2014.09.09
60代の資格取得に関する意識調査
いわゆる「第二の人生」が始まる60代。色々な形での「第二の人生の充実」がある中で、資格の取得もその選択肢の一つになり得るようです。60代で取得する資格とその目的とはー―。通信教育を手掛ける株式会社ユーキャン(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:品川泰一)は、60代の資格取得に関する意識調査を実施し、60代で資格を取得した男女497名から回答を得ました。
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調査結果トピックス
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(1) 60代で取得した資格:
1位「介護ヘルパー」、2位「簿記」、3位「マンション管理士・管理業務主任者」
(2) 多くの資格は「自分磨きのため」に取得。
介護系資格は「暮らしの中で役立てるため」「仕事に活かすため」
(3) 60代で資格を取って実現したこと:1位「自分のために役立てる」、2位「自分の趣味に役立てる」
(4) これから取得したい資格:1位「食生活アドバイザー」・「調理師」、3位「宅建取引主任者(宅建)」
(5) 「これから取得したい資格」と、「今から叶えたい夢」の関連性―資格取得が夢を叶える手段にも
※「介護ヘルパー」とは正式な資格名称ではなく、ホームヘルパー2級(介護職員初任者研修)や訪問介護員などを包括した通称です。
◆調査概要
調査対象:60代で資格を取得した男女 60代497名(男性411名、女性86名)
実施期間:2014年8月12日〜18日
実施方法:インターネット調査
対象地域:全国
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(1) 60代で取得した資格:
1位「介護ヘルパー」、2位「簿記」、3位「マンション管理士・管理業務主任者」
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まず、60代で取得した資格を聞いたところ、1位は「介護ヘルパー」(11.9%)という結果となりました。続く2位には「簿記」(9.5%)、3位には「マンション管理士・管理業務主任者」(5.2%)、という結果に。その他の自由回答では、小型船舶免許、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)、語学系の資格が多くみられました。
また、取得した資格を男女別で比較すると、男性は1位「簿記」、2位「介護ヘルパー」、3位「マンション管理士・管理業務主任者」という結果に。一方で女性は1位「介護ヘルパー」、2位「介護福祉士」、3位「ケアマネジャー」という結果になっており、男女では異なる資格が票を集めました。女性は、介護系の資格を取得する傾向にあるようです。
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(2) 多くの資格は「自分磨きのため」に取得。
介護系資格は「暮らしの中で役立てるため」「仕事に活かすため」
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次に、それぞれの資格について、取得理由を聞いてみました。取得した資格で2位・3位となった「簿記」「マンション管理士・管理業務主任者」は、「自分磨きのため」がそれぞれ57.4%、69.2%でトップ。また、「マンション管理士・管理業務主任者」は「ボケ防止・脳の活性化のため」(46.2%)にも票が集まりました。他と異なる傾向が出たのは「宅建取引主任者(宅建)」で、これは「趣味の一環」(37.5%)の票が顕著に伸びています。一方、「介護ヘルパー」は「暮らしの中で役立てるため」(37.3%)、「介護事務」は「仕事に活かすため」(54.5%)が1位となりました。
60代は配偶者や親等の高齢化に伴い、介護が身近な存在にあると考えられます。そのため介護系の資格については目の前のニーズを満たすという、現実的な理由から取得することが多いようです。一方で60代は退職後の「第二の人生」を歩み始めている世代でもあり、若い世代であれば仕事に直結するような資格であっても、「仕事に活かすため」よりも「自分磨き」を目的として取得する傾向が目立ちます。
■「新しいことに挑戦したいという気持ちを持ち続けられる」…専門家が考える、60代で資格取得する意義とは?
