識・スキルを型通りに実行してしまい、失敗することも珍しくありません。日々の仕事に慣れておらず、余裕のなさからミスをしてしまうこともあるため、きちんと振り返りとフィードバックの時間を設けることも大切です。特に若手社員は1つのミスを長く引きずり、次のミスを誘発してしまうことがあります。そのため定期的に上司や指導者と業務の振り返りを行い、失敗した原因を理解してもらうことが重要です。ミスをしてから時間が経たないうちに振り返りとフィードバックを行えば、それが若手社員の中で定着し、学びや気付きとなります。また成功したときもなぜ成功したのか、失敗したときとの違いを具体的に考えることで新たな学びにもなります。実践を通して知識・スキルの定着を促すとともに、振り返りとフィードバックで若手社員の成長をサポートしましょう。
若手社員向け研修
企業に所属する社員にはいくつかの階層や役職があり、各階層に合わせた教育を行うことで、社員の持続的な成長を促せます。若手社員向け研修もその1つで、知識やスキルの専門性を高めたり、キャリアアップにつながったりする効果が期待できます。若手社員は将来性や成長の見込みがあるため、早いうちに研修を行うことで、将来のキャリアにも良い影響を与える可能性が高いです。社員それぞれの所属や専門性に応じた研修を用意することで、能力開発とモチベーションの向上につながるでしょう。
若手社員の成長と定着を促進するならユーキャン
ユーキャンの研修では、ビジネスシーンで必要なスキルや知識を基礎から応用まで幅広く提供しています。集合研修やオンライン、eラーニングまで企業のニーズに合わせた実施形式を用意しており、受講後のサポート体制まで完備しています。また若手社員向け研修ではコンプライアンス意識醸成や計数管理、ロジカルシンキングなど、ビジネスに必須な内容を効果的に学べる点が特徴です。その他にも研修カリキュラムを用意しており、企業に合わせたカスタマイズの相談も可能です。ユーキャンの研修では知識のインプットだけでなく、演習やテストを通した知識・スキルのアウトプットと経験の蓄積にもつながります。ヒアリングを通して企業課題を明確化し、担当者との綿密な相談のうえで最適な研修カリキュラムを提案させていただきます。
まとめ
若手社員は企業を支える貴重な人材であり、長期的な視点で育成を行うことが重要な存在です。若手社員を育成することで創造性の高い仕事や販路の拡大など、さまざまなプラスの効果が期待できます。さらに若手社員の育成は業務遂行の効率化や生産性の向上だけでなく、社員の定着率やモチベーションの向上にも効果があります。社員それぞれの持つ個性を把握しながら、パフォーマンスを最大限に引き出す研修を計画しましょう。