これまでに見てきた内容を踏まえて、360個以上(2014年9月1日現在)の資格・検定を取得している資格アドバイザーの鈴木秀明さんに、60代で資格取得をする意義を伺いました。「60代の方は定年退職や子供の独立といったことを機に自由な時間が増えますので、趣味や教養の幅を広げるため、また、生きがいづくりや自分磨きのため、資格取得にでもチャレンジしてみるか!と考える方も多いようです。何歳になっても向上心を持って、新しいことに挑戦したいという気持ちを持ち続けられるのは素晴らしいことですね。
資格や習い事へのチャレンジを通じて、勉強仲間や共通の趣味を持つ友人をつくることで、閉鎖的になりがちな交友関係の幅が広がるというメリットもありそうです。」
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(3) 60代で資格を取って実現したこと:1位「自分のために役立てる」、2位「自分の趣味に役立てる」
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60代で資格を取得して実現したことについて聞きました。最も票が集まったのは「自分のために役立てる」(34.0%)で、「自分の趣味に役立てる」(23.7%)、「現在の仕事に活かす」(23.5%)、「人のために役立てる」(20.9%)と続きます。
自分のために役立てた方に具体的な内容を答えていただいたところ、「生きがいが見つかった」と答えた方が複数いました。また、「自信がついた」「充実した時間が得られた」「やればできる」等、満足感に関する回答も。「人のために役立てる」では、ボランティアに関する回答が多く、資格取得がボランティア活動等、具体的な行動のきっかけにもなっているようです。
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(4) これから取得したい資格:1位「食生活アドバイザー」・「調理師」、3位「宅建取引主任者(宅建)」
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これから取得したい資格では、どのようなものが上位に来るのでしょうか。結果は「食生活アドバイザー」と「調理師」が9.9%で同率1位に、その後に「宅建取引主任者(宅建)」が続きます。「60代で取った資格」で1位の「介護ヘルパー」は、ここでは票が集まりませんでした。既に取った資格と、これから取りたい資格では傾向が異なるようです。
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(5) 「これから取りたい資格」と「今から叶えたい夢」の関連性―資格取得が夢を叶える手段にも
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また、「これから取りたい資格」と「今から叶えたい夢」には関連性があることも分かりました。前提として、「今から叶えたい夢があるか」と聞いたところ、63.2%が「ある」と答えました。
次に、(4)の設問で回答いただいた項目毎に、自由回答を見てみると次のような結果になりました。
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【食生活アドバイザー】
創作料理(神奈川県・65歳・男性)/自宅でレストランを開く(茨城県・61歳・女性)/
世界のグルメめぐり旅行(福島県・62歳・男性)/料理が上手くなること(大阪府・67歳・男性)
【調理師】
料理人(東京都・63歳・男性)/飲食店の開業(東京都・60歳・男性)
【社会福祉士】
介護施設の設立(茨城県・65歳・男性)/介護関係の事務所を開設したい(兵庫県・67歳・男性)
【行政書士】
資格をとって開業する(埼玉県・68歳・男性)/悩んでいる人の助けになりたい(石川県・67歳・男性)
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このように、複数の項目で、「これから取りたい資格」で答えた内容と「今から叶えたい夢」に関連性がみられました。資格取得が、夢を叶える手段になっているケースもあるようです。
■60代ならではの資格の活かし方・コツー「あえて年齢を前面に押し出して差別化」
60代ならではの資格の活かし方について、鈴木秀明さんにお伺いしました。
「将来に経済的・金銭的な不安を感じる方が多い中、定年後の収入を確保するために資格を取得して独立開業や再就職につなげたいという方もいらっしゃるでしょう。60代の方が資格を活かして独立開業する場合、「業界最年長の○○スペシャリスト」「おじいちゃんだけど最前線で活躍中の○○士」というように、60代であることをあえてポジティブに前面に押し出して差別化を図っていくことがポイントになるかもしれません。男性ばかりの業界で女性が活躍していると目立つように、若者ばかりの業界に60代以上でもエネルギッシュに活躍している方がいる、というだけで目立ちますし、若手より相談しやすい専門家という印象も持たれやすいのでは。
伊能忠敬やファーブルはシニア世代になってから多大な功績を残したように、何か新しいことを始めるのに遅すぎるということはまったくないのです。」
いわゆる「第二の人生」が始まる60代。どのような日々にするのかは人それぞれです。お気に入りの場所に建つ家でのんびり過ごすもよし、世界一周旅行に行くもよし、自分が学んできたことを若い世代に伝えるもよし、ボランティアに参加するもよし。色々な形の「第二の人生の充実」がある中で、資格の取得も、もしかしたらその選択肢の一つになるかもしれません。60代からの資格の活かし方は、あえて年齢を全面に押し出し、年齢を重ねてもエネルギッシュに活躍していることを伝えるのがポイントになるようです。資格アドバイザーの鈴木秀明さんの言葉にもあるように、何か新しいことを始めるのに遅すぎるということはありません。自分に自信をつける、生活に役立てる、少し先にある夢を叶える…あなたの人生の充実のために、資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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【その他調査項目】
◇考え方や状況があてはまるか:「これまでの人生は概ね満足である」(64.2%)、「新しいことにチャレンジしたい」(65.6%)、「60代を超えても体力が許す限り仕事を続けたい」(69.6%)、「生きがいを無くしている」(13.9%)
◇資格を取得して良かったと思うこと:「自信がついた」(33.2%)、「趣味が増えた」(30.6%)、「久しぶりの勉強が楽しかった」(26.6%)
◇これからも機会があれば自分磨きやスキルアップをしたいか:「したいと思う」(30.8%)、「どちらかというと思う」(39.6%)
◇一つの資格を取得するために使ってもいいと思う通算の金額:「1万円未満」(23.5%)、「1〜3万円未満」(19.9%)、「3〜5万円未満」(25.4%)、「5〜10万円未満」(19.9%)、「10万円以上または金額はいとわない」(11.3%)
◇資格取得のために費やす1日の学習時間:「30分未満」(13.9%)、「30分〜1時間未満」(29.2%)、「1時間〜2時間未満」(33.8%)、「2時間〜3時間未満」(12.3%)、「3時間以上」(10.9%)
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■鈴木秀明さんのプロフィール
All About「資格」ガイド。東京大学理学部卒。東京大学公共政策大学院修了。取得資格は行政書士、中小企業診断士、気象予報士、証券アナリスト、宅建、FP1級をはじめとして360個以上(2014年9月1日現在)。「資格アドバイザー」「ライセンスアセッサー」として雑誌・ラジオ・テレビなどへのメディア出演実績はのべ100件以上。
※記載されている会社名・製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。
